退魔師組織の協力 13
夜の話。前半御堂視点、後半龍富視点
夜の宿、御堂は部屋で再び明かりをつけてパソコンと向き合っていた。
支部の方での作業の続きとして今もまたパソコンのキーボードを叩いている。
(今回は特に最優先の追加機能は無いけど……試験的な機能で熱中したな)
御堂は今日のことで思い当たった事を心の中で振り返っていた。
支部の方で出るのが遅れたのは、試験的な機能を追加していたのが理由にある。
ちなみに追加を考えている機能は画像や音楽ファイルの共有場所の設置だ。
(アプリ内で使える情報共有場所。これがあると、情報共有がすごい便利になるからな……)
御堂は思考を心の中で留めていた。
共有場所があれば、写真や画像、録音した声などがすぐに見れるので、御堂としても追加を考えてはいた。
そこで一つの物音が御堂の耳に入る。
「あれ? 起こしちゃった?」
御堂は後ろに視線を向ける。
耳に入ってきた音はベッドから床に足を下ろす音で、その後に足音が近づいてきた。
「あ、んー……そう言う訳じゃ無いよ、喉が渇いて目が覚めただけだから」
「そう? 移動するなら俺が場所を変わってもいいから」
今回御堂と同じ部屋になった愛川は否定の言葉をいい、御堂は移動しても構わないと言葉を返す。
「自販機って近くにあったっけ?」
「ああ、一階の食堂近くにあるから行ってきたら?」
愛川は自販機の場所を尋ねると、御堂は場所を答えた。
先ほど御堂は自販機でコーヒーを買いに行ったので、場所は把握していた。
その愛川は御堂の近くに足を運んでいた。
「遅くまでやって凄いねー」
「ははっ、趣味も兼ねているからね。ここまでやっても辛くはないさ」
愛川の評価の言葉に気を良くし、少し上機嫌気味に言葉を返す。
愛川は御堂の横に位置して前屈みでパソコンに視線を向けていた。
「凄いけど……何をやっているか分からない」
「プログラム組んでないとね、分からなくて無理はないよ」
愛川は御堂のパソコンへと視線を向けて言葉を話し、御堂はそれについてプログラムの知識がなければ無理はないと返答した。
御堂はコーヒーを掴んで口へと流し込む。
「斜めから見てるから……かも」
御堂が愛川の方へ視線を一瞬向けると、愛川はパソコンの画面から斜めの位置で見て呟く。
確かに位置としては見づらいのも分かる。
それならば、少しの間場所を移動してもいいかもしれない。
御堂は愛川への気遣いをしようと口を開く。
「それじゃ、俺が場所を移どべぅ?!」
言葉の途中で御堂は遮られる。
同時に後頭部を上からの力で押さえつけられて、御堂の頭は下を向けている状態である。
「んーやっぱこっちからもよく見えないし、分からない」
愛川は御堂の上から言葉を出す。
声の位置から分かった事だが、どうも愛川が御堂の上で無意識の内に胸を押し付けているようだ。
「近くで見ても……やっぱ分からない」
愛川はさらにパソコンに顔を近づけ、御堂に胸を押し付けつつ言葉を出した。
先程までは胸だけの重みであったが、ここからは愛川の上半身の重みをそのまま御堂に押し付けていた。
御堂としてもきついものはあった。
「愛川さん……そろそろ……いい?」
「ん? あー! ごめん! 大丈夫だった?」
御堂は愛川に離れてくれと頼むと、愛川は離れながら謝りの言葉を入れた。
「大した事はないさ……怪我もないし」
御堂は大ごとまでには至らないと話す。
その中でも先程の感触は残っていた。
(マッツも言ってた通りでかいし……感触もあんなの初めて……)
愛川の胸に触れる機会があって、御堂はその感想を心で述べる。
その感触も触れたこともなかったので、言葉に例え難いものとなっていた。
「じゃあ、私は飲み物買ってくるから。食堂の方だよね? 自販機」
「ああ、そうだよ。行ってらっしゃい」
愛川は御堂から離れて出入り口に向かいながら話し、御堂はその言葉を肯定する。
それから愛川は部屋を出て、通路を歩く音を出して行った。
御堂の後頭部には愛川の胸の感触がまだ残っている。
こんなことが自分に起こるとは思ってなかったので、感覚がこびりつくようであった。
「……あ、作業しなきゃだ! 手が止まっていた」
御堂は言葉と共に頭を横に振って感覚を振りほどく。
御堂は手が動いてないことに気づき、作業を再開したのであった。
もう一つの部屋の方。
そちらもまた、二人ともベッドで寝ていたが、部屋の電気は微かについてもいなかった。
その一人龍富はシーツにくるまり、ベッドの上で横になっていた。
(結局、あれからまともな話は出来なかったな……)
龍富は今日のことを思い出して、言葉を心に留めていた。
八雲のスカートの件で龍富は言葉をかけるのに抵抗が出てもいた。
部屋に入ってから言葉をかけたのは3、4回か。
抵抗感の理由はよく分からないが、あの時のことを思い出すのは非常に申し訳ない気持ちが龍富にはあった。
(ともかく、ともかく! 寝れば忘れる! 忘れよう!)
