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人魚捜索 6

「バイトしたいってその子言っていたけど、どこに行くかとか、行きそうな場所とか知らない?」


「そこまでは私聞いてないな、行きそうな場所も私分からないし」


「ねぇねぇ? 今まで見た変な化者とかいるでしょ? 教えて教えて」


 柄池の質問に対して桃色の人魚は答えて、黄緑色の人魚は任務に関係のなさそうな質問をしていた。


「ちなみにその子比較的どれくらい陸にいるかは知らない? あと、化者については後でね」


「その日によって変わるわね。でも、夜までには帰ってくるから1日以上帰ってこないことはないよ」


 聞き込みを続けている柄池は片方の質問にも答えながら、更に別のことで質問をする。

 その質問に桃色の人魚は嫌な顔をせずに答えていた。

 順調ではあるようだと龍富が判断すると、ここで御堂が柄池の方に向けて声をかける。


「柄池ー、悪いけど話いいか?」


「どうかしたか?」


 御堂は柄池に視線を向けて提案し、柄池は応答する。


「探す人の顔だけど、言葉だけで探すのは手間だろ? だから、俺が絵を描いてそれで探せば、と思うんだ」


「おーそうだなー……って絵もいけるのサブロー!?」


 御堂の突然の提案に柄池は同意しながらも驚きを見せた。

 この御堂の突然の言葉に龍富だけでなく、古賀松や大空、大越もまた驚きを隠せなかった。


「少し時間はかかるが簡単な物でもあると探しやすいだろ? それで、俺もその場所で聞いておきたいんだけどいいか?」


「……ってことだけど……大丈夫そうかい?俺の仲間はみんな危害を加えることはないけど、一応俺も目を光らせておけばいい?」


 御堂の提案の捕捉に柄池はそのまま人魚達に提案を移す。

 他にも柄池が問題を起こさないように監視も付けるとも補足してだ。

 龍富としてもここは御堂にやってもらいたいところである。


「あの人か……ま、柄池さんがそういう風に見てくれるなら……私たちも話さないわけにはいかないから」


「あ、私あの人なら大丈夫かもしれない」


 柄池の提案の感触は桃色の人魚は戸惑いを見せながらも引き受けて、黄緑色の人魚は御堂なら大丈夫と抵抗なく受け入れてくれる。


「よかった、協力ありがとね。それじゃあ、絵の方は頼む、サブロー」


「よし、絵は完成したらみんなのスマホと携帯に送るから。それまですこし待っていてくれ」


 柄池の感謝の言葉の後、御堂はパソコンを出しながら人魚達の元へと向かった。

 桃色の人魚の警戒心は少し戻ったようで一瞬だけ下がろうとはしたが、すぐに警戒心を解いて戻ることになる。


「あと、桃色の髪の子がまつりん、黄緑色の髪の子がいつみーって呼び名なんで、そう呼んであげて」


「よろしくね」


 柄池は人魚達の簡素な紹介をすると黄緑色の人魚、いつみーは嫌悪もなく御堂へとあいさつをする。


「しかし、絵まで描けるとはなここは小規模の捜査課かもしれないな」


「なんだかもう、ほとんど苦労せずに捜査まで終わりそうな気もするね」


 古賀松は絵まで描ける御堂を評価しながら、大空は予想以上の進み具合にもっと楽になるかもとも感想を出した。


(俺もここまで楽になりそうなことは予想してなかったしな……まだ気を抜けないことは変わりないけど)


 龍富自身もこの進み具合に予想外との感想を心の中で打ち明ける。

 確かに、探す人の情報が不足している上に探す人の特徴という言葉だけではどうしても捜査は物足りない。

 そのために探す人の絵があれば、言葉で伝える手間も省く上に分かりやすく、都合がいいのだ。


「ねぇねぇ? スマホっての人魚用の完全防水されたものはないの?」


「え? それはないと思うけど……?」


 御堂の方へと目を向けると、パソコンで絵を描いている御堂にいつみーがスマホについての話を持ち込み、御堂は話の内容を否定していた。


「むー、それじゃあ、あなた作れないの? あなたスマホ作れるって言いそうな顔しているし」


「企業の偉い人に話した方が早いよ、その話は」


 それに対して、いつみーはさらにスマホの話に繋げて、気まずい顔を浮かべた御堂はそれも否定の言葉で対応する。

 と、そこで、八雲が柄池の方へと向かい始めた。


「えー、CMに出る準備も実は出来ていたんだけど、人魚でも使えるスマホがーって感じで」


「あ、顔はそんな感じ……ところでいつみー、あなたさっきから関係ない話で邪魔しないでよ」


「こうやって陸の人と話せるのめったにないから、今回だけ……ね?」


 否定されたいつみーは食い下がらずに御堂へとスマホの話を繋ぐと、パソコンの絵を見せてもらったまつりんは絵について話しながら、いつみーに対して言葉で注意する。

 いつみーはその言葉に対して大目に見てほしいと要求するも、まつりんの咎めるような鋭い視線に対して気まずい表情を浮かべるしかできなかったようだ。

 その傍らで、八雲は柄池に小さな声で言葉を送って、少しだけ対応に困るそぶりを柄池が見せると、頷いて了承の意思を伝えていた。

 意思を受け取った八雲はすぐさまこちらの方へと戻っていく。


(八雲さん、何を言ったのだろう?)


 龍富は実際に何もすることがないことから八雲の言葉が内心で気になってしまう。

 龍富が言葉について聞くと八雲に悪い印象を持たれるかもしれないが、やはり聞いてみたいという気持ちはあった。

 ただ、もしも龍富に聞かれたくない話であった場合は柄池は適度に濁してくれるだろうから、龍富が聞いた結果だけを見れば安心感はあった。

 そのことから、龍富は御堂たちの様子を探る形で近づき、さりげなく柄池と会話するという行動へと移った。

 もしも、龍富が八雲の言葉を聞くという行動自体に問題があるとすれば、しばらく、御堂の様子を見るという行動に移ればごまかすことはできる算段もあったために行動が出来たのだ。


「……八雲さんはなんか言ってたか?」


「あ、それだけど、人魚の誘いには気をつけなさい。とくにあなたは乗らない方を選ぶことを勧めるわ……ってね」


 さりげなく柄池に近づいた龍富は八雲の言葉について聞くと、柄池は抵抗の様子なく八雲の言葉について明かしてくれた。


「突然こんなこと言われたし、どう言うことか聞きそびれたけどいまいち深い部分についてはよく分からなかったね。一応気をつけていようと思うよ」


 八雲の言葉については表面上しかわからないと柄池は言葉の解釈について述べる。

 柄池は躊躇うことなく話したが、八雲は龍富の行動について特に気にする様子もなく、本を読んでいた。

 ただし、龍富が近づいたことで、人魚達は警戒心を強くしてその場を離れようとしたことはいい結果にはならなかったのであった。


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