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人魚捜索 15

ここから柄池視点

龍富が錠をかける時から少し時間を巻き戻す。

狼男を取り逃がし、柄池が龍富にフォローの言葉をかけた後までだ。

今は柄池がネックレスの狼男と睨み合っていた。


(流石にサブロー達は逃げないとな……あの三人の銃の命中率が心許ないと、あのまま攻撃をされて、捕まるだけだったから……)


柄池は先ほどの指示について間違ってないはずだと、内の中で確認していた。

不安も若干残っているが、運が良ければ古賀松とも合流出来るので判断としては間違ってないはず。

それに二人だけ逃げたとしても万一戦闘になって、対応できるかは不安がある。

このことから考えて、どうしてもあの三人には一緒に逃げて貰う必要があった。


「うおっ! 危なっ!」


「何ぼさっとしてる!」


柄池は突然のネックレスの狼男の攻撃をかわしつつ声を出し、ネックレスの狼男は柄池の様子を咎める言葉を出す。


「ただの人間が化者相手によくそんなことできるな!」


「ああ悪いな、あんなんじゃ戦いにも……ならないよな!」


ネックレスの狼男が責める言葉を柄池にかけると、柄池は謝りながら、距離を詰めにいく。

詰めた後に柄池は警棒での突きを放つもその攻撃はかわされる。

確かにどう考えても柄池が不利な状況。

しかしそれでも、柄池には勝利のために出来ることがあった。

柄池は後ろの自身が突入して来た茂みに視線をやる。


「よそ見されるとな、馬鹿にされた気になるんだよ!」


そう言うと、ネックレスの狼男は距離を詰めながら、柄池に横に払うかのごとく蹴りを入れた。

それを柄池は後ろに引いてかわす。

一進一退だが、柄池としては一撃でも貰えば、勝負が着きかねないので、やむを得ない所もある。


(でも、少しづつ良いところへ……)


柄池は相手を見据えて、順調な進みを心の中で確認する。

柄池はゆっくりと警棒を構えて、移動しながらの攻撃を試みる。

ネックレスの狼男はすぐに反応して柄池へ突撃攻撃を仕掛けて来た。

相手は隙を狙った攻撃のつもりだろう。

しかし、それは柄池の予想通りであった。

柄池は避けると共に、茂みに顔を向けた。


「今だ! 愛川さん!」


柄池の掛け声と共に愛川は茂みの中から上半身を出す。

銃も構えてだ。

愛川の命中率は不安もあったが、今なら当たる確信が柄池にはある。


「これなら……当てられるでしょ?」


柄池は愛川とネックレスの狼男に言葉を向けた。

愛川の目には狼男が奥行きだけの移動だけしかしてないように見えるだろう。

何せ今の狼男は愛川の射線上にある上、射線上に沿って直進したのだから。


「あぎゃ!」


銃声と共に狼男の悲鳴。

銃を受けた狼男は予想出来なかったであろう攻撃に大きくよろめく。


「やった! やった! 私が当てたんだ!」


「愛川さん! 大手柄だよ!」


愛川は言葉と飛び跳ねる事で喜びを表現し、柄池は愛川の評価の言葉と共にネックレスの狼男に向かう。

当然警棒のスイッチも入れてだ。

警棒から電気のほとばしる音が響く。

そして柄池は自らの勢いも乗せて、ネックレスの狼男に突きを放った。

避ける余裕もなかったネックレスの狼男は鳩尾に突きを受けることになる狼男であろうと、この攻撃で倒れないわけにはいかなかった。

狼男が地面に倒れる音がした。


「よし……残り一回分でなんとか倒せたよ」


柄池は一息しつつ言葉を出す。

警棒のスイッチを一回分無駄にしてしまえば、一気に倒すことが困難になる以上、どうしても無駄には出来なかった。


「私も頑張ったよー! なんとか当てたんだからー!」


「上手く行ってよかったよ。愛川さんもなかなかのものだったよ」


手を大きく振り愛川は自らも頑張った事を言葉にして表す。

それを柄池は愛川の方を向いて言葉で評価した。


「愛川さんに止まるよう、指示を出して正解だったよ」


柄池は愛川への指示を出したことへ言葉でも正解を感じていた。

指示を出したあの時に二回頷いたのも愛川へ止まるように伝えたのである。

愛川はあそこで走ったとしても疲労で追いつかれる可能性があった為、どうしても走らせるわけにはいかなかったこともある。


「そうだな……俺もまさか遠くから攻撃できるのが残っていたとは思わなかった」


「だろ? 俺も即座な判断で冴えていると思ってな……」


男の声が愛川の攻撃を予想できなかったと伝えて、柄池もその意見に同意する。

このことに柄池は違和感を感じていた。


「ったく、やってくれたぜ……」


柄池が声の方を見ると、ネックレスの狼男が柄池の目の前に立っているではないか。

更にはネックレスの狼男は既に爪の攻撃を仕掛けていた。


「うがっ!」


柄池は攻撃を避けきれず、悲鳴を出してしまう。

脇腹に攻撃を受けて、痛みと急な回避でバランスを崩し、柄池は倒れてしまった。


「柄池くん!」


愛川は大きな声と共に銃を構えて狙いを定めた。

銃声が響く。


「……おい、驚いたぜ。動かなくてもこっちに当たらないなんてよ」


驚いたとの言葉がつくも、ネックレスの狼男の言葉は余裕の言葉に聞こえる。

事実、ネックレスの狼男は攻撃から銃声の前まで移動らしい移動はしていない。

柄池は立ち上がろうと、腕で上体を起こそうとするも、脇腹の痛みが荒ぶり始めて再び地面に伏せてしまう。


「さて、もう一発貰えば、お前は大人しくなるな……」


ネックレスの狼男は原池に視線と言葉を向けて、側により始める。

愛川もネックレスの狼男を狙おうとしていた。


「当たって! 当たってー!」


だが、愛川の銃弾は明後日の方へと行ってしまう。

無理もない、愛川の狙いを支える腕は大きく乱れていたからだ。

狼男もそれを理解してか、愛川の方へと視線を動かしてもいない。

柄池も少しでも悪あがきをしようと片手で地面を這い始める。


「だから……大人しくしろ!」


声と共に柄池に体重を乗せて、足を下ろす。

足の裏が柄池に接触するまで迫る。

だが、柄池は痛みを感じなかった。

痛みの声を出したのはネックレスの狼男であったのだ。


「がふぁ……」


狼男の悲鳴、その狼男の脇には二つの異なる足。

どうも助太刀が来たようだ。

ネックレスの狼男は先に倒された狼男の近くで地面に倒れた。


「良すぎるタイミングで来てしまって謝りたくなるぜ」


「柄池、立てそうか?」


古賀松の声の後、大空の心配の言葉が来る。

先ほどの飛び蹴りは古賀松、大空の二人のものであった。

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