人魚捜索 13
ここから龍富視点
柄池から狼男の件を任された龍富は狼男達が潜む茂みを三人で慎重に移動していた。
「銃の残弾って最大三つでいいんだよね、龍富くん?」
「ああ、そうだけど。何回か使った?」
移動中に大越から銃のことで小声で確認が入り、龍富は小声で答えると同時に、残弾について聞き返す。
「さっき柄池くんの援護で一回だけ」
「一回ならいいけど、当然、2回使えばもう使えないってことだけは念に入れておいてくれ」
大越は銃を持ちながら答えて、龍富は大切に使ってくれとの意思の言葉を大越に伝える。
大越はそれを聞いて頷き、銃を構えつつ慎重な移動を続ける。
もう一人の八雲は何も言わずに銃を構えつつ、慎重な移動をしていた。
龍富の作戦としてはこうなる。
まず、御堂が先回りをして確認を取り狼男がいる場合はこっちにその意を伝えてから、先手として相手に銃を撃つ。
不意をついて戸惑った隙を見て、龍富が攻め込む形だ。
相手の人数は分からないが、他の三人は後で援護に回るという方針は変える必要はないだろう。
(本当なら危ないからみんなに手を出してもらいたくは無いんだけど……)
龍富は苦い顔で呟きを心の中で留める。
危険なことなので、出来ることなら御堂の先手だけで援護は済ませたい気持ちもあるが、敵の人数という不確定なことがある以上は、手伝ってもらうしか無い。
龍富は狼男がいると思われる場所に近づき、ここからは低姿勢で音を立てずに移動を始めた。
龍富はすでに鞘を手に取り、刀を抜けるように持ち手に手を触れている。
次に龍富が御堂へ視線をやると御堂は龍富へ視線を送った後、二回頷いて狼男ともっちがいる意思を伝えた。
龍富も低姿勢で移動して狼男がいる場所を茂みの横から覗くと、確かに狼男が確認出来る。
龍富が確認できるだけでも話している狼男が三人はいた。
狼男の話では腕時計の狼男と誘拐した女がどうのこうのと話が龍富は断片的に耳にする。
(感でだけでここまで分かるなんてな……筆記試験も大越さんは強そうだな)
大越の感に改めて驚かされた龍富は心の中で感想を留めた。
もう一度御堂の方へ視線を向けた龍富は御堂が銃を狼男に向けて狙う様子を見る。
そして御堂は銃を撃った。
「ぐごっ!!」
銃声と狼男の漏れた声が響く。
龍富の視界外で狼男への命中と戸惑いが見て取れた。
「なんだ! 何があった?!」
狼男の狼狽える声。
龍富は機会と見て突入した。
視界に入るは一人の狼男。
それに急速で近づき刀に気を込めて
「ぐ……はっ……」
龍富は狼男の胸を斜めに斬る。
切り傷と共に狼男の血が流れて、一人の狼男が倒れた。
倒れた音ともに龍富は周りを見渡す。
敵は全てで四人。
先ほど倒した人数を含めてなので、相手にする人数は三人で間違いないが。
見渡した光景にはもっちが紐で縛られて意識を失い、横になっているのも確認出来た。
「なんてことだ……威勢男にまだ仲間が居たってのか……」
「しかもあの刀は退魔師の持っているやつだ……」
肩を抑えた狼男が戸惑いの声を出した。
後に、熊のタトゥーを胸に入れた狼男は龍富を見て驚きの声を出す。
「先輩……これやばいやつじゃ……?」
ネックレスをかけた狼男は熊のタトゥーの狼男に声をかける。
どうもリーダーは熊のタトゥーの狼男と見ていいようだ。
「お前達が自首して錠をかけてくれるなら、俺はもう刀は振るわない。誘拐したことはもう仲間が目撃済みだ」
ならばと龍富は自首をリーダーである熊の狼男に勧めた。
すると、熊の狼男は笑いながら返答を始めた。
「ここで逃げられるわけねぇ! お前達も倒せば、万事解決よ!」
熊の狼男は高らかと声を上げると、撃たれた狼男が熊の狼男を二度見をしながらも、周りの狼男は戦闘態勢に入る。
龍富も刀を構え直して態勢を整える。
暫しの沈黙。
の後に熊の狼男が手を挙げた。
「行くぞ! やれ!」
熊の狼男が号令を出すと、三人の狼男が一斉に龍富の方へ飛びかかる。
龍富は一人の爪の攻撃を交わして熊の狼男の爪の攻撃を刀で受ける。
龍富は二人の狼男の攻勢に立ち向かうことになる。
(二人……? もう一人は?!)