龍富はあの出来事を振り払うように心の中で強い言葉を用いた。
それと共に目を閉じてベッドのシーツを首から下までかけた。
それから少しの間。
そして物音。
龍富は何事かと目を開けると、八雲の寝ているベッドからこちらに近づく音が耳に入る。
最初化者かと思考かとよぎったが、音からして敵からの襲撃ではないと判断できた。
「あら? 起こすつもりはなかったのだけど」
龍富が上半身を起こし、八雲が声をかける。
その八雲は龍富のベッドの端に腰を下ろした。
「えっと……何か……?」
「ちょっと話したいと思って」
龍富は何用かと尋ねると、話したいと八雲は意思を伝える。
なぜこんな時間かと思いながらも会話はやろうと龍富は思ってはいた。
部屋に入ってからたいした話もないので、話したくないという意思表示を避けるために会話はするべきと感じた。
「あなたは夜が好き?」
「夜……?」
八雲が聞いてきた事は夜について。
予想できなかった話題に龍富は八雲の言葉を一部返した。
その後に龍富は話を続ける。
また、八雲は朝からきていた服で寝ていたことが分かった。
「いや……俺は嫌いだな。色々と制約があって動きづらいのは嫌だな」
「あら? そう……」
龍富は好きではないとの意見を出して、八雲は言葉を返す。
夜の見回りもある上に、見辛いのもあってか龍富は夜に制約を感じていた。
そのため龍富はこの意見を出す。
「私は好きね」
「ああ、そうか……」
八雲は龍富と逆の意見を出す。
龍富は返答に困り言葉として当たり障りのないことを選んで、答えた。
「好きなのはね、暗いから夜は多くの行動が許される気がするからのよ」
八雲は好きな理由を語り始める。
龍富との意見を比べて食い違いを感じていた。
「暗ければ私は出来ることが多くなると思うのだけど」
「俺とは違う意見だな」
八雲は床につけていた足をベッドに起いて意見を述べて、龍富も意見について話す。
意見の食い違いは感じていたが、根本の部分から正反対に近い意見を持っているとも感じていた。
「そうなるわね、でも……」
その意見を否定するわけではないと八雲は話し、膝から下で体を支えて膝から上を立たせる。
「許されること、こういうこともあるのよ?」
そして八雲は言葉と共にスカートを両手で持ち、スカートの下をゆっくり持ち上げる。
「うわぁ!?」
驚きの行動に龍富は声を出してしまう。
八雲は笑みを浮かべて、龍富を見つつ、さらに少しづつスカートを持ち上げる。
「もう一度見てみない?」
「いや! いい! いいから、それは!」
八雲は言葉でも誘うと、スカートの中が見えそうな光景を龍富は顔を背けて拒絶を話す。
もう一度見れば変な気持ちが続きそうであったので、龍富はその光景を直視できなかった。
龍富は目も閉じつつ、片手をも振って拒絶の意思を伝える。
「そう? ごめんなさいね。辞めたからこっち見ていいわよ」
「ほ……本当か?」
八雲は謝罪の言葉を出して、龍富は確認を言葉にして出す。
確かに八雲はスカートから手を離していて、スカートを持ち上げる事はなかった。
かと思われたが、八雲は再びスカートに手をかけようとしていた。
「もういい、もういいからな」
「冗談よ、冗談」
龍富の制止に八雲は冗談だと弁明をした。
八雲は再度スカートから手を離す。
「じゃあ、話したい事はこれで終わりだから。起こしてごめんなさいね」
八雲は言葉と共に龍富のベッドから降りて、その場から離れた。
離れてから八雲は自らのベッドに行き、シーツをかけて横になった。
「ふぅ……」
龍富は厄介ごとから離れて一息つく。
突然の厄介ごとに神経を使って、負担は感じていた。
(まさか、あの人があんなことやるなんて……)
言葉が引っかかってはいたが、それ以上に龍富は八雲の行動に心の中で驚いていた。
もう少し大人しい性格だとは思っていたが、まさかあんなことをしでかすような性格とは龍富は考え付かなかったのだ。
(もう、とにかく寝よう。それがいい)
気持ちを落ち着けるための行動として、龍富は心の中で寝ることを選択する。
騒動が終わってからいろいろなことが起こってしまい、なんとかして気持ちを落ち着けるにはこれが最適であった。
それから龍富は寝ることになったが、寝付くのはいつもより遅くであった。




