退魔師組織の協力 7
ここから雷剣視点
雷剣の斬撃を受け二つの体となった土の精は上半身を床に落下させて、ただの土として散り散りになる。
下半身も力無く後方に倒れ、程なくただの土へと変わることになった。
「みんなよく頑張ったね。ここまで耐えてくれたのは、地力あってのことだよ」
「本当に助かりました! ありがとうございます!」
雷剣は周りを褒めて、柄池は雷剣に感謝の言葉を言った。
(王駕も柄池くんも……いい仲間を持ったもんだ)
雷剣はしみじみと心で感傷に浸っていた。
柄池と王駕だけここにいても、こんなに被害を抑えることはできなかっただろうし、今の仲間があってこそ今の抑えられた被害があったのであろう。
「さて、ここに敵がいるのも居心地は悪いし、片付けるとするか」
刀に退魔力を込めて雷剣は話す。
刀身は光を纏いつつも、電撃が周りにほとばしっていた。
「と言うわけで、みんな頭を下げていてくれ。大越さんは一応僕の後ろの方にもっと下がってくれないか」
「はい、分かりました」
雷剣はみんなにやることを伝えると、大越は言葉とともに距離を置き、他の6人も姿勢を低くした。
雷剣は周りの安全を確認する。
そして刀を後ろに構えて、対魔力をさらに込める。
すると刀の纏った光が長くなると同時に、雷剣は刀を横に薙ぎ払った。
刀のふるった範囲は室内の半分以上の面積を覆い、土の精は成すすべなく体を二つに分つこととなる。
「よし、みんなもう頭は上げていいよ」
雷剣は刀の纏った光を刀の一振りで振り払うと、頭をあげるよう伝えた。
6人は頭を上げて、さらに土の精の分裂した片方の体は床へと落ちて砕けた。
これにて室内の土の精5体は消えたこととなる。
「すご……い……」
「一瞬でかよ……」
大越、大空の順に感嘆の言葉がこの光景に出て来た。
「ところで、大越さんにやったことって一体なんなんだ……?」
「柄池はなんか知ってそうだけど……分かるか」
御堂は雷剣に近寄って言葉を出し、大空は柄池の方に視線を向けて疑問を出す。
他のみんなも続々と雷剣の元へと集まって来た。
「ああ、あれね。あれは強い静電気をみんなに仕組んだんだよ、危険な時に発生するやつだ」
「肩に触った時にね、仕組んだんだよ静電気を」
雷剣が説明しようとすると、柄池の方が先に説明を始めて、後に雷剣が補足する。
ついでに雷剣は皆の方へ一人づつ視線を向けつつ、手で空を叩く動作を行い、肩を叩いた時に仕組んだと補足もする。
「そんなことまでできるんだな、退魔師ってのは」
「退魔力と言うものが退魔師にはあってね、それを使うと電気も出せるなんてことも可能だよ。ここまでとなると難しいところになるけど」
大空は驚きの言葉を出して雷剣は退魔力についての解説も行なった。
「へえ……すっげえな……」
大空は聞いた反応として驚きの言葉を返す。
「さて、僕はここにいる時間はそんなにないからね。他の所も手こずっているかもしれないし」
雷剣は長居出来ないと話して周りを見る。
その中で八雲は銃を手に持っていて、更に
「うわっとー」
八雲は突然銃弾を放ち、雷剣は避けながら声を漏らす。
突然の事態に周りは驚きながら八雲へと視線を移す。
その中で一番早く八雲へ視線を移したのは大空であった。
「ああ、御免なさい、誤射よ。後ろに土の精がいると思って、つい銃を持っていたから撃ってしまったの」
「おいおい、マジで何やってんだよ」
八雲は銃を構えつつ、謝りの言葉を入れて、古賀松は強い口調で八雲に咎めるような言葉を出した。
八雲は銃を撃つ前と今まで無表情のように見える。
雷剣は銃弾の向かった先を見ると、そこには土の精もいなかった。
「前回も誤射があったよな……」
「まあまあ、誤射だし、悪気あってのことじゃあないんだから。僕は怒ってないよ、ね?」
大空は疑問の眼差しと言葉を八雲に向けて、雷剣はフォローの言葉を出した。
わざとでない以上は無理に咎める必要はないとの判断だ。
「雷剣さんも急いでいるようだし、後のことはこっちでやります」
「分かった、みんなはここの見張りを続けてくれ。それじゃあ、僕はこれで」
柄池はあとはこちらでやるとの言葉を出して雷剣はこの場を皆に託すよう話した。
物理的な被害はほぼ無いも警棒の力などの浪費はあると雷剣は見ていて、何人かを連れていくのも問題ではあるとも考えた。
別れの言葉の後に雷剣はその場を離れていった。
「ありがとうございまーす!」
「本当に助かりましたー!」
愛川は手を振って礼の言葉をいい、大越もまた頭を下げて言葉を言う。
その言葉に雷剣は手を振って、出口へ向け駆けていく。
雷剣は柄池たちの元を離れてから、他のところへ救援に入っていた。
ちなみに最初に雷剣と龍富で当たったところは土の精の先鋭体が少なくとも40体もいたが、数を減らしてそこから柄池の元へ向かったことになる。
雷剣はもう一つの箇所の救援を終えて、更に別の箇所へと今は救援をしていた。
「そーれっと……」
雷剣は手に電気を纏って土の精へと拳を向けた。
土の精は回避ができず、飛ばされると同時に土が砕けていった。
この雷剣の拳は電気で生み出した磁力の反発も活かしているため、普通の拳よりもはるかに早く並の人間でも回避は困難である。
「これで終わりですね、雷剣さん。助かりました」
水越の弟は雷剣に礼を言い、頭を下げた。
救援に入っていたのは柄池と龍富も世話になった水越の二人組のところである。
「ははは、気にしない。困っていたらお互い様さ」
雷剣は気にしないようにと気遣いの言葉に返した。
雷剣は同時に、周りの土の残骸を見渡す。
「しかし驚いた。急に土の精が出るもんだからね」
「はい、見回りもしていましたし、怪しいものもなかったんですが……あの装置もなかったんですけど」
雷剣は驚きの言葉も出し、水越弟は怪しいところがなかったとも報告する。
あの装置というのは土の精を人工的に発生させるものだ。
装置の存在は雷剣も知っていて、犯人が使ったとすぐに断定できる。
「そう、そうなんだよね。近くに土の精を出す装置があってもおかしくないのだけど、それがなかったんだ」




