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天狗と誘拐と女性と 27

大空視点

 夕食を食べて、外が暗くなってくる時間。

 大空は無言で部屋の中の布団の上に座っていた。


「……」


 その部屋の中で大空は無言でいたというよりも何も言えない状態でいた。

 古賀松と龍富の言い争いがあって、嫌な雰囲気は払拭は出来たが、問題はまだ中にいる状態だ。


「……」


 そして、同じく部屋にいた龍富も無言であった。

 龍富も今回のことで悪い事をしたと思ってのことか、あちらから話しかけづらい様子である。


(あー……話しづらい)


 目を閉じて髪をかきあげて、大空は愚痴を心の中で留める。

 こちらも話せない状況ではあったが、それでも脱却したい気持ちもあった。


(でも……何か話せないか?)


 その気持ちで視線を別方向へと変えた大空は話題は何かあるかと考えてもいた。

 その考えの中、大空の口は開く。


「えっと、龍富……いいか……?」


「ん……と、何か?」


 ぎこちない言葉で大空は龍富に聞くと、龍富からもぎこちなく言葉が来る。


「退魔力って、アタシにつかえるのかい?」


 無意識の中から出た大空の言葉がこれであった。

 出していい話題かわからなかったが、大空としても気にはなっていた事なので、とりあえずは良しとの判断を下す。


「あ、ああ。おそらく使えるはずだけど、試してみる?」


「使えるなら使ってみたいけど、もしかして今できるのかい?」


 話にのった龍富はさらにと退魔力の提案も出して、大空もその形に乗ることになる。

 龍富からもいつもの声調子で言葉が出ていた。


「ああ、コツを掴むのは退魔師がいないと難関だけど、俺から教えれば大体は出来る」


「へえ……」


 補足として龍富は退魔力の習得についてを話して、大空は話の納得を伝える。


「なら、いいかい? 今教えて貰っても?」


「ああ。朱鷺子さんは覚えておいて損はないだろうね」


 大空は提案を受け入れる事を話で伝えて、龍富もそれを受け入れると伝える。


「それじゃあ、手に触れてみたいんだけど、いいか?」


「分かった、頼む」


 それを聞いて龍富は両手を前に出して手に触れたいと話すと、それを大空は受け入れると言葉でも返す。

 龍富は大空に近づき、大空の両手首を各々の手で掴んだ。


「まずは……両手でボールを持つ様に両手を前に出して」


「これでいいかい?」


 指示として出た龍富の言葉。

 それに言葉で確認しつつ、大空は指示に従う。


「そう。それで胸にある気を思い浮かべて、それを両手から出してぶつけることを思い浮かべて」


「え!? そんなイメージでか? あまりにも簡単な感じで逆に無理な気が……」


 龍富の言葉から出たものは分かりはしたが、現実的ではなさそうな話ではあった。

 そんな言葉に大空は戸惑いを覚えてもいた。


(まあ、ともかくやってみてだな。確か、胸にある気を思い浮かべて……それを両手から出してぶつける……)


 せっかくの善意を無駄にはできないと大空は考えてもいた。

 そして、目を閉じた大空は龍富の指示があったことを思い浮かべて実行してみる。

 するとだ。

 気の様なものが両手の中央に出てきた。


「もしや、これが……」


「これが退魔力。ここまでは大抵の人はいけるんだ。あとは、俺の補助無しでできれば使いこなせたと言えるな」


 気に視線を向けて驚く大空の言葉に龍富はこれが退魔力と肯定の言葉を出した。

 一般人から一歩進めたとも大空は実感出来ていた、この気が証拠だ。


「補助なしでか……無理そうには聞こえるけど、もしかしていける気もするな、なぜか」


 言葉だけ聞けば無茶振りに聞こえるだろう龍富の言葉だが、不思議と無理ではないと大空は感じていて言葉にも出ていた。

 どことなく言葉にできないが、補助なしでのやり方は何となく分かる気はした。


「補助はあっても出しているのは朱鷺子さんだから、体は何となく出し方を分かっている段階なんだ。次に補助なしで何度もやって自分だけでもやるんだ」


「ああ、分かった」


 大空がいけそうな理由について龍富が語ると大空は了解を話す。

 龍富は手を離してから、大空は補助なしで再度退魔力を出そうとする。


「ん……? 出ないな……じゃあこれは……どうだ……?」


 退魔力が出ない、その様子に補助なしでの最初は無理かと大空は呟きつつ、再度試してみる。

 今度は気持ち出力を大きくしてだ。

 するとどうだ。

 今度は退魔力が出たのである。


「おお、そうそう。この感覚を忘れずに行けば、ここからの応用で色々出来るはずだ」


「なるほどね。この感覚が大事と」


 心なしか嬉しい気持ちが溢れているのか龍富は上調子で助言も含めた言葉を送る。

 大空もまた心からの喜びを抑えつつ、理解の言葉を出す。


「これが退魔力……ね」


 大空は出ている力を視界に入れて呟く。

 これで、一歩強くなれたことと龍富に少し近づけたという物証が目の前にある。

 心が踊らない訳はない。


(アタシも、化者と戦える領域に……少し近づけたんだ)


 喜びを抑えるかの様に大空は心の中で呟いていた。

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