表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/26

25話:一宮先輩に魔法について教えて貰う

 それから俺は一宮先輩と共に部室棟や校舎の見回りをしたり、掲示板に貼られてる先月のポスターをどんどんと回収していったりもした。


 そんな生徒会の仕事も無事に終わったので、俺は一宮先輩に連れられて生徒会室にやってきていた。


 そしてそこでお茶を飲みながら俺は先輩から魔法について話を沢山聞かせて貰っていた。


「……えっ!? さっきの氷雪魔法って三種類の魔法の複合魔法なんですか!?」

「そうだよ。氷雪魔法は“水、風、雷”の三種類の魔法を組み合わせた複合魔法なんだ。だから氷雪魔法はかなり珍しいタイプの魔法かもしれないね」

「はい、それはかなり珍しい魔法ですね! 俺は三種類の組み合わせによる複合魔法なんて初めて見ました! でも二種類による複合魔法でも習得するのは大変だって聞くのに、三種類の複合魔法なんて習得するのは相当大変だったんじゃないですか?」

「うーん、まぁそうだね。氷雪魔法を習得するにはかなり時間がかかったよ。でも私も神崎君と同じで魔法の勉強をするのは大好きだからね。だから毎日ワクワクと楽しんで魔法の勉強をしてたから全然大変では無かったよ」


 一宮先輩は柔和な笑みを浮かべながらそう言ってきたけど、でもやっぱり氷雪魔法を習得するまでは相当に大変だっただろうなというのは容易に想像が付く。


 だって俺は強化魔法一つだけの勉強でもかなり大変だと思っているのに、一宮先輩は“水、風、雷”の三種類の魔法をしっかりと勉強していって、あんなにも練度の高い氷雪魔法を発動出来るようになってるなんて……こんなの絶対に大変に決まってるよな。


 でも氷雪魔法を習得するまでの道のりを大変だとは思わずに、むしろワクワクとした毎日を過ごしたと言えるなんて、先輩はやっぱり凄い人なんだなと改めてそう思った。


 そして先輩は俺と同じく“魔法”が凄く大好きだというのも十分に伝わってきて、ようやく同世代の魔法が大好きな仲間というか同士に会えた感じがして、俺は何だかとても嬉しい気持ちになっていった。


「という事で私がさっき使ってた氷雪魔法についての話はこんなものかな。って、あ、もうこんな時間が経っちゃってたんだ。ごめんね、神崎君。ついつい楽しくて長く喋っちゃったよ……退屈な気持ちにさせちゃってたらごめんね……」


 一宮先輩は生徒会室に置かれてる時計を見てハッとした表情をしだした。先輩が魔法の話を始めてから既に1時間以上が経過していた。


「いえいえ、俺も楽しかったですよ。それに先輩も魔法が大好きだって事が伝わってきて嬉しかったです。先輩が魔法について解説してる時、ずっとイキイキとした表情をしてましたしね」

「えっ!? そ、そんなにイキイキとしてたかな? うぅ、それはちょっと恥ずかしいな……」

「あはは。そんな恥ずかしがらなくて良いじゃないですか。俺も子供の頃から魔法が大好きだったから、イキイキとした表情で魔法について喋る先輩の気持ちは理解出来ますよ」

「そ、そっか……うん、実はそうなんだ。私も子供の頃から魔法が大好きだったんだ。だけど私は生徒会長の仕事が忙しくて、今まで魔法について人と語り合う機会はあまり無かったんだ。だから神崎君に私の魔法に興味があるって言われて凄く嬉しくなっちゃってね。だから今日はつい饒舌になって沢山喋っちゃったんだ。という事で今日は沢山喋っちゃってごめんね」


 先輩はちょっとだけ恥ずかしそうにしながらそう言ってきた。


「いえ、全然大丈夫ですよ。俺も楽しかったですし。それにしても複合魔法って二種類の魔法を組み合わせるだけだと思ってたんですけど、まさかの三種類の複合魔法もあるんですね。改めて“魔法”の奥深さを知る事が出来て嬉しいです」

「喜んで貰えて何よりだよ。しかも未発見の複合魔法はまだまだ沢山あるらしいからね。これからも研究で新たな魔法が沢山見つかるだろうし、そう思うとこれからも凄くワクワクとする出来事が沢山ありそうだよね」

「はい、そうですね。それにしても魔法の研究か。俺もせっかく聖凛高校に入ったんだから、何かそういう魔法の研究とかを一度はしてみたいなぁ……」

「神崎君は探究心が凄いね。もしも魔法の研究をしてみたいようなら派閥に入ってみる事をオススメするよ。あ、そういえば神木君は派閥にはもう入ってるのかな?」

「え? 派閥ですか? あー……いや、俺は今の所派閥には入ってませんね……でもやっぱり派閥って入った方が良いんですかね?」

「うん。まぁ正直全ての派閥が研究や勉強に熱心な訳では決してないけど……でも面白い研究や勉強会をしてる派閥もチラホラとあるからね。だから神崎君も魔法について沢山学びたいのならそういう派閥に入ってみるのも良いんじゃないかな?」


 先輩に派閥に入った方が良いのか尋ねてみるとそんな返事が返ってきた。確かに魔法の勉強がしたい俺にとっては派閥に入る意義は凄くあるんだろうけど……。


「なるほど。まぁ派閥に入って研究会とか勉強会に参加出来るのは凄く魅力的で面白そうだなとは思うんですけど……あ、ちなみに一宮先輩はどの派閥に所属しているんですか? それとも自分の派閥を立ち上げてそこの長をしている感じですかね?」

「……え? わ、私がどこの派閥に入ってるか……?」


 俺は何の気なしに先輩にそんな質問をしていってみた。すると柔和な笑みを浮かべていた先輩は、途端にちょっとだけ暗い表情を浮かべ始めていった。


「は、はい。あ、もしかして……先輩の派閥とかはあまり聞かない方が良かったですかね? 言いたくないようでしたら言わなくて大丈夫ですよ?」

「え? あぁ、いや、そんな事はないよ。ごめんね。気を使わせちゃって。ただ私はその……どこの派閥にも所属してないんだ。もちろん自分で派閥も立ち上げてもいないよ」

「……えっ? そ、そうなんですか?」


 俺は一宮先輩の言葉を受けてビックリとしてしまった。魔法の勉強や研究が大好きな先輩ならどこかの派閥に所属しているんだろうなって思ったのに……でもどうして先輩はどこの派閥にも入ってないんだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