天狗と誘拐と女性と 14
大越視点
「え? なんで、そんなことが分かって……?」
古賀松の突然の疑問。
大越はそういえば愛川はそんなことが出来たと思いだす。
「私は触れた人の心が読めるから。本当はもう少し早く読んだ方がよかったけど」
愛川は何故かと解説を始めた。
そう、自己紹介の時に突然話された大越びっくりの読心能力であった。
「ばれるように目立つことをすると警戒されて失敗の可能性があったし、ここがいいタイミングだったの」
「そうだったわね。じゃあ、白河さんの本音も分かると」
続けてこのタイミングでの接触について愛川は語り、大越もこれで白河の心意が分かると語る。
「あー、そういえば」
古賀松は握った拳で掌を叩き、軽快な音とともに思い出したとの言葉も出す。
白河は安心したのか、肩の荷を下ろして息をつき、笑顔が戻っていた。
「白川さんの言った通り、柄池君は白河さんと別れた後は何も知らないし、スマホでいろんなことをやっていたことは分かるの」
「じゃあ、仕事の話っていうのも」
愛川の話に突っ込む形でやや戸惑いの色が染まった声で龍富は質問する。
やったことがあれなので龍富の気持ちもわかる上に、大越は責める気は無かった。
傍では龍富の追及に白河は凍結したように固まっている。
「……本当のこと、よ。別れた後で、誰かに手を回したっとこともないから、白河さんは犯人じゃないよ」
「じゃあ、八雲さんがした物音ってのは……」
白河を見た後、少し目をつむって愛川は答え、御堂は八雲の方へと疑問を出す。
愛川の意味のある区切りと溜めに大越は柄池の行方とは別の隠し事を察し出来た。
その証拠にどこか白河の顔が赤く染まっている。
「ごめんなさい。聞き間違いだったようね」
「じゃあ、これ以上の調査は無駄ってことだよな。愛川が言うんじゃ」
八雲の謝罪の言葉の後に大空のまとめの言葉。
八雲も間違いかもしれないと言っていたので、責めることはできない行動である。
「え、っと……そのすいません、疑ってしまって……」
「ああ、いいのよ。私が疑われてもおかしくないし、こう聞かれても……仕方ない部分もあるから」
龍富は頭を下げて謝罪の言葉を出し、白河も苦笑いで気にするなと言葉でのフォローをする。
「それよりも本当の犯人を捜さないといけない、でしょ?」
「そうですけど……確かに……」
話の切り替えとして白河は犯人のことについて言葉を出し、御堂も一応を匂わす同意をする。
大越としては白河と柄池のやったことへ追求されたくない故のごまかしにも見えた。
「私もこれを見過ごすわけにはいかないから、手を貸すわよ」
そして白河も手を貸す事を宣言した。
「ありがたいですけど、本当にいいんですか?」
「それはそうよ、誰のせいで疑われたのって。私が加わる理由はそれでもおかしくないでしょ?」
ありがたいともいうも御堂はそっちの方はいいのかとも疑問を出して、白河は不満と理由を話す。
これからは人手に頼る捜索が予想されるので、それはありがたい。
手がかりは他にないように見えたからだ。
ただ、男性陣は分からないだろうが、本当の理由は柄池の現状に不満が絡んでいると大越は考えていた。
おそらく、大越以外の女性も理解はできたと思われる。
「ありがたいです、本当に……けど、白河さん以外に手がかりがありそうな人はいない状況で」
「まあ、そんな気はしたわ。私に聞いてくるってことだし」
龍富も大越と大体同じ考えだったのか、龍富もまた手がかりがないとも言葉を付け加える。
白河もこちらの状況への理解を言葉で示し、ここでもありがたい部分もある。
「でも、こういう時に聞いてみた方がいい人、もう一人いるんじゃない? あの人に聞いてみたら?」
白河の提案、あの人に聞いたらと。
その後の白河の挙げた人物は周りが納得出来た。
「なるほどな。ここまで来たら、あの人に聞くしかないな」
「その人が犯人だとして、簡単に見つかるかってのも問題が……」
御堂は移動しつつ納得を語り、古賀松は犯人について移動しつつ語る。
8人は一階の部屋から歩いてある人物を探していた。
「それでも探さなきゃだけどな」
「そりゃそうだな、見つからないならその時考えて、だな」
古賀松の言葉に大空は突っ込みの言葉を入れて古賀松も大空の言葉に同意をした。
白河を含む8人の列は足早に移動して、大越と愛川は列の後方にいる。
(あのこと聞けるのは今だけみたいだし、ちょっとだけ……)
愛川へ視線を送り大越は思考をした。
大越は愛川の方へ手を招いてみんなと少し距離を置く。
