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文化部員は転生したらしい。  作者: 冬鬼
3:ガチムチ国編
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そうだ、王都、行こう。



…非常事態である。私達は遠出しなければ行けなくなってしまった。

国の王…私が住んでいる国は永世中立国というやつで、小さな国だ。名産は…なんだろう、強いていうなら植物、野菜とか花とか果物とか。基本的にここの国は資源が豊富なので、特に美味しく作れていると思うのが農作物だと思う。だから、私にとって名産は農作物だ。これが少し行った所の港で聞いたら魚介類が名産だというんだろう。

食材の素はいいのに、なぜかここの人達は調味料の使い方が下手らしい。

私のお店に来てくれているような奥様方にはレシピを渡しているからそうでもないんだろうが、この町から出たら薄味とかやけに甘ったるいのとかそんな味のものが多くなってくるんだろう。


さて、私が暮らしている国は永世中立国だが、二つの国に挟まれている。

ひとつの国は武芸が発達していて、鉱山があったりするので、そこで取れる鉄で刃物を作ったりしていて、凄く切れ味がいいらしい。すごく、欲しいです。

ちなみに勇者はこの国で生まれたらしいから、この国が勇者発祥の地ですな。

どっちかって言うと、あまり平和なところではない。犯罪者が問題なのではなくて、犯罪者を取り締まる方がやり過ぎてしまうのだ。そのせいで犯罪が少ない。

言ってしまうと、だいたいの人が脳筋タイプです。が、ガチムチも多いんですってよ!


もうひとつの国は芸術に秀でていて、絵とか、詩とか、音楽などが有名な国だ。そして、どちらかというと魔法使いが多いです、だから国民もガチムチ国に比べて魔力多め。体つきも華奢な人が多いんです。

そして、変人っていうか、発想が芸術家らしくぶっ飛んでいる人が多いって言うか。ナルシストとかマッドな人とかが多いんです。だから医者…治療師も多いんですよ、研究好きな人が多いので。

下手したらすぐに捕まってモルモットにされちゃうんですけどね、だから治安は少し悪いかなぁ。


それで、今回行くのは自分の国の王都ではなく、ガチムチ国の方に出張します。

ここの国の王様はあんまり食に興味がないらしい、残念だね。

まぁ、今回ガチムチ国からお誘いがあったってことで興味もってくれるかもしれないね。


「みんなー、遠出するから準備してー」


「遠出?どこ行くんですか?」


「隣国の王都だよ、なんかね、ご飯食べさせろって。あと勇者の事でどーのこーの。」


「そういえば最近見ないなぁ…そこまで評判が広がってるんですね。じゃあ早速準備しましょうか。何日ぐらいかかります?」


「…片道で2日ぐらいだね。だから着替えも用意しといて、あんまり持っていかなくても行ったところで洗濯とかするから多めじゃなくていいよ。」


そしてわたし達は馬車を借りて王都へと向かって行ったのです。


一日目はガラス細工が有名な街に着いた。ここはガチムチ国とマッド国の合間ぐらいに位置するからいろんな人が入り混じっている。

それにしても凄いな…ここまで細くしといてなんでガラスが割れないんだろう。


「…先輩!蛇!蛇のガラス細工が!蛇ですよ、ほら、お手頃価格!買ってください!買えよ!」


「オーガさん自分のお金持ってるでしょ、自分で買いなさい。買えよとか言うんじゃありません、私年上だよ?先輩やぞ?」


「ケチだなー先輩のくせにケチだなー。


「先輩のくせにって違くないか。」


結局オーガさんは自分で買っていた。だってオーガさんこの間クエスト一人で行ってお小遣い稼いでたでしょ。

私もどこかみようかなぁ、と思ったらハモォヌちゃんが本屋から戻って来たが、その表情は少し複雑そうな顔をしていた。


「どうしたの?」


「なんかっ…あたしの書いた本が置いてあってっ…恥ずかしいや嬉しいやら…」


うわぁっ!とハモォヌちゃんはその場でうずくまってしまった。おいおい、やめてくれみんな見てるから!すごい見てる!

な、なんか私が泣かしたと思われてるっぽい!泣かしてないし泣いてないよ!


二日目は長いこと馬車に乗っていたからお尻がいたい。とりあえずもう少しでガチムチ国に着くそうだ。

今日は湖のほとりで洗濯物を干してそれからここで少し休憩して一気にガチムチ国まで向かうことにする。

服のしわを伸ばして木と木の間にくくりつけた紐に服をかけていたら、横にある茂みで何やらミキレイさんとナミラさんが頭をくっつけて何かを覗いているようだ。


「あれ絶対入ってるよね。つーかお前のワカメ邪魔だな。」


「ひどい!ワカメじゃないよ!せめて他のにしてよ!」


「お前今日から昆布な!」


「うぁぁああんまり変わってない!なんだその海藻シリーズ!」


気になったので二人の後ろから覗いてみるとそこにはたおれた大木から木が生えていて、二股に分かれた枝が足のように見えて…大木に木がのしかかっているように見えるのだ。うん。あれは入ってるね、間違いないわ。


「どっちが女の人かな。」


「普通に考えて下じゃないすか。」


「いや、上が年上のお姉さんって事もありえますよ、だから上じゃないですかね、それで、実はそのお姉さんが未亡人で、相手の男はどうしようもないダメ男で放っておけないお姉さんが…!」


「あー、それもあるねぇ。確かに上のほうの木の方が葉っぱがファサッてなってるしね。」


「いや、もしかしたらあそこに留まってる鳥が神で世界を滅ぼす途中かもしれないじゃないすか。それで勇者エニシダが神を倒す旅に出るんすよ。」


「神まで倒しちゃだめっしょ。神が世界を滅ぼすのかよ。」


そうしてどんどん話が脱線していき、何故か最終的に政治の話になっていた。

私達はなんの話してたんだっけ。


そうしてだらだらしながらガチムチ国に到着し、ガチムチ国へ入るための印を門番に見せ、私達はガチムチ国へ足を踏み入れたのだった。



ガチムチって書きたくて仕方ない。

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