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文化部員は転生したらしい。  作者: 冬鬼
2:今日も今日とて。
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九十九神とクエスト

私はその日、ギルドの前をたまたま通ったんだ。ちょうどこれから一週間ぐらい休みを取るから、そのうちの一日ぐらいクエストにいっても良いかな?なんて考えていたから、持っているオーガさんが食べたがっていたお菓子の材料の入った袋を抱えてギルドボードを見る。ギルドボードは色々な人達からの依頼が張ってある掲示板のようなものだ。


そうしたら、とても興味深い依頼を見つけた。


『~誰か樽を退治してください~

依頼内容 非常に美味な古酒が入った樽が命を宿し暴れ出したとのこと。そして酒蔵の酒をすべて持ってこさせて飲んでいて、このままでは酒蔵の酒が全部無くなってしまう、無くなる前に退治して欲しい。

報酬 銀貨二十枚銅貨三十枚、生け捕りに出来た場合、樽に入ってる古酒』


なかなかいい報酬だ。それに古酒とは、なかなか私の興味をそそる。日付を見るとこれは張り出されたばかりのようで、こんないい依頼は他にないと、誰かにとられる前にとってしまおうと、張り付けられた紙を取り、受付で受注した。


「古酒だよ、古酒!滅多にないって、だから行こうよ!馬車で移動するからあんまり歩かないよ!」


という私の熱烈なお誘いにより、四人は折れて私に付いてきてくれることになった。オーガさんは面倒くさそうだったけど、お菓子の入った袋を持たせておけば大体どうにかなった。

ハモォヌちゃんがどうしても、というので仕方なく途中でハモォヌちゃん好みの(^q^ )本を買った。まったく、後で見せてね!



文化部員in馬車内


ババヌキ中。


「おっと、馬車の偶然の揺れによって体が先輩の方に行って偶然カードの手札が見えてしまった!」


「ちょ、オーガさん今絶対揺れてなかったって!」


「先輩の手札、右から二番目はジョーカーだったよ。」


「え?マジ?あぶねとろうとしてた。」


「ナミラ良かったねー。」


「みんなして私をいじめる‥‥!」


「あ、私あがりました!」


なんてやりとりをしていたら、もう付いてしまったようだ。楽しい時間はすぎるのが早いなぁ。‥え、ババヌキの結果?全部ビリでしたよ、それが何か?


ついたのは、わりと古めの酒蔵で、その中からは怒声が聞こえる。


「サケサケサケサケェ!モットヨコサンカイ!」


「く、狂ってやがる‥!」


入り口からちらっと覗くと古臭い樽がひとりでに動いてしゃべって、くるくる楽しげに踊っていた。


「あぁ‥‥!あの樽の中の酒がちゃぷちゃぷなってるかと思うとたまらないよ‥。」


ジャックオランタンのような口の中から少し見える薄い黄緑色のお酒が見える。‥うまそう‥超飲みたい、早く倒そう。


これは、出来れば樽を傷つけないようにしたい。なのでゴリ押し系の私とハモォヌちゃんはダメだ。あとミキレイさんは、刀を使えるけど、それでも樽を傷つけてしまう。こうなったら、樽を倒すのはナミラさんかオーガさんだ。


ということは、オーガさんは魔法を使えるけど、魔力によってお酒に影響が出てしまっては困るので、念のため除外。本当はオーガさんにやってもらう方が一番楽なんだけど。


そこで、え?ナミラさん戦闘できんの?という話である。もちろんできますとも、えぇ。


ナミラさんの職業はなにか?それは整体師、鍼灸師‥マッサージ師である。そこで、今日使う武器はこちら、びょんびょん曲がる針である。

この針で何をするかというと、神経を麻痺させるために針をぶっさす、それだけだ。

ナミラさんにはポリシーがあり、おばあちゃんから針治療は身体に良くない!と聞かされていたらしい。それでナミラさんは人間には針治療をしない。


十分な技術を持っているのに、勿体ないとナミラさんは思い、魔物にやってみたらできたらしい。樽に神経があるのかわからないが、やってもらうしかない。


「ナミラさん、あの樽に針を刺して麻痺させてね!私とハモォヌちゃんが押さえて置くからさ。」


「了解っす。」


私とハモォヌちゃんがくるくる回っている樽に近づき、樽の縁を両側から押さえる。ふっ、九十九になろうが所詮樽、暴れるが振り切られることは無かった。


そしてナミラさんが針を取り出し樽の縁に針を刺していく。樽の神経って縁にあんのか。


「アッ‥アァアァア‥!ヤメ‥ロォ‥ッ!」


やだ‥‥ヤらしい。


針を八本打ち込んで、樽の喘ぎをBGMに樽を大人しくさせることに成功した。なんかびくんびくんなってるけど大丈夫だろうか?


樽を依頼主にみせ、安全を確認してもらって、報酬をもらって私達は帰路についた。みんなに均等にわけて、ナミラさんだけ少し多めに報酬を渡した。


文化部員in帰りの馬車


人狼ゲーム中


「私は違いましたよ?善良な町民でした!」


「あっああたしも町民だし!」


「わぁーナミラ人狼だー!」


「私も町民だったよー後は騎士と人狼と占い師?」


「私人狼ですよ?」


「え?」


「ですから、私が人狼です。」


(え?私が人狼なのにな‥なんでオーガさんが人狼だという意味が‥‥?)


そんな感じで、人間不信になりかける人狼ゲームが終わった。私?ミキレイさんとナミラちゃんは食べたけどオーガさんとハモォヌちゃんを食べる前に見破られちゃったよ。かなすぃ。


「よし、早速飲もう!」


樽を運んで、お玉で中にある酒をくんでグラスに入れる。お茶みたいな色のお酒をぐいっと煽る。‥‥‥!これはっ‥!


「‥‥青汁のお酒バージョンみたいな味がする‥!」


くっそ、すごく身体に良さそうな味がする‥‥そのくせ度数は強い、喉が痺れる。でも味は‥何ともいえないがこの胃の中で踊るような感じはなかなか他のお酒には無い特徴だ。


このお酒はしまっておこう、それでクレイモアさんとかガルバディストさんとかに飲ませてみよう。ギルドの皆さんに飲ませてみるのも良いな。


「せ、先輩!どうしたんですかその頭ー!」


「うわっ、なんか草がはえてるー!」


「え?マジかよ‥」


ばっさばっさ頭をふると濃い緑の葉っぱが落ちてきた。頭を触ってみると、髪に細い蔓が巻き付いていてそこから葉っぱがはえているようだ。やばい、このままじゃアフロになってしまう。


何はともあれ、このお酒の取り扱いには注意した方が良さそうだ‥‥。


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