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天狗と誘拐と女性と 15

大越視点

「では、何か他人からの見聞きで柄池のことは知っていますか?」


 龍富は女将に職員の方から情報を探ってみるよう言葉で問いかけた。

 その裏で大越は女将の元へ歩み寄って行く。


「あの、仕事の邪魔しているので、良ければその荷物を持って行きましょうか?」


「いえ、邪魔ではないので、持って行く必要は御座いませんよ。ご心配かけて申し訳ありません」


 事情とは言え女将の時間を奪っていて大越は申し訳ない気持ちで手伝うかと聞く。

 その言葉を女将は柔らかく断りの言葉を入れた。


「そうでしたかすいません、聞き込みの邪魔もして申し訳ありません」


「いえ、ご親切にありがとうございます」


 立ち止まって大越は頭を下げると共に謝りの言葉を出し、女将はその手伝いに感謝を述べた。


(断られた、でもそれは想定のうち)


 断られる気はした、と大越は心の中で呟く。

 ただ、この行動は断られる受け入れるの選択に意味があるわけではなかった。


「それから従業員の見聞きですが、それも……特にないですね」


 話を戻そうと女将は職員の見聞きについては無いと語る。

 さらに女将は言葉を続けた。


「もし宜しければ、一時的に従業員を集めて、従業員に聞いて見ましょうか? 少しの時間であれば時間の拘束も大丈夫ですが」


「いいのですか? 職員にまで迷惑をかけて?」


 女将の提案に驚かされて龍富の言葉も驚きに染まった。

 他の従業員の力も借りれることに大越も驚く。

 同時に大空、古賀松も驚きの表情を浮かべていた。


「一気に全員集めてでなく一人一人招いての形なら大丈夫でしょう。人数も多いわけでないので」


 手伝いの補足と女将は従業員への聞き込みについて語る。

 そこである人物が声を出した。


「あの……一ついいですか?」


「はい? どうかなさいましたか?」


 ある人物、愛川は女将の後ろで聞きたいことがあると話し、女将は何かと答える。

 大越が手伝う提案をした時に愛川は移動を始めていて、あの提案の本当の意味は愛川への注意をそらす目的があった為である。

 女将は愛川の力を知らないだろうが、念のためとの意味が込めてある行動だ。


「柄池君は何処にいますか?」


「ん?」


 愛川の質問、大空の疑問に思う声。

 愛川はいつになく深妙な表情をしていたのであった。

 女将に触れていたままで。


「あなたの心の中を見たのですが、柄池君を眠らせて何処かに運びましたよね」


 愛川は心の中を探った結果を口に出した。

 女将は愛川に向けていた視線を正面へと向きを変える。


(これって、まさか……)


 空気の変化に気づいたとの声を大越は心の中に押し込む。


「もう一度聞きます、柄池君を何処に運んだのですか?」


 触れた手を離して愛川は距離を一歩置いて柄池の事を聞く。

 言葉の後、気温が急に下降したような気がした。


「急に冷たく……なった」


 気温の変化を大越が呟くと、古賀松、御堂、大空も周りを見渡し始める。

 まだ春で気温が冬の様に感じて


「愛理栖ちゃん! 伏せて!」


「え? 何か落ちてく」


 何かを感じた大越のとっさの言葉。

 愛川は異変は感じたと呟くも、その愛川の言葉とともに女将は手で周りを払った。

 同時に周りに鋭利な氷の塊が放出される。


「あ……」


 愛川は言葉とともに下がるも、氷が当たる。

 その寸前で愛川は大越に押し倒されて、

 間一髪避けることができた。


「く! そう来たか!」


 言葉とともに刀を抜いて、抜いた刀で龍富は氷を受け止める。

 氷は白川にも飛んでいき、それを白川は蹴りで弾く。


「うわっ!」


 大空はかわそうと声と共に体をずらすも早い氷が向かってきた為、腕にかすって傷を負ってしまう。

 傷自体は小さく、動けないほどではないようだ。

 また、古賀松、御堂は避けるのに成功して、八雲は動かずにさけることになる。


「まさか、あなた……」


「そうです、ここまでやったことがばれるようでは誤魔化しも通用しないでしょう」


 八雲は女将についてまさかと言葉をかける。

 女将はそうだと肯定する言葉を出す中で、龍富は刀を抜いて構え始める。


「あなた、雪女ね」


「その通りでございます。やった事がばれなければ、こんな事するつもりは御座いませんでしたが」


 女将の正体について八雲は本を片手に呟き、女将も肯定で言葉を返す。

 女将は氷結した床の上で水色の髪をなびかせていた。

 化けた様で着物も白に染まった着物へと変わっている。


(愛理栖ちゃん、やっぱり大きい)


 愛川に覆い被さる形で大越は倒れ込んでいて、大越は愛川の胸のことを心の言葉で呟く。

 急変の状況だが、大越の頭は愛川の胸が挟まる位置で収まってもいて、心の言葉として呟きたくなってもいた。


「それでは……」


 言葉と共に女将は走って行く、人のいない通路へと。


「待てっ!」


 その言葉と共に龍富は追いかけ、八雲、古賀松、大空、御堂、白河も続いて行く。

 大越は体制を整えてようやく走れる状態であった。

 その追跡も許さないと女将は氷の塊をこちらに投げた。


「くっ!」


 攻撃に不満の言葉を放つ龍富は立ち止まって刀で氷を弾く。

 氷の数も先ほどより少なく、龍富に続いた八雲達も止まって避けることはできた。

 大越も遅れを取り戻そうと走って通路に行くと、地下へと続く階段があって大越も後をついていく。


「私も行かなきゃ!」


 声と共に愛川も大越の後ろを追っかけていき、大越は地下の階段を下って行った。

 階段を降り切ると大越は6人が一本の通路内で立ち止まる様子を見る。


「どうかしたの?」


「あのドアが有るからさ」


 大越の疑問に大空は奥の方を親指で指しつつ、言葉でも原因を示す。

 大越が覗くと、鉄のドアに古賀松が体当たりをして衝撃音を出していた。

 それでもドアは開く様子もない。


「龍富でもダメだし、俺でもやっぱ無理か……」


「あそこさえ開けば……追えるのに」


 痛みもやはり有る様で古賀松は後ずさりしつつ通用しないと話し、龍富はドアさえ開ければと呟いていた。

 あそこに女将が逃げたと判断して間違いないだろう。

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