龍富は攻撃を防ぎながら、心の中でもう一人がこちらに攻撃してないことに気づく。
龍富は首を後方に向けるともう一人のネックレスの狼男は龍富が入ってきた草木の茂みへと向かって行く。
あそこには御堂がいたはずだ。
「なっ! こっちに?」
御堂は驚きの言葉を出しながらも、銃を構えて向かってくる狼男に銃弾を撃った。
だが、銃弾は狼男とは明後日の方向へ向かってしまう。
「いると思った! まずはお前から寝てもらうぜ!」
まっすぐ走りネックレスの狼男は手を後ろに引きながら、言葉をかける。
龍富は爪を弾くも、もう一人の狼男から攻撃が来て龍富はそれを交わす。
「サブロー逃げろ!」
その場から離れたくても離れられなくなった龍富は御堂に逃げることを指示する。
それを聞いて御堂は退避をしようとするも、逃げるのに間に合わない距離にまで狼男は位置していた。
御堂は姿勢を低くして、出来るだけ当たらないようにやりすごすしか出来なかった。
狼男の爪による突きが御堂に当たる。
ように思えた。
「そいつは待っただ!」
突然の声と共に、狼男は横に飛ばされる。
狼男の腰の脇には誰かが、掴みかかっていたのだ。
「やっぱり、俺も突入して正解だね。タイミングはバッチリだし」
「ガットか! 助かった!」
柄池は狼男を掴み、突入がうまくいったと話しつつ、龍富は狼男の攻撃を避けながら柄池に声をかけた。
柄池とネックレスの狼男が同時に倒れ、柄池は警棒を構える。
しかし、柄池の倒れた位置が狼男の足の上と甘く、構えたと同時に狼男は柄池から離れてしまう。
「あー……逃げられたか」
「で、でも……助かったよ、柄池」
柄池はさらに距離を置かれた。
ネックレスの狼男に対して悔しさの言葉を言い、御堂は助かったことに礼を言う。
「お前もあいつらの仲間か……」
「そう言うわけで、こっちは任せろ、リュート」
ネックレスの狼男は柄池に対して言葉を放つと、警棒を揺らしつつ柄池は龍富に対して引き受ける言葉をかける。
「すまない、頼んだ」
「加勢か……また迷惑な……」
龍富は斬撃を仕掛けて、狼男に交わされると同時に柄池に言葉をかける。
熊の狼男は状況の振りに対して龍富を見据えて呟く。
同時に熊の狼男は撃たれた狼男に視線を送り、撃たれた狼男は頷く。
(ガットにはサブローも八雲さんも大越さん、それに愛川さんだってサポートにいる、これならなんとか)
龍富は心の中で戦況をまとめていた。
柄池は不安が残るも、大空とついでの古賀松もこちらに駆けつけている。
相手側に加勢がなければ、こちら側に有利ではあるのだ。
(俺の方は早く終わらせないと……)
龍富は思考しつつ、攻めようと踏み込もうとするも、熊の狼男から体当たりを仕掛けられて交わすことになる。
この中で早く戦闘を終わらせられる可能性が高く、加勢に行けるのは龍富だからだ。
その思考がよぎる中で、再び攻撃へと龍富は移るのである。




