1. 素足のままで
※「夏のホラー2025」企画作品です。28日までとあったので急に書きたくなりました。
最初「詩」のジャンルで書いてたのですが、長くなってしまったので「小説」にしました。
でも良く企画の詳細読んだら「小説」のみだったのですね。ああ~良かったわ。
(~_~;))
※8/27、朝起きたら文芸ホラー日間(連載)ランクイン第2位という赤文字が?
ひえええ「エッセイ」と「詩」以外で3位内にランクインしたのは初めてです。
ポイント付けてくれた方、ありがとうございました。これを励みに頑張って投稿開始します。
◇ ◇ ◇ ◇
しとしと しとしと 暗く重たい雨が降る。
しとしと しとしと 水たまりにズボリと足首が突っ込む。
私はひとり街中を歩いていました。
私はセーラー服を着ていました。
ただ学生靴を履いていません。
なんと素足です。
街を歩いている人たちは、皆さん靴をはいております。
誰も私のなど気にもしないで、忙しげに歩いております。
なぜでしょうか?
私は裸足なのに……
降りしきる雨の中、一人だけ傘もさしていないのです。
変だな、誰も私を見ていない。
ん? 何かおかしくないですか?
誰が?
何か、
おかしいよね?
誰が?
私が──。
そうだ、私が……おかしいんだ。
ふと、私は街のショーウィンドウのマネキンの後ろにある雑踏を映している姿鏡を見ました。
あれ?
忙しげに歩いている人々は映しだされても私の姿だけありませんでした。
──私だけ映っていない?
そう、私は姿鏡に映っていなかったのです。
私は慌ててきょろきょろと、忙しげに傘をさして街を歩く人たちを見渡しました。
そっか、誰も私が見えていないんだ、とようやく気付きました。
なぜ私は素足でセーラー服を着ているんでしょう?
私は誰なのでしょう。
ヤバいです、変です、なあんにも思い出せない。
でも……ただひとつだけ、分かったことがありました。
私は桜花高校の生徒だということ。
何故なら、制服のポケットに“私立桜花高校の校章”が縫いつけてあったのです。
制服のポケットにはチェック柄のハンカチが。
私の所持品はこれだけでした。
──ふう、仕方がない、
とりあえずこの制服の高校にいってみよう。
学校に行けば、私が誰なのか、思いだすかもしれない。
◇ ◇
しとしと しとしと 雨の降る中、傘もささずに私は素足で歩いています。
先ずは桜花高校に行きましょう。
桜花なんて素敵な名前、傘もささずに濡れた素足のままで歩きましょう。
きっと、何か、何かがわかるはず。
しとしと しとしと
と降りしきる雨の中、素足のままで歩きましょう。




