退魔師組織の協力 10.5
ここまで愛川視点
「俺も急いで追いかけるから、じゃあな」
御堂は手を振って一旦の別れを告げる。
そして7人は出入り口を通って外へと出る。
そこで強い風が愛川に向かってきたのであった。
「あ、思ったより風強い」
「あ、本当。しかも風も冷たい」
言葉を出した愛川は髪とスカートを揺らされて、大越も髪を抑えながら風の冷たさを語る。
愛川は長いスカートと髪を抑えていて、急な風の冷たさが身に伝わっていた。
夜に近い時間で冷たいことは少しは身構えてはいたが、急に強い風があったことで更に強く冷気が愛川を覆うことには驚かせてくれた。
「早く風呂入りたいな……大したことしてないけど」
「大したことをしてなくても、そんなに気に病むことはないからね。愛川さんの力はみんなの中で唯一無二だから、必要なところはきっと出てくるから」
愛川は暖を取りたいことと活躍がなかったことについて歩きながら話すと、隣から柄池はそのことでフォローに回る。
愛川は落ち込んではいなかったが、柄池の言葉はありがたいものがあった。
「そこは大丈夫だよ」
「愛理栖ちゃん変に気負わないからねー大丈夫だよ」
愛川は大丈夫を話して、大越も歩きながらフォローを話した。
「む! 私だって考え込むことはあるからね! ……最近はない気もするけど」
「そう言うわけで心配はないし、私たちはゆっくり歩くから、先行ってもいいよ」
その言葉に反論の感情が湧き、愛川はすぐに否定をして、大越は柄池に心配は不要と話す。
愛川としては、大越の先ほどの言葉には反論さえできればいいので、特に怒りの感情はない。
「そう? 大丈夫だとは思うけど、何かあったら遠慮なく連絡ね」
柄池は連絡していいと話して、愛川の先を歩いて行く。
「今は大丈夫だけど、何かあったら私でも相談にのるからね?」
「うん。その時は頼るから」
大越は何かあったら相談にのると話し、愛川は頷きつつ頼る時は頼ると話した。
今7人の並びは大空と八雲を先頭に、後ろが愛川と大越、そしてそれらを挟んで古賀松、龍富、柄池となる。
大空と八雲は出るのが早かったのでこうして先頭にいて、先頭と後ろの距離は結構ある方だ。
「あれ? もしかして……?」
大越は階段の方に視線を向けて言葉を呟く。
大空と八雲は階段を登ろうとしていた。
「おーいサブローのことを気にしているのか? 先に行っていいと行ったのはサブローなんだから、気にしなくてもいいんじゃないかー?」
「私はゆっくり歩きたいだけなのー」
階段を登り始めた大空は後ろに大きな声をかけて、愛川は大きな返事をした。
八雲もまた階段を登ろうとしているところである。
そこで愛川はあることに気づく。
八雲が高い所に登る。
その八雲は愛川よりも短いスカート。
さらには強い風。
「あ……」
愛川は気づき、声を出す。
八雲の後ろの位置には男子が3人。
となると、起きることは。
強い風が八雲に吹く。
そして八雲はスカートを抑えず、スカートが翻る。
後ろの男子3人は当然、八雲のスカートの中が
「あー!」
男子3人の見た光景を想像してしまった愛川は思わずの声が出た。
男子3人の後ろ姿で八雲のスカートの中まではよく見えなかったが、それがどんな光景かは愛川には想像できる。
愛川は男子に向けて走り、大越も続けて走って行く。
「おーいおい? 事故で見えたんだ、不味い顔すんなって。なあ」
「ちょっと、男子ー?」
古賀松は小さい声で柄池と龍富に話す。
その光景に愛川は走りながら声を割り入れる。
「えー……それは、そのね……俺りゃひ!?」
柄池が声を出して後ろを向くと、愛川は柄池の?に向けて指を出した。
声の途中で頬が指に抑えられ、柄池の声が変わってしまう。
「……」
「…………あー……あー…………」
愛川は柄池に沈黙と視線を向ける。
柄池は諦めの声である。
愛川の指からは柄池の隠しきれない興奮が感じ取れた。
愛川も大越もじっと黙って男子に視線を向けた。
「愛理栖ちゃんどう?」
大越は愛川に確認を取る。
「好きなんだねーそーいうのー」
「あー、その……なんと言えばいいのか……」
愛川は咎め色に染まった声を出すと、柄池は視線が愛川から逸れながらどうとも取れない返答を出した。
もどかしさと怒りに似た感情が愛川にはあった。
大越も表情から見るに同じだろう。
「まあまあ、事故なんでこれくらいにね? 愛理栖ちゃん」
古賀松は落ち着かせるように低い位置から願う声を出す。
ここで八雲にも言えばいいか。
それとも注意をすればいいのか。
愛川としてもこの感情をどうやって晴らせばいいかは分からなかった。
「むー……分かった、勘弁してあげる」
「いいものが見れてよかったねー」
愛川は大目にみると納得のいかない顔で話すと、大越は敢えての笑顔で言葉を送る。
大越の心情が愛川と同じなのは言葉の後の大越の怒りの混じった細めた目で分かる。
愛川としても事故なのは分かっていたので、勘弁することしかできないのは分かっていた。
「う……」
龍富は申し訳なさそうな顔で視線を外して声を出す。
表情を見るに龍富も柄池、古賀松と同様に同罪であろう。
「あら? どうしたの? 止まっていては宿に着かないわよ」
階段を上っていた八雲は後ろの愛川たちに声をかける。
「あ、はーい。今行くー」
「大したことない話しててねー、わるいわるい」
愛川は今行くと話し、古賀松は今向かうと声を出した。
声と共に古賀松、柄池、龍富、そして愛川と大越は階段へ向かう。
同時に愛川は自分のスカートを見て、走っていた。
(私も短いスカートの方がいいのかな……?)
こうして長いスカートを履いていた愛川だが、今回の男子の反応を見て悩みが浮かんでくる。
少し勇気がいる選択ではあったが、好かれるための選択肢として候補に上がってもいたのであった。
そんな中で愛川は移動をして行く。




