天狗と誘拐と女性と 21
龍富視点
「驚いた……確保から一発なんて……」
白河は片付いた状況に再び驚きの声を出す。
龍富が御堂の方を気にかけると、御堂の方は鍵の入った氷の塊を下に置いて氷を破ろうと踏んでいた。
他の皆も御堂の方に集まっていた。
「サブロー、大丈夫そうか?」
「ちょっと待ってくれ、思ったよりそっちが早く終わったものだし」
龍富は声をかけてみて、御堂は待っていてくれと返事をする。
「この攻撃は準備に時間もかかる上に攻撃までに色々と制約もある大技ですから」
御堂の状況を確認してから、龍富は白河に向けて攻撃の解説に入る。
御堂の方は任せると言った上、龍富が出来ることは現状なさそうなのが解説に移った理由となる。
「これは与えた衝撃をスイッチ代わりにして貯めた退魔力を刀の周囲に炸裂させる攻撃なんです。貯めた退魔力と与えた衝撃の二つが大きいほど威力も高くなるんです」
続けて龍富は先ほどの攻撃について解説をしていた。
「ただ、炸裂はある程度抑え込めますが、与えた衝撃がでかいと誤作動も有ります。その上、刀も目に見えて光るようになるので使い勝手は悪いですがね」
「じゃあ、そんな手軽に使えるってわけでないのね。だから大技と」
思った以上に使いづらい攻撃と龍富は話して、白河は理解の言葉を出す。
また、硬いドアのところでは刺せる場所もなさそうな上に、やったとしても効果は薄いようにも見えた。
「なかなかの実力持ちじゃない。私だけならこうも手早く終わらなかったわ」
「いえ、それは俺だって。白河さんがいたからこそ大技が使えたわけで」
予想出来てなかった白河の評価の言葉、その言葉に龍富は萎縮してしまい、謙遜の言葉が龍富から出る。
龍富自身は評価の言葉に悪い感情はなかったが、この言葉が出たのは無意識であった。
と、ここで御堂から待望の言葉が出ることになる。
「よし、取り出せたぞ!」
「お! 助かった! なら早速開けるぞ!」
取り出せたと御堂は報告をして鍵を持った手を挙げる。
それに龍富は早速開けると告げた。
「結局、鍵は板挟みになった状態で蓋をされた状態だったから、周りを少し砕いて取り出せた」
「簡単に済んでよかったよ。これであのドアも……」
氷の残骸へと視線を向け、御堂は簡単に行った経緯を話すと、鍵のかかったドアに視線を向けて龍富は言葉を出す。
龍富達はすぐ様ドアに向かい、御堂は鍵開けに取り掛かる。
「多分いるから、あの女将さん……気をつけて」
「いてもおかしくなさそうだしな。ドアからここ以上の冷気が流れているし」
そこでと大越は注意を呼びかけると、大空も同意の言葉を出す。
確かにここ以上の冷気がこの部屋へと流れていたので、納得と予感が龍富にもあった。
「なら、俺が先頭を行くから、開けたらすぐ突入するぞ」
「分かった。その後にアタシ達も続く」
女将がいると踏まえて、龍富は開けたら先人を突っ切ると話し、大空は了解を伝える。
金属が噛み合う音が後に響く。
「よし! 鍵も外せたし、ドアも開ける」
錠も外して御堂は言葉と共にドアを開ける。
言葉をきっかけにすぐ様龍富は部屋へ入って行った。
その部屋には部屋の奥で柄池が化者状態の女将に押し倒されている状態だ。
「な、なんでこんな……?」
この光景に戸惑いの言葉を龍富は出した。
上の服の前の部分を縦に割かれた柄池が押し倒されていると言う状況に、戸惑いを感じていた。
「お、おい! 今すぐ助けてやるから」
入ってきた御堂は言葉と共に走って
「ガボァ!!」
悲鳴と共に御堂は見えない何かにぶつかり、押し返される。
「おい! 大丈夫か?」
龍富は戸惑いと共に心配の声を御堂にかける。
不意に押し返された御堂は倒れてしまい、御堂の元へと龍富は駆けつける。
部屋に入った八雲はぶつかった周辺に手を触れて口を開く。
「見えない壁、と言うよりも透明な氷が壁になって塞がっている訳ね。それも一面に」
「ってことは、やっぱり壊すしかなさそうだな」
触れながら八雲は壁について話し、大空もまた触れながら突破手段を語っていた。
大空は八雲より先に入ってきたようで、龍富自身もその手段については同意出来た。
「あら? お客様でしたか。お取り込み中ですので、しばしお待ちを」
こちらの存在に気づいた女将は待つようにと話す。
一方、御堂はゆっくり立ち上がって体勢を整えていて、ダメージ自体は深刻なほどあるわけではないようだ。
「とにかくだ! 助けなきゃ!」
まずは救出優先と無理に頭を切り替えて龍富は真っ直ぐ刀を構えて突っ込んで行く。
壁と刀は触れて弾き返されてしまう、衝突音を響かせて。
「ああ、それと氷の精を倒してきた様ですが、この壁はあの氷の精よりも硬いと言っておきます」
「す……すまない、みんな。助けてほしいんだ……」
いらない親切として女将は丁寧な忠告をしている中、柄池は声にして助けを求めていた。
「もう一つあって私の気が散るため、お客様にも礼儀と言うのは守っていただきたいので、静かにしているか引き下がってほしいのですが」
こちらへと厳しい目を向けて女将は強い口調で咎める言葉を出す。
「おい、壁がある様だな。俺も何かしたほうがいいか?」
「いや、ここも俺と白河さんとでやるしか無い。下がっていてくれ」
古賀松の手伝うかとの言葉に龍富は下がっていてくれと話す。
ここに壁を挟んで白河と女将、加えて8人の皆が部屋にいることとなる。
それでも壁を打開出来る可能性は龍富と白河にしか無いと感じていた。
「え!? あの女将さん……と、ともかく壁をどうこうするって話でしょ? 何か考えは?」
白河は戸惑いの言葉と共に、壁の対処の考えを龍富に向けて聞いてくる。
「あの壁は氷の精よりも硬いので、相当手こずると思います」
「そう、それで打開策は?」
まずは現状と龍富は壁について話すと、白河は打開策について聞いてきた。
打開策はあった、すごく単純なものが。
「特別なことはありません! 俺は刀で、白河さんは足で壁を攻撃するです! 何度も!」
「成る程! 分かりやすい!」
現状それしか無いとの意味も含めて、龍富はこの方法と伝え、白河も理解を話した。
その二人の言葉を皮切りに二人は壁に助走をつけて向かう。




