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天狗と誘拐と女性と 7

大空視点

 そして、四組が探している中、その組の一つが秘匿像を見つけたと連絡が入った。

 そこから8人は白河の元へと戻り、秘匿像を届けたのである。


「これよ、間違いないわ。貴方達に頼んで正解だったわ」


 白河は置かれた秘匿像に手を置いて、指示した像に間違いないと言葉に出す。


「良かったです。お届け出来て」


「持ってくれてありがとう、龍富君。私だったら多分持って行くの大変だった」


 龍富は届けて良かったことを言葉にし、愛川はここまで持って来た龍富に礼を述べた。

 今回秘匿像を見つけたのは龍富の組である。


「あ、うん……どういたしまして」


 どことなくぎこちない様子で龍富は返答する。


「あー、王駕くんに先越されるのはなー。俺の方がとってくれればって思ったんだけど」


「うー……ごめんね、マッツ。私の感も今回はダメだったし」


 古賀松は少し悔しさを言葉でも出して、大越は見つけられなかったことで謝りの言葉を入れた。


「おっと、来海ちゃんが気に病むことじゃあないぜ。来海ちゃんは頑張ったし、俺がもっと効率よく探せば見つけられたかもしれないから」


「マッツもそう言ってるし、気にする必要はないよ。今回は運が悪かっただけだよ」


 申し訳ない言葉に古賀松は直ぐに気にするなと言葉を入れて、柄池も言葉のフォローに回った。


(いくら探すのが得意でも、探せる範囲になければどうやっても見つからないしな。運も絡むことだったな、これは)


 大空はその様子を見て、古賀松と柄池と同様の意見を思い浮かべていた。

 大空としても大越を責める要素は全くなかった。

 白河が柄池に視線を向けているところで、大空は御堂が声を出そうとするところも目に入れる。


「あの、ところで一つ気になったことがあっていいですか? 白河さん」


「何かしら?」


 御堂は一つ疑問を白河に投げて、白河もそれに言葉でも応じる。


「今回の秘匿像についてなんですけど、これをあそこに置く意味って何かあるんですか?」


「そうね、これくらいは教えてもいいかな。後は待つだけだし、私のやることは」


 御堂はその疑問に言葉で触れて、白河もそのことならと教える意思を表した。


「あの像ってね、周囲の監視目的もあるのよ。密閉された空間に置かれても外側まで見えるくらいに」


 白河は手で像のてっぺんを軽く叩いて、像のことについて話し始める。


「世の中は早く変化しているからね、時に誰にも予想できないほどに。だからあの像から周囲の光景を見えるようにしているの」


「そういうことで、置いていると……」


 白河の像についての話に御堂は納得の声を出す。


「え? それにしてはあの像は簡単に持ち運べるじゃないですか? てっきりもっと厳重に収められているのかと……」


「いや、あれはあれでいいのよ。赤の他人が持ち運んでも大した事ないのよ」


 聞いた話に意外性があったのか龍富は驚きに染まった声で疑問を出す。

 その疑問には八雲が傍で答える。


「それってどういう事?」


「敢えて盗まれやすいようにもしているのよ。あの像は監視目的で常に様子を確認できるの、天狗以外が運んでもね」


 八雲の方を向いて龍富は疑問を向け、八雲は続けて解答する。

 その解答だけでは龍富の満足いく解答にはならなく、疑問は頭に残っているようである。


「でも、それだけでは盗まれて帰って来ないってことも……」


「盗んだ人を追い詰めて、取り返すのよ。場所もすぐ掴めるから、天狗達には追って取り返すなんて容易なのよ」


 龍富は疑問について言葉に出すとそれにも八雲は答えた。

 天狗も機動力はあると聞いていたので、遠いところに持ち去られても一人で追うことはできそうである。

 その解説に龍富と柄池は頷いて納得していた。


「成る程、そんな事が……」


「恐れ入ったわ。私の解説が半分とられてしまうなんて。よく知っているわね」


 御堂は納得の声を出し、白河に至ってはその知識に恐れ入るとまで返答をする。

 底の知れない八雲の知識に大空もまた恐れ入るところまで行っていた。


「昔はこの像を盗むなんてことする人は居なかったけど、最近は他の像を盗むなんてことも増えているからね。最近、それの制裁も増えている状況よ」


 白河は像にまつわる現状を語る。


「この像も定期的に動作確認が必要なのよ。それで持ち帰って動作確認するってわけ。あと、持って来るまでの様子も私以外の誰かに確認されるから、そこは観念した方がいいわよ」


