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天狗と誘拐と女性と 5

前半柄池視点。後半龍富視点

 男女で1組となり、8人は組となって別々に探し始める。

 その1組は川沿いの道を歩いて調査をしていた。


「探すと言っても、ほこらまでは確認してなかったな」


「そうね。ただ、ほこらの場所を調べるよりも足を動かした方が今回はいいかもしれないわね」


 柄池は後悔気味の声でほこらまで確認してなかったと歩きつつ話し、八雲はそれよりも動いて探す方がいいとこちらも歩いて語った。

 八雲はいつも通り本で顔の下半分を隠してだ。


「それもそうだ、急いでいるし、足を動かさなきゃだな」


 柄池は足を動かすことに同意する。

 そこで歩いていると、柄池は坂の下の道に穴のある場所を見つける。


「あれ? もしかして、ほこらじゃ無いかな?」


「その様ね。行ってみましょう」


 柄池はほこらかと声を出して、八雲もその様だと声を出して、二人は移動する。

 穴の場所へと移動して柄池は穴の中を覗く。

 その視界には中の全景までは見えなかったが、奥は深くないことは映った視界で理解出来た。


「そんなに奥への深さも無いし、俺が行ってくるよ。八雲さんはそこで待っていて」


「あら? 一緒に行っても私は構わないけど、いいの?」


 柄池は直ぐに探し終えることができると踏み、八雲に待つ様に話すと、八雲は一緒に行けると話す。

 もしかすると、本の裏で笑みを浮かべての言葉かもしれなかったが、隠れている以上は考えることに意味は無い。

 どちらの可能性もある以上はどちらか一つと判断するのに時間がとてもかかるためだ。


「いいさ、ちょっと狭いかもだけど、俺でもいけそうだし」


「そう? なら任せることにしようかしら」


 こういうことを女性に任せることはよくないと、柄池は判断したことを口に出す。

 それで八雲は理解を口にして、柄池は姿勢を低くしてほこらの狭い入り口を通っていく。

 入り口も狭く、通路の壁に何回かぶつかるほどであったが、柄池はなんとか通り抜けた。

 その先には人が4人ほど入れそうな何も無い空間が広がっていた。


「ここは何も無いってこと……あ、これは」


 柄池が見渡すと壁に穴を見つける。

 その穴を柄池が覗き込むと、地面を這うように上体を入れれば壁の先の空間も見えるかもしれない穴だと分かる。


(今の八雲さんに入ってもらうのは悪い感じの穴だ。俺が一人で行って正解だね)


