退魔師組織の協力 11
ここのみ大越視点
宿に着いてから8人は食事を済ませて、部屋割りも決めた。
それからは自由時間となり、大越は宿の食堂のテーブルに座っていた。
座っていた、と言うよりも椅子に腰を落として、上半身をテーブルの上に広げていたと言う方が正しい。
その隣に愛川も座っていた。
「やっぱり、男子ってああいうの好きなのね……」
大越は顔をテーブルに乗せて不平を語っていた。
大越はこの憤りを男子にぶつける事は間違いであると分かってはいたもの、行き場のない憤りをどこかで発散したい気持ちはあった。
ただ、あのことの直前よりかは憤りが落ち着いたことも事実としてある。
「しょうがないよ、そういうの好きだし。男子って」
愛川は不平も混ざった言葉を話していた。
大越は顔だけを動かして、愛川をじっと見つめる。
「あー……そうよねーあなたの言葉、説得力すごい」
理解を大越は話し、驚きと怒りの消失が大越自身の言葉から感じ取れた。
大越は愛川という説得力のある人物からこの言葉を聞けて、文句を言う気が霧消して行った。
「え? そうかな? 私って……あ、私ってそうだ」
愛川は最初戸惑いの言葉を出すも、途中の言葉で大越の言葉に肯定の意を出す。
(サキュバスからの言葉だもんね……納得するしかないよ……うん……)
サキュバスである愛川に納得を大越の心の中で感じていた。
男を惑わす力があるサキュバスがそう言うことを言うのでは、不平を言う気がなくなるくらいの力がある。
「あー大越さん、愛川さん、ちょっといいかな?」
離れたところで御堂の声が聞こえた。
大越は顔だけを動かして声の方を向くと御堂が歩いてきた。
「なぁー……にぃー……?」
「あー……えっと、気になることがあってね」
割と億劫だが、大越は何かと尋ねると、御堂は気になることがあると話す。
「支部を抜けた後で、5人で話していたでしょ? 支部の方から見てたけどあれって」
「気にしない! 気にしなくていいの!」
「駄目駄目駄目駄目! 駄目! 駄目! ダメー!!」
御堂の質問に無思考で大越は拒否を話した。
愛川も大越に続いて駄目連呼で拒否を話すと、御堂は歩を下げていた。
「あっはい」
御堂は気持ちに押されてもいたようで、触れてはいけないことだと理解の言葉を話す。
「とにかく今後の活動に影響が出る話じゃなければ、それでいいから……それじゃあ」
そう言うと御堂はすぐにその場を立ち去った。
その後、愛川は大越に顔を向けて口を開く。
「私もそろそろ風呂に入りたいし、先に行ってきてもいいかしら?」
「ああ、そうね……うん、行ってきていいよ」
愛川は風呂に入りたいと話し、大越はどうぞとの言葉で返答した。
愛川は風呂に先に入りたいとも言っていたので、ここで止める事はしたくなかった。
「はーい。それじゃあ、お先に」
愛川は言葉の後に席から立って、その場を離れて行った。
愛川の言葉を見るに完全に吹っ切れたとは言えないが、切り離しにはうまくいっているようでもあった。
(気持ちを切り替えて……私もこんなことでうだうだ言わないの)
自身でもしょうもないことにこだわるのは良くないと大越は判断して、上体を起こした。
それから大越は部屋へと戻る通路を歩いていた。
そこで自分のバックからあるものを取り出して、それを見ていた。
(結局、これ持ってきちゃったな……)
大越は取り出したもの、持ち主に届けられなかったアクセサリーを見ながら心で呟く。
このアクセサリーは持って行くのは躊躇ったが、結局渡せない上にどうしようかと考えていてそれが尾を引いた結果、自身のバッグに滞在していたと言うわけである。
「ホント、これ……どうしよ?」
大越はアクセサリーに聞くかのように呟く。
付けるのに忌々しさはそれほどないも、こう言う趣味だとは絶対に思われたくはない逸品だ。
何せ、人型で頭身は低くはあるも、各部の先までペットボトルを纏った訳のわからないアクセサリーだからだ。
できれば持ち運んでいたくはないものであった。
そこで、通路の先から柄池が姿を見せる。
「あれ、大越さん?」
「柄池くん、まさか私の下着が気になったの?」
柄池の言葉に大越は下着のことで話題にしてみる。
意味はないが、ふとからかいたくなってこの言葉を選んだ。
「いやいや、それは違うから。ちょっと気になったから声をかけたんだ」
「ああ、それで」
柄池はからかいを受け流し、大越は話についての理解の言葉を話す。
柄池の反応は予想出来ていたものであった。
「と言うよりも、驚いたね。大越さんが持っているなんて」
「驚かせてごめんね。こんなもの見れば驚くのも」
驚いたことを伝える柄池に謝りの言葉を大越は入れた。
と、ここで大越は柄池の言葉に気づいたことがあった。
「あれ? このアクセサリーを知っているの?」
「それは知っているよ。ペットボトルジェイソンってホラー映画のキャラなんだ」
大越はアクセサリーについて聞くと、柄池はキャラクターについても語った。
その裏でアクセサリーにそんな名前もついていたのかと感心している大越もいた。
「え? もしかして……これの持ち主が、あなた?」
「ない。さっきの下着の話を本気で聞くくらいにありえない」
大越はつい持ち主が柄池かと聞いてしまうと、即座に柄池は否定の言葉を入れた。
よく考えれば、落とした持ち主も自身は確認出来ているのに、何故かこんな言葉を選んでしまった。
そんな大越自身はまさかに展開に追いつけてない自分がいて、自分の行いを反省した。
「その持ち主ね、知っているから。俺がそれを届けるよ。でもこのことはみんなに言っちゃ駄目だよ」
「え、嘘!? 本当に届けてくれるの」
言葉の前に周りを見て、柄池は言葉を小さくして話した。
知っているだけでなく、届けてくれるとまで漕ぎ着けて大越は驚きの言葉を出す。
「本当さ。届ける手段もちゃんとあってだね、俺に任せて。みんなに言うのも駄目だけど、リュートは特に厳禁、ね」
「あ、それじゃあ……」
柄池は託すようにとも言いながら注意の言葉も出した。
最初に周りの存在を確認してから、大越は近づく柄池に手渡しでアクセサリーを渡す。
そして、大越の湧いた興味は口を無意識に動かす。
「ねえ? その子のことって教えてくれる?」
大越は疑問をぶつけた。
聞けるのはこのタイミングしかなかった。
あの異質な持ち主について聞く機会は。
柄池は一時沈黙をする。
「まあ、そりゃ聞くよね。あの子に興味を持つのも無理はないことだし」
沈黙を破って柄池は話した。
反応からして大ごとを掘り出すことは分かる。
その大きな話題に大越は頷いて、話に身構えた。
「少し話そうか」
柄池は言葉とともに壁に寄りかかり、視線を上へとあげる。
視線を上げた後柄池は口を開き、言葉を出した。
「この持ち主はね、かつて同盟の仲間だった。退魔師のあの子なんだ」
柄池は持ち主について語り、さらに言葉を続けた。
「そして、俺たちが戦うであろうその子の名前は」