「あ、そうですか……」


 白河はからかい半分の笑みも付け足して解説をして、龍富は理解を言葉にする。

 とここで不意に白河の背後から男性が現れる。


「白河、どうだ? 秘匿像は」


「あら、もう来たの? ここにちゃんとあるわよ」


 男性は白河から状況を聞くと、特に畏まることなく白河は現状を話す。

 突如現れた男性は羽衣を肩にまとって天狗の面を顔につけていた。

 会話からして白河の知り合いだろう。


「あの子達が退魔師同盟と。白河から聞いているとは思うが、礼はこちらからも言っておく」


「いえ、こちらは当然のことをしたまでです」


 男性は8人に向けて礼を言い、柄池はその礼に言葉を返す。


「じゃあ、この像は運んでもらうから。任せたわよ」


「分かった。これはしかと運ぼう」


 白河の像を任せるとの言葉で男性は了解との言葉を出した。

 そう言うと、男性は羽衣をまとったまま像を担いでひとっ飛びをする。

 そして男性はその姿のまま霧のように消えていった。


「うおっ、消えたぞ……」


「確か天狗は姿を消して移動もできるって聞いた……でも、なんでだっけか?」


 消えたことに古賀松は驚きの言葉を出し、龍富は消えたことについて朧げながらの様子で知識はあると話す。


「霧羽衣のおかげよ。あの天狗が身につけていたあの羽衣」


「そんなのも天狗にはあるのか」


 そこで八雲は解説を入れて、大空は天狗の所持物に言葉でも驚く。

 龍富も大空から比べれば化者の知識はある方で凄いが、八雲がそれ以上にあって八雲に驚かされる方が多い現状だ。


「あれは厳密にはまとった姿を他人の意識の外へと追いやるの。透明になるのと同じだけど、何かしらの方法で存在を意識出来ると見えるようにはなるわよ」


「そんなのだっけな。でもあれって他人から見えるようにはどうすれば……?」


 八雲は霧羽衣の解説に移り、龍富はどうすれば見えるかと言う話を聞いてくる。

 確かに羽衣を持った天狗と対峙すれば、厄介なことにはなるので、聞いておきたい気持ちは理解出来た。


「見るだけだったら、そこに居るって意識を強く持てば普通の人でも薄っすらと見えるって話よ」


「と言うことは俺たちでも天狗って見えると?」


 今度は白河からの解説が入り、御堂は疑問を投げかける。


「近くを飛び回り続けるなら分かるけど、あったこともない、しかも直ぐに通り過ぎていく天狗を意識するなんて、一般人が出来るはずはないわよね」


「ああ、そうか。じゃあ無理か」


 白河からの追加の解説に御堂は納得の言葉を出し、龍富もまた納得の意思を頷いて表す。

 その様子の外で、大越は川沿いの道に沿って視線を動かしていた。

 いるかもしれない天狗を追っているのか。


「だとさ、大越。余程のことがないと見えないと」


「え? っと……そうね。確かに見えないわね」


 探している大越に大空は見えそうにはないと進言し、大越はぎくしゃく気味で見えないとの言葉で返答した。


「それで人に気付かれず、派手に吹っ飛んで移動出来てるって訳か」


「天狗はだいたい持っているものよ、私も含めて」


 古賀松は羽衣のおかげであのような移動ができると言葉に出し、白河はその羽衣についてもさらに解説を入れる。

 あんな移動を普通にやれば世間でも大騒ぎであるが、今まで騒ぎにならないのは羽衣があってのおかげであろう。


「さて、これで私のやることも終わった訳だし、旅館で休めるわけね」


 手を組んで上に一伸びをして、白河は仕事の終わりを告げる。


「では、これで俺たちのやるべき事は終わったってことで?」


「ふふっ、そうよ。急ぎの仕事だったけど、念のためと1日かかるものとして予定は組んでいたからね」


 柄池は終わりを白河に言葉で確認し、白河は終わりであることを肯定した。


「あなた達が早く終わらせたおかげで、今日の私はゆったりと過ごせそうよ。ありがとう、柄池君」


「いやいや、見つけたのは俺じゃないですよ。俺じゃなくてみんなに言ってくださいよ」


 白河は礼を柄池の方に言うが、それは違うと柄池はみんなに向けてほしいと言葉でも願う。

 柄池はここをまとめるリーダーなので、リーダーだけに言うのも間違いではないとも大空は感じていた。


「ああそうね、いけない。退魔師同盟のみんなありがとうね」


 その訂正に応じて、白河は皆に向けて礼を言い直すことにする。

 そして白河はすかさず次の言葉を続ける。


「と言うことで、私は先に帰らせてもらうわね。昨日から今まで予定が詰まっていて大変だったから、早く旅館で休みたいのよ」


「あ、それだったら、お先どうぞ」


 白河は帰ることを告げて、柄池はそれを許容する言葉を話す。

 柄池も切羽詰まっている白河の様子を見ていたからなのであろう。


「では、お言葉に甘えさせてもらうわ」


 そう言って白河は急いで旅館への道を走っていった。





 ちなみに大越は匂いから意識出来て、男性天狗を半透明な形で確認出来ています

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