 自らが入った時の態勢を考えて、柄池は一人でほこらに入って正解だと心の中で感じていた。

 今の八雲も短いスカートを履いていて、その状態で入れば申し訳ないことをさせてしまう。

 八雲一人で任せることも可能だろう。

 しかしほこらの入り口からこの穴に入った状態を見える可能性もあって、この場に八雲一人も不味かったであろう。


「ともかく、入って奥を見てみるか。多分俺もいけるはず」


 その言葉と共に上体を低くして地面に手を付け、柄池の体を穴に潜り込ませる。

 体を潜らせてすぐに光を感知でき、柄池は頭を光が入る空間へと伸ばす。

 その結果、頭だけは先の空間に入れることは出来た。


「えっと、ここはどうなっているんだ?」


 柄池は言葉と共に頭を動かせる方向へ可能な限りの範囲で動かす。

 視界に入った空間は先ほどの空間よりも小さく、何か物らしいものも置いてない。


「……何もなしってことだね」


 柄池は何もないとの成果を言葉にもだして、潜らせた上体を戻す。

 そして体を立たせて、ほこらの入り口へと歩を進めた。


「ここは何もなし、奥も含めて」


 服に付いた土を払って柄池は成果を伝える。


「そう、じゃあ他を探しましょう」


 八雲は他を探す提案をして、柄池も頷く。


「変なところに頭を突っ込んで大変なことをしていたわね。私ならある程度は楽だったはずよ」


「八雲さんに任せても大変だったしね。女性に任せるにしても、それは悪いさ」


 八雲は柄池へと気を使う言葉を送り、柄池は任せるのも悪いと言葉を返す。

 言葉から察するに穴に潜っていた様子は八雲も見ていた様だ。


「ところで、柄池君はなぜそんなに化者に好かれるのかしら? 自身を見て何かわかりそう?」


 八雲は不意に柄池のことについて聞いてきた。

 突然の話の切り替えではあったが、いつまでも引きずる話題でも無いと、柄池は移動しつつ話題に乗ることにする。


「えーそうだねー、それが分からないんだな」


「化者の女性にも好かれたんじゃないの?」


 話題には乗ると考えるものの、この話には分からないと柄池は答えるしかなかった。

 そこで八雲は深い部分の話を歩みと共に聞いてくる。


「いや、そうでも……というよりも、高校の時は化者の女性に関わったことあったけか? 化者のおばあちゃんには関わった覚えはあるけど」


「あら? そうなの」


 柄池は関わった化者について思い起こして、それを言葉に表すと、意外との口調で八雲は言葉を返す。

 思い返してみると、女性の化者は老婆の化者と関わったぐらいだと気付く。


「それ以外だと、人魚の件ぐらいかな、これは8人での行動していての時だからな」


「じゃあ、一つ言っておくからね」


 後は最近だと人魚の件と柄池は言葉で補足すると、八雲は一言言っておきたいと伝えた。


「今日から女性の化者には気をつけた方がいいわよ、柄池君は化者に好かれるからね」


 忠告の様な八雲の言葉。

 八雲とは龍富以上の付き合いの長さは無いが、化者の知識と言う地力を持った言葉は説得力があった。


「んー……そっか、忠告ありがとう」


 柄池は忠告の礼を言葉にする。

 人魚の件は八雲の忠告を聞いていい部分もあって、今回も胸に刻んでもいいと感じていた。



 他の組みとして龍富の組も同じく探していた。

 今、龍富は一時的に個別になっても問題ないと判断して、個別に小規模の洞窟を調査していた。

 龍富は洞窟の奥を探している最中である。


「この像は……違うな」


 像を見て龍富は探している像とは違うことを言葉にする。

 この秘匿像というのは羽の生えた天狗を象った四角柱の像だと説明を受けていた。

 さらに天狗は秘という漢字一文字を正面に掲げているという、分かりやすい特徴もあって他の像とも区別がつきやすかった。


「他に像もなかったな、ここには」


 調査の結果について龍富は言葉にして、辺りを見渡す。

 この洞窟は三つの空間があって、それぞれ探した結果、秘匿像はなかった。

 ならばとここは去っても問題ないと判断し、入り口に向けて移動を始める。

 そして入り口まで移動した龍富は外に出ることになる。


(あっちはまだ……か、連絡システムも反応なかったし、行ってみるか)


 龍富は状況と次の行動を心の中で確認して、近くのほこらへ視線を移動する。

 個別に動けたのはここからほこらがそんなに歩く距離でなかったのもあった。

 龍富はほこらへと移動すると、組みとなっていた女性が入り口から出てくる。


「愛川さん、どうだった?」


「ダメね。像もなかった」


 龍富が愛川に成果を聞くと、愛川は成果なしと答える。

 その言葉と共に愛川はほこらから出てきて肩を払う動作をする。


「じゃあ、次行こうか」


「あ、そうね」


 龍富が次の行動について話すと、愛川も同意を伝える。

 それに伴い、二人は調査してない範囲の方へと移動した。

 他の組はこう移動している間に何か会話をしているのかもしれない。

 しかし、龍富と愛川の組は移動していても行動についての会話だけで、他の話題について会話はなかった。


(なんか話した方が……話題は何か……)


 龍富は話す話題について思考をする。

 それでも、いい話題は龍富に思い浮かばなかった。

 いい話題といってもこの場合、愛川との話にふさわしい話題であり、一応話題そのものは大学は楽しいかとかこの退魔師同盟の活動はどうか浮かんでいた。

 龍富が話した方がいいと思う話題が出てこないという状況なのだ。


(愛川さんはどういう話題がいいのか……?)


 視線を変えてなんとも言えない表情の愛川を見て、龍富は話題を考える。

 だが、結局は合う話題が思い浮かばず、少し考えた末にこの結論に至る。

 ともかく、何か話すという結論に。


「あ……っと、その……」


 龍富は会話を切り出そうと声を出そうとするも、声が小さくなってしまい、うまく言葉にならなかった。

 間違えて切ろうとした件は済んだ事ではあったが、その件で後ろめたさは少し残っている状況だ。

 会話はした方がいいと分かっていても、申し訳なさが後を引いて会話もなかなか弾まなかった。

 龍富は次の言葉が出ようとしない状況で愛川はふと言葉を出す。


「あの……龍富君……」


「え……あ……何か?」


 愛川は龍富の名を呼び、龍富は何かと聞く。

 まさかあちらの方から会話の機会がくると龍富は思わなく、内心で驚いてもいた。


「あそこに看板があるし、ほこらか洞窟について何かわかるんじゃ?」


「あ、そうだね……っと、行ってみようか……」


 だが、愛川の言葉はほこらについての言葉。

 龍富は驚きと好機を失い、調子を下げながら行く事を話す。

 龍富はそのまま看板の方へと向かい、特に愛川との会話もなく探すこととなった。

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