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人魚捜索 12

ここまで柄池視点

「ごめん、こっちの方に集中してて……別の敵には……」


「いいんだ。大越さんも十分頑張ったよ」


 大越は柄池に申し訳のない声で謝り、柄池はここまでやってくれたことに感謝を返答として送る。

 初戦闘でここまで果敢にやってくれるだけでも感謝をしたい。

 そんな柄池は先ほど来た狼男の指示で両手を高く上げたところだ。


「おい、武器は後ろに落とせ」


 先ほどの狼男は声と共に指をさし、柄池の持っている武器を指摘する。

 柄池が戦っていた狼男と違って指示を出した狼男は手の方に腕時計をつけていた。

 柄池は指示の通り、警棒を真下に下ろして踵付近で警棒が落ちる音が聞こえる。

 大越は囚われ、敵は狼男二人、どうあがいても柄池には不利の状況では指示を従う他なかった。


「まあいい。それよりもお前はその子連れて先に行け。慎重に行くのはやめろと言わないが、時間かけて待たされる身も考えろよ」


「お前は変なところで、ヘマをするなよ。取り敢えず助かった」


 腕時計の狼男が指示を出すと、戦っていた狼男はもっちの方へと向かって行く。

 腕時計の狼男は大越の銃を柄池が届かない遠くに放り投げてしまう。


「さて大越って女は俺と一緒に付いて来てもらおうか? 人間まで殺すと退魔師からの風当たりが強くなるし……まずは……」


 そう大越にも指示した腕時計の狼男は大越を引っ張り、柄池の方へと歩んで行く。


(そう来るか……だったらこっちは賭けに出るか……)


 柄池は両手を上げながら、思考を巡らせた。

 あの位置も悪くはなく、やることは可能だが、一度もやったことはないため、どうなるかは分からない。

 それでも、このまま大人しく言いなりにはなりたくなかった。

 柄池は賭けに出る事を決めた。


「殺しはしないが……」


 腕時計の狼男は声と共に柄池に近づき、柄池に腕が届くところまで距離を縮めた。

 柄池と狼男は向かい合う形だ。


「少し眠ってもらうぜ!」


 腕時計の狼男は声を出しつつ、拳を握り引いた。


(今だ!)


 柄池は心の中でチャンスを呟き、足を後ろに思いっきり蹴る。

 すると、警棒は後ろに飛ばされて後ろの木にぶつかった。

 すかさず柄池は姿勢を低くして正面からくる狼男の拳を避けると警棒が柄池の上を飛んで行く。


「な……!? うわっ!」


 腕時計の狼男もこれには想定外の驚きを言葉で漏らす。

 腕時計の狼男は大越を離し、姿勢も崩れそうな勢いで警棒を横に交わす。

 柄池はそのチャンスを見逃さなかった。


(思ったより警棒が飛んだが、これはこれで攻めるチャンス!)