意図を読んでくれた愛川も速度を落として、大越と同様に距離を置いてくれる。
「ねえ愛理栖ちゃん、白河さんの心を読んだ時だけど……」
「あ、やっぱ聞く……?」
大越が気になったこととは白河がやったこと、そのことを小声で愛川に尋ねる。
愛川も予想は出来たと意味の言葉で返した。
「白河さんと柄池君の話って、やっぱり……あれ?」
「……やっぱり、あれ」
大越の言葉での追求に顔を赤くして愛川は答える。
愛川の友人という立場である大越はこの話を一番聞ける可能性がある、ならば尚聞きたくなることであった。
ただ、大越に一部誤解されたくなかったのか、すぐに愛川は言葉を続ける。
「……でも、お誘いされただけで、乗ることはなかったよ。柄池君は」
「へへー、そうなんだ」
愛川はやや慌てた表情で補足の言葉を入れて、頷きつつ大越は感心の言葉を出す。
もっと踏み込んだことになっていたと考えていた大越の予想を裏切ってくれる。
「すごいなー、柄池君は」
驚きと感心の言葉を愛川に聞こえる音量の声を出した。
簡単にそういうお誘いにやられてしまう男性でないと感心したからである。
愛川は複雑な表情で言葉を返すことはしなかった。
大越はその表情について理解ができて
「ん……あれ?」
と、思っていた時に大越の無意識から言葉が出る。
大越はある匂いを感じ取ったからだ。
「近くに……いるかも知れない、あの人が」
「え、本当?!」
大越は探している人物が感で分かったと伝え、愛川も簡単の言葉を出した。
ただ、一つ違和感もあったが、先ずは大越の感として報告が先だった。
「みんな! 私の感だけど、近くにいるかも知れない!」
「本当か!? 大越さん!」
その意が大越からの連絡をさせて、龍富は驚きの声を出す。
違和感は分かっていた、ある人物を探し始めた時にはある人物の匂いはなかったのだ。
そこに違和感がある。
「私について来て!」
「分かった!」
大越は先頭を動いて誘導すると伝えると龍富は了解を伝える。
龍富を含む5人は頷いて、愛川は何もせずともでついて行く意思を示した。
その5人に白河は除いているが。
「え!? そんな感でいいの?」
「ついてくれば分かるよ!」
当然とも言えるが白河から行動への疑問が言葉に出て、愛川からついて来てと返答がきた。
大越について行く様に白河は戸惑うも、少し遅れて白河は列について行く。
そして移動をして着いた先にあるのは一階にあるロビーであった。
「一つ聞きたいことがあります、いいですか?」
「はい? 何で御座いましょうか?」
ある人物に目を向けて龍富は言葉を向け、その人物は何かと答える。
「柄池が居ないんです、どこか分かりませんか?」
龍富は聞き出した、ある人物、旅館の女将に。
その女将は持っていたものを近くの椅子の上に置き、答えた。
「あら、柄池さんが……?」
女将は柄池に何かあったことを知ったとの意味も含めて返答をした。
「え? 感だけでこれって……」
白河は驚きの顔と言葉で表情を体現していた。
最も感ではなく匂いから探ったのだが。
「いえいえ、私は見かけておりませんよ。昼食後見て、それからは見ておりません」
女将は龍富の疑問に答える。
そこに慌てる様子は全くないように見える。
「もしや、急な用事で外に出かけたのでは?」
「いえ、そんなはずはありません。そんなことの前に、連絡を入れるはずですから」
顎に指を触れさせて女将は別の可能性について話すと、龍富はそれを言葉で否定した。
その様子にやや不満が乗った顔で白河は口を開く。
「龍富君だけど……あの子、私に聞いた時より雰囲気が違くない?」
白河は小声で小さい不満を呟く。
確かに龍富は白河の時よりも柔らかい雰囲気で言葉を出していたが、大越には当然の理由を出せる。
最も女性陣も同じ理由ではあろう。
「信用できないし」
「犯人候補だったし」
「嘘をまとったみのむしの話なんて……」
「あんなこと言ってたんじゃあ……」
愛川、大越、八雲、大空の順に突っ込みの言葉が入り、白河の顔が気まずさに染まる。
「聞いた私に非があったわ……ごめんなさい」
それを白河は謝罪の言葉を出して対応する。
悪気を感じているところはあるようだ。
男性陣は分からないが、仕事の話と誤魔化すことをしていれば、犯人だと疑われてしょうがない。
(じゃあ、愛理栖ちゃん、そろそろ……)
言葉なき意思を込めた視線を愛川に送る。
愛川も伝わったようで、頷きつつ動き出す。
事前に簡単な打ち合わせをしたことをこれから移す時がきた。




