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キミの世界は青いから……  作者: 白い黒猫
謳う堕天部

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29/31

子守唄を歌いながら

 ぼんやりと柔らかな光が照らす廊下を、私は歌いながら歩く。

 廊下の左右には子どもたちの部屋が並んでいる。

 各部屋では、それぞれが一番安眠できる明るさに調整された空間で、子どもたちはベッドに横になっているのだろう。


    今日はどんな夢を見ようか

  フワフワ雲に乗って行こう

   広がる空の果ての果て

     星の国までひとっ飛び


 ポカポカお日様が照らす

   世界はキラキラ輝いている

  風と一緒に手をつないで

    虹の橋を渡ってみよう


 私は自作の子守唄を歌いながら、ゆっくりと廊下を進む。

 これは、界長から与えられた新しい私の仕事だ。

 以前、清掃の仕事をしながら何気なく歌っていた歌が、風に乗って子どもたちの部屋にも届いていたらしい。

 そして、その歌を口ずさんでくれていた子どもが何人かいたと聞いた。

 歌という形ではあるけれど、私のエールの気持ちが子どもたちに届いていたと知り、とても嬉しかった。

 ここでは、可愛らしいものや優しいもので満たし、視覚的に子どもたちを楽しませる試みをしている。

 音楽も流していたが、クラシックやヒーリングなど、医学的に心に良いとされるものが中心だった。

 歌詞の入った音楽は使われていなかった。

 そんな中、私が歌うように、優しく前向きな歌詞でエールを送るのも良いのではないか、という意見が安寧界天部会議で出された。


 そして、その音楽を作り歌う役目に、私が選ばれたのだ。

 曲を作り、歌うという作業は、不思議なくらい自然に私にしっくりときた。

 活動を進める中で、私は音楽で何かを伝えることが自分に合っているのだと実感した。

 直接話しかけるのとは違い、音楽なら少し距離を置いた形で気持ちを届けることができる。

 最初は単なる音として聞こえるかもしれないけれど、いつかその音が誰かの心に届く日が来るかもしれない。

 一緒に歌ったり踊ったりする日が訪れるのはまだ先だろう。

 でも、私の歌で少しでも楽しい気持ちになってもらえたら―そんな思いを込めて曲を作った。


   おやすみ そっと目を閉じて

     夢の扉を開けたなら

      そこは君だけの特別の場

    素敵な明日へと続く空


     夜空の星がきらめいて

   君の髪を優しく撫でる

    フワフワ雲が歌いながら

     そっと君を包んでくれる


   朝が来るまで冒険しよう

  ポカポカ陽気な夢の中

   夢り中で出会った世界

   きっと君の宝物


  おやすみ そっと目を閉じて

    夢の扉を開けたなら

     そこは君だけの特別の場所

    輝く明日へと続く空


「今夜は悪夢など見ませんように。せめて夢の中では楽しい気持ちになれますように」

 そう祈りながら、できるだけ柔らかく優しい声で子どもたちへ子守唄を歌った。

少し更新が開いてしまい申し訳ありませんでした。

ラストまで描き終えたので更新再開となりました。

楽しんでいただけたら嬉しいです。


こちらの物語、明日で完結となります。


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