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第41話

GWどうでしたか?作者は……何もなかったorz。

それはさておき、続きをどうぞ

第41話


私は、リリー殿をあの場に残してきたことを悔やんでも悔やみきれない。あの時は、応援を呼ぶためと自分に言い聞かせその場を去ったが、リリー殿とギリアムでも出来たのではないのか?ヨシアキ殿には悪いが、あの場に残るのは私とヨシアキ殿だけでよかったのではないか……


そんなことを走りながら考えていると後方から地響きがした。風の障壁を使ったのであれば地響きが起こることはない。


「まさか!?」


不安が過る。されど戻ったところで何か出来るわけではない。しかし、本当に何もできないのか……急いでいるはずなのに足が止まってしまう。短いようで長い時間、背後から物音が聞こえたので振り返るとギリアムの槍を足で地面に押さえつけているヨシアキ殿がいた。ギリアムの顔を見ると信じられないという表情だった。


「俺がいてこそ、あの作戦は成立したが、俺の実力を読み違えたのが運の尽きだな」


「な、なぜ……」


私が言ったのかギリアムが言ったのか、それともふたり共だったのか、驚きのあまりわからない。何を言えばいいのかわからない。なぜ、ヨシアキ殿がいる。他の皆は大丈夫なのか。そう思ったが、ヨシアキ殿の後方からリリー殿達がこちらに来ているのが見え安心した。


「ヨシアキ、先に行くのはいいけど、早すぎよ。はぁ、はぁ、追いかけるのに必死で体力がもたないわ」


息を切らしながらリリー殿はヨシアキ殿にそう言い放つ。


「ヨシアキ様、そろそろ種明かしをお願いします」


~~☆~~☆~~~


「まずは姫さんから離れてもらおうか」


安全確保のために姫さんとギリアムの間に入る。


「何を訳を分からないことを。まるで私が悪役ではないか。先程は薄暗かったので、ヨシアキ殿とは気が付かず、襲撃者と勘違いして槍を振るっただけだ。すまなかった」


白を切るギリアムだが、そのまま始めてもすぐに対応できるから解説を始めるとするか。


「姫さん達と出会った襲撃では、全員が顔を分からない状態にされていた。ただの盗賊であればそんなことをする必要はない。そうなると、どこぞの軍隊と考えるのが妥当だ。考えられるのはユルカ・アルトランド・ロマリアの3国だが、ユルカは自国でそんな危険を犯すのは考えにくい。ロマリアなら自国に近い場所ならわかるが、わざわざ反対側で事を起こすなんてユルカがさせるはずがない」


俺達の居場所を知っていたユルカの悪王ならやりかねないが、準備を整える時間はないので除外する。


「そんで残ったアルトランドだが、これが一番可能性が高かった。面が割れているから隠す必要性があるが、それよりもあんたの行動の方が決め手だったな」


今思い返せば、野営の時や街に入ってからの行動。怪しいことを挙げれば不信感は出るがそこまでで、決定打にはならない。


「たしかに私が怪しまれる行動をしていたのは否定しないが、なぜそう言い切れるのだ。事と次第によっては貴様を斬ることになるぞ」


「たしかにそうだが、山小屋でのやりとりであんたが、裏切り者だと確信したんだよ」


「待ってくれヨシアキ殿。あのやりとりにおかしな点はなかったはずだ」


イリアがギリアムを裏切り者だと信じきれないのか、弁解する。


「普通に考えれば自国の姫の身を案じるのはおかしくない。しかし、リリーがいたことで優先順位が変わる」


リリーの名前が出たことで全員がリリーを見るが、リリーはわかっていないようだ。


「事の発端は姫さん達の密入国。更に狙いは姫さんが持っていたとある物。アルトランドの問題に余所の姫君を巻き込んでしまったようにしか見えない状態だった。自国の姫と他国の姫。端的に見れば自国の姫を守りたくなるが、後のことを考えればリリーを守らなければならなかったんだよ。」


姫さんが無事だったとしても国際問題としてその後どうなるかわからない。俺の説明を聞いたイリアはハッと今更ながら気が付いたようだ。


「末端の人間なら普通にやってしまうミスだったが、あんたは騎士隊長様だ。こんなド素人でも考えればわかることあんたが考え付かないはずがない。つまりとんでもないおろかな騎士様、もしくはあそこにいたのはあんた達の協力者で足止め役だったということだ。以上が俺の推測だが反論はあるか?」


指摘されたギリアムは俯きながら肩が震えていたが、徐々に震えが大きくなり笑いはじめた。


「ご名答。ただの冒険者だと侮っていたのは否定しないが、お前も大きな間違いをしている。別にユルカの事など少しも考えていない。あいつらがダメだったのなら私自らがお前達をこの世から消し去ってしまえばいいのだからな」


ギリアムの豹変が信じきれないためか、姫さんはギリアムから離れリリー達のところまで後ずさり、イリアは膝を地に付けていた。


「ディナ様の次に王となられるのは、弟君のウィル王子。どの色にも染まっていない王子をあなた達の都合のよい色に染め上げる魂胆ですか」


誠実さで率いている王様の下では、後ろめたい行動をしている輩には姫さんが邪魔で仕方がなかったんだろうな。


「小悪党みたいなセリフを吐いたギリアムさんよ。一発逆転の奇策でも用意しているのか?」


ギリアムがニヤリと笑ったと思ったら目の前に光が現れ、光が増したと思った瞬間には爆発した。


~~☆~~☆~~~


光を見た瞬間、危ないと叫ぼうとしたが間に合わずギリアムの魔法がヨシアキ殿に直撃してしまった。攻撃魔法として3強と言われる不視の風、最速の雷、破壊の炎。初級魔法でも破壊と称される炎の魔法では命にかかわる。


「貴様こそ私の実力を侮っていたな。烈火の騎士と呼ばれているが、私は炎も使えるだけでなく無詠唱もできる。まぁ、戦闘になったとしてもあれだけの魔法を唱え、魔力の少ない貴様など恐るるに足らん」


重症でも措置が間に合えば助けられる。そう思ってリリー殿を見るが驚いてはいるようだが焦っている様子がない。


「あーびっくりした。んで、誰を侮っていたんだ?」


煙幕が晴れるとそこには何事もなかったかのように平然と立っているヨシアキ殿がいた。


「さすがは烈火の騎士様。すごい、すごい。正直ここまで、できるとは思ってなかったわ。この際、二つ名を劣っているという意味で、劣化の騎士に改名したら」


「きさまああああああああ!!」


殺気を纏ってヨシアキ殿に斬りかかるが、それよりも早くヨシアキ殿がギリアムを蹴り飛ばした。


「さてと、確証がなかったから我慢していたが、これなら気兼ねなくやれるな。生き地獄というものがあるのかおまえでためしてやるよ」


今回は姫さん視点が多かったです。


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