退魔師組織の協力 14.5
夜の話。ここのみ柄池視点
もう一つの部屋。
そこでは寝る時間となっていて柄池、そして大空も纏めていた髪を解いて寝ていた。
今回も前回と同じ組みで泊まった時があってか、前回より打ち解けた雰囲気が感じられた。
例としては朝は何を食べてきた、や、勉強について、料理についてを聞かれることとなる。
そして会話を終えて、今では二人とも寝ている。
のであるが。
「……なんだよ、これ?」
柄池は小声で呟く。
何しろ今の大空は仰向けで寝ている柄池に横から抱きついているのだ。
これに至る経緯は寝起きでうろ覚えであるが、大空がこちらに近づく音は聞こえてきて、
そこから柄池のベッドの上で寝始めた事はわかる。
寝始めてから柄池に近づいて抱きつく、明らかに寝ぼけての行動だ。
(これどうしよっか……)
柄池はこの状況の打開を考えていた。
流石にこのままはお互いに良くない。
最初に思いついたのは睡眠の邪魔にならないように退ける事。
柄池は首に絡まっている手を退かそうと、自らの手を伸ばして大空の腕を掴む。
絡んだ腕は大空が両手で絡んでいるのか力が強く、柄池は退かせられない。
(起きるかもしれないけど、もっと力を入れるか……)
柄池はその思いを込めて、さらに力を込める。
何とか絡めている手は動かせたが、離せそうなところで、大空はさらに絡める力を込めてしまう。
結果は失敗になった。
「ん……」
大空は寝言の一つを出す。
(強引な方はダメそうだ……ならばこっちか)
柄池は別の方法を思考する。
結果として選んだのはこの方法。
最初に大空の頬に手を触れる。
「朱鷺子さーん……」
柄池は囁くように声を出し、小さく頬を叩く。
反応はない。
ならばと、もう少し強めに挑む。
「朱鷺子さーん、起きてー」
柄池は先程より強い声と力をさらに込めて先程の行動を行う。
反応もない、先程と同様に。
「朱鷺子さーん、起きて欲しいんだけどー」
柄池はさらに声の大きさと力を込めて先程と同じ行動に移る。
反応はあった。
だが、少しだけ動いただけで、以降はだめであった。
「こりゃだめだ」
柄池は諦めを告げる。
足掻きとして、動いてみるも抜け出せそうにもない。
「……ん」
大空は寝言のような言葉を呟き、さらにもう一つの言葉を続ける。
「お兄ちゃん、わたしもー……」
大空らしくない幼さを感じる言葉。
何かの夢を見て言葉を呟いたのか。
その言葉一つで柄池は理解したことはある。
(朱鷺子さん、お兄さんいるんだ)
柄池は大空の兄の存在を心の言葉で確認する。
兄がいなければ寝言でも呟けない言葉であろう。
柄池はそのままの状態で夜の時間は過ぎていき。
朝の時間を迎える。
「……」
「……」
両者無言。
両者共に起きているが、体勢は大空がベッドの下で柄池と目線をそらして正座していた。
この時の大空は、いつも以上に小さく見えていた。
「……あ、その」
「許してくれぇ……柄池ぇ……」
柄池の言葉に大空は土下座と同時に謝罪をした。
声も少し震え気味だ。
「これは誰にも言わないでくれ……言ったらアタシは……岸に行って飛び込みたくなる……」
「うん……絶対に言わないから。逆の立場なら言われたくないし」
大空は話の口止めを頼み、柄池は言わないことを口で約束する。
失態を起こした大空の心情は一目で理解が出来る。
「岸が近くになかったらすぐに自分で作ってでも飛び込むぞ……」
「言わない言わない、絶対に言わないから」
大空は言った時の対応をより確実にすると話し、柄池は再び口外しないことを伝える。
「そう言えば、お兄さんいるんだね」
「え……うえぇ!? 何で知ってんの!? 言ったことないよ?」
柄池は兄の話題について話すと、立って後ろに下がりながら大空は動揺に染まって言葉を返す。
柄池としては気を紛らわせるための話題であったが、様子を見るに逆効果だったようだ。
「寝言で……うん」
柄池は正直に言うべきと悪いことをしたと思いながらも話す。
「これも言ったら……」
「ああ、言わないから。大丈夫」
涙が出てきそうな目で大空は言葉でも訴えた。
柄池は当然だとでも言わんばかりに約束をする。
兄のことは古賀松も知っていそうだと考えてはいたが、古賀松にも兄のことは話を触れそうにはないようだ。
「あとさ……柄池……」
「何か?」
大空はもう一つの提案と言葉を出し、柄池は言葉でも提案を受け入れる。
「マツには寝言のこと言わないでくれ、とんでもないことになり得るから」
「そんな気はした、大丈夫」
古賀松には言わないでと大空からの提案。
予想は出来ていたので、これを言うつもりはなかったと柄池は言葉に出す。
柄池の言葉の後に一つの間が生じる。
「……神様はこんな近くに……目の前にいるんだな。柄池……」
「……大げさな気も。ともかく言わないからね」
言葉を噛み締めていたのか大空は感涙極まって言葉を出していた。
それに対して柄池は不快はなかったもの、言葉に対しての過大評価が過ぎるとの思いもあって、困りながらも言わないと話した。
それから二人は準備をして朝食をとることとなる。