 好機を掴んだと心で確信する柄池は低い姿勢のまま、腕時計の狼男に向かう。

 予定では交わしながら警棒を掴む予定だが、こうなった以上は警棒を飛ばしてから攻める方法が良いと判断した。

 相手の狼男の懐に入った柄池は勢いに乗ったまま飛び込み、お互いに倒れこむ。


「ぐ……!」


 相手の狼男は胸の空気を漏らすかの声を出し、柄池と向き合う形で地面に倒れた。

 いくら柄池が化者を相手にしようとこうなれば、柄池が有利だ。


「あ……おまっ……!」


 狼男はまずい表情と言葉を出す。

 既に柄池は上半身を起こして警棒を手にし、スイッチまで入れてる状態だ。

 倒れこみ位置も柄池は警棒が落ちる位置も計算して、相手に突っ込んだからだ。

 柄池は警棒の薙ぎ払いを相手の顔に入れる。

 電気が炸裂する音と鈍器がぶつかる音が並列して奏でた。

 相手からも声が出たとは思うが、先ほどの音が大きく、柄池には聴き取れなかった。


「これでこの狼男もしばらくはこのままだな」


 柄池は膝をついて立ち上がり、狼男の現状を言葉にする。

 経験上、こうやってスイッチの入った警棒で顔を薙ぎ払えば、並みの化者なら倒せる事は分かっていたからだ。


「大越さんは怪我はなかった? 俺は大丈夫だけど」


「私は怪我も無いけど……その、私が捕まったから……ごめん……」


 柄池は大越のことを聞き、大越は申し訳なさそうに失態のことを詫びた。

 もう一人の狼男はもっちと一緒に何処かへと行ってしまったようだ。


「ああ、いいよ。初めての戦闘でこうやって加勢してくれただけでも十分だからね。俺も初めての戦闘なんてリュートの足引っ張ったこともあるし、気にしないで」


「あ……うん、わかった……」


 その大越の詫びに柄池は気にするなと言葉を送る。

 あの時は化者と戦っていた時に優勢を確実にするためと柄池も不意をついて加勢をしたこともあった。

 その結果は逆に柄池が捕まって、龍富は不利な戦いをさせることになったのだ。

 最終的に化者は倒して、その件ではしっかり謝っている。

 龍富との件を少し思い出していると柄池が突入した場所から龍富が入ってくる。


「お、リュート! ちょうどいいところに! こっちの狼男に錠をつけてくれ」


「ああ、分かった。誘拐したやつか?」


 柄池が手招きしつつ龍富に声を掛けて、龍富は言葉で了承を伝えて狼男のところへ向かう。


「いや、そっちは取り逃がしたけど、こっちは共謀犯の方」


「そうか、一人こうしただけでも十分だよ」


 柄池はもっちがいた方の草むらに向かいつつ話し、龍富は急いで狼男に錠をかけて柄池の成果を言葉で評価していた。

 柄池が狼男が逃げた草むらをざっと探すとそこには狼男の影も形もなかったのであった。


「ただ、その攫った狼男は戦っている最中に逃げてついさっきまではいたんだ。だから今から探せば、まだ間に合う」


「そうだな。ちょっと前に俺だけ先に向かって、愛川さんはすぐ追いつくはずだから、みんなで探せば見つかるな」


 柄池は探した結果を報告し、龍富は錠に鍵をかけつつ、それに同意をした。


「ちょっと待って……」


 大越はふと顔と視線を上にあげて待ったの言葉を響かせる。


「どうかしたの?」


「私、感はいい方でね……もっちが連れていかれそうな場所も見当はつくの」


 柄池は大越に疑問を投げると、大越はもっちの場所が分かったと周りに言う。


「いや、今日は大越さんのお手柄も分かるけど……ここまで分かるの?」


「……信じてみよう、信頼しても損はないと思うよ」


 龍富は実績を認めながらも、不安の言葉を話す。

 その龍富に柄池は頷いて、大越を信じると言葉を送った。

 その言葉の後に大越は柄池が探した方とは別の方向へと駆け出す。


「ん? そっちに行く?」


「私について来て!」


 自分の方へと向かうと思った柄池は予想を裏切られて声を漏らす。

 大越はそれに構わず、声を出して駆けていく。

 柄池と龍富もそれについて行くと、愛川と御堂と八雲の三人を見つける。


「来海ちゃん! もしかして見つかった?」


「うん、3人もついて来て!」


 愛川の声に対して大越は追いついて来た三人に向けて、ついてくるように声を掛けた。

 八雲は大越の目指す先へ移動しながら視線を向けていた。


「私には見えないけど……何か見えない者を追っているの?」


「大丈夫、来海ちゃんの感は信じていいから! 追えば間違い無いから!」


 八雲の疑問に対して愛川はすぐさま答えつつ移動をしていた。


「……そう」


 八雲は理解を言葉で示し、特に不平を言うこともなく大越の後をついて行く。

 大越を先頭にした六人は一団としてもっちの行方を追うことになった。

 六人は分かれ道や曲がる道を移動していく。

 その中で愛川だけは徐々に追いつく速度は落ちているようであった。

 いくつかの道を走っていくと、大越は速度を下げて皆に話し始める。


「そろそろ着くと思う。ただ……他にも狼男はいると思うから気を付けて」


 大越は草木の生い茂る場所を指差し、もっちのいる場所に着いたと告げる。


「何人いるかは分かる?」


「何人かは……そこまでは分からないわよ」


 八雲は相手が潜む人数を聞くと、大越は分からないと答えた。

 流石に感で人数までは分からないだろう。


「まず、マッツ達にも先に連絡システムで連絡とりたいんだけどいいかい? あと俺、警棒のスイッチ二回も入れたから、突入するなら後でいいか?」


「二回か。なら突入はしないほうがいいけど、不意をついていけそうなら頼む、ガット」


 柄池は連絡を取ることと警棒のスイッチを二回入れたことを伝える。

 対して龍富は言ったことを許可した。

 原則として警棒のスイッチと銃の残弾は3回分しか無いのだ。


「それと愛川さんは俺のフォローに回したいけどいいかい?」


「んー……そうだな。何かあった時のガットのフォローも頼みたいか、じゃあそれで」


 スマホを取り出して柄池は愛川をフォローに回すことを提案して、龍富はそれを受け入れた。

 愛川を選んだ理由としては先ほどから愛川は疲労が出ていてこれからの行動にも支障が出る恐れもあったからだ。

 走るペースが落ちて来たことからもそう見ていいだろう。


「本当は今すぐ突入したいが、前線で戦えるのが俺だけで、他にも狼男が何人かいるってなるとな……」


 龍富は一人もっちがいるであろう場所へ視線を向けて呟く。

 柄池としても急いだほうがいいことは同意だが、何人か狼男がいる以上は龍富が一人で攻めに行くとしても危険ではある。

 誰かが偵察に行くにしてもバレた時に逃げられれば大変なことにもなる。

 柄池は連絡システム経由でこちらの場所を古賀松達に知らせる。


「警棒の方二回分使ったからね。それで敵一人落としたし、それで許して」


「まあ、許す。仕留め損なってあっちで敵一人増えてるとなれば、俺も戦いづらいし」


 柄池は龍富に許してくれるように言葉で伝えると、龍富は許してくれた。

 柄池はその後に古賀松へ電話をしようとする。

 スマホで電話をかけると、すぐに古賀松と繋がることになる。


「ああ、俺だけど……その場所に来て。あの子誘拐されてたけど、そこにいるんだ」


 柄池が古賀松と連絡を取ると、先に柄池は用件を伝えた。

 その後、古賀松の声を聞いて柄池は皆に聞いたことを伝えた。


「マッツだけど、なんとか駆けつけていくって話だって。だからリュートと大越さん、サブローと八雲さんは今から突入で。俺と愛川さんは後から突入ってことでいいかい?」


 古賀松と皆の意思をまとめて、柄池はその言葉を皆に言い渡す。


「俺は今すぐでも行けるぞ」


「私も大丈夫」


「ま、まあ、やってみるよ」


「準備はいいわ」


 龍富、大越、御堂、八雲の順に賛同の意を言葉にする。


「私もいざとなったら、行くから!」


 愛川もまた賛同の意思を示す。


「それじゃ、四人はそっちの方をお願いするよ。リュートもいるし、俺も後で行くから、危なくなったらいつでも逃げていいからね」


 柄池は五人を見渡しながら、任せる意思を言葉で告げた。

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