人魚捜索 3
「じゃあ、解説頼んでもらっていい? 作った本人からのほうがいいと思うし」
「ああ、そうだな。あっと、先に柄池は下準備してくれる?すぐに終わるから」
柄池からの頼みで御堂は皆の前に出て解説を始める。
同時に龍富は今の自分には役目は無いと御堂と柄池の二人から離れたところへ移動した。
その間に柄池と御堂は簡単な打ち合わせを行い、御堂は開設の準備を整える。
「名前は考えてないんで連絡システムって仮の名前があるんだが、今回、俺は個人で危機が迫った時の緊急連絡手段をアプリで作ったんだ」
御堂は解説を始めて、スマホを軽く掲げる。
「で、どうやって連絡するかって言うと……スマホを使ってだな」
御堂はスマホの方へと視線を向けつつ解説をすると、後に柄池の方へ視線を向ける。
「ああ、準備はいいよ」
「それじゃあ、実際にやってみるか」
準備が出来たとの柄池からの声で御堂は実践開始を告げる。
6人からの注目を浴びる中、御堂は電源の入ったスマホの画面を指で何回かなぞった。
すると、柄池のスマホが音とともに画面が点滅し始めたのだ。
「おー!」
「ははー、これで危なくなったらすぐに伝えられるってわけか」
愛川の歓声が挙がった後、古賀松の関心の声も出てくる。
龍富、大空、八雲、大越も声には出ないが関心の眼差しを向けていた。
「そう言うこと。危険な目に合う以上はすぐに使える連絡手段はあって損はないからな、と言うことで提案してみたんだ」
御堂も得意分野で出せた実績なのか、ほんの少し得意げな声で解説を行う。
柄池からの話での連絡システムとはこれだったかと思いつつ、御堂の方へと関心の視線を送った。
「んー、でも連絡だけだとちょっと心細い気もするかも……あ、連絡できるだけども十分すごいことだと思うよ、私は」
「これ自体でもあって助かるものだけど、確かにそれも……」
大越も評価はしながらも物足りなさの声を出して、龍富もまた物足りなさの意見を出していた。
龍富もこれがあることで防げることが沢山あることは承知でもあったが、出来ればこれ以外の機能も欲しいと
「それが有るんだよ。物足りないと言う機能が」
「え?! マジ? これ以外にも便利そうな機能つけたの?」
御堂の意表をつく声は柄池に驚きの声を出させる。
龍富もまた声には出ないまでも、意表をついたことで同じく驚かせた。
「柄池、スマホをよく見てくれ」
御堂の指示に柄池はスマホを確認すると柄池は気づいたことがあった。
「もしかして、この数字って」
「それじゃあ、俺はもう少し離れてみるから」
柄池は御堂の疑問に言葉と行動で示してみる。
御堂は部屋から出て行くと、龍富は柄池のスマホへと近づく。
「ほら、リュートも見るか?」
声とともに柄池が龍富が見える範囲にスマホを持っていく。
今現在は赤く点滅して居る状況で10mと表示されて居る。
「あれ? これってもしかすると……」
龍富はある思案を思いつき、言葉として漏れる。
それと同時に古賀松も柄池のスマホに近づいてくる。
少し時間が過ぎると、柄池のスマホに表記された。
数字表記が10mから50mへと変わった。
「ああ! そういうことか」
「これってどこからヘルプが来たか分かるってことか。こりゃあいいわ」
柄池が理解の言葉を話し、古賀松が表記が変わったことについて解説する。
「ああ、すごいな。助けを求めた人との距離まで分かると出来ることもかなり多いし、こう言うのが欲しかったんだよ」
龍富も賞賛の言葉とともにこの機能の必要性を話した。
同時にここまでをやってくれた御堂を高く評価したのであった。
「おー!」
「ここまで出来るのかよ。すっげー」
愛川は驚きの声を出して大空もまた評価と驚きの声を出す。
ここで御堂が部屋へと戻ってきた。
「こう言う機能もつけたんだ。やっぱりこれもあった方いいと思って。後これの解除方法なんだが……」
機能についてと解除方法について御堂が話し始める。
「まさかと思うけど……それって近くにすまほを持った人がいないと信号を受けられないと言うことは無いわよね?」
「え? あ、いやいや。そんなことはないから大丈夫、心配しなくてもいいよ」
御堂が解説を終えたところで八雲は御堂へ疑問を投げかける。
それに対して驚きを漏らすも御堂は問題はないと回答する。
柄池もちょうど良くスマホの表示を解除出来たようである。
「リュート、俺ちょっと行ってくる」
「ああ、ってどこへ行くんだ?」
柄池は何かを思いついたのか突然、龍富に言い残して部屋から出て行った。
龍富も了承はしたが、どこに行くのかまでは聞きそびれてしまう。
(まぁ、余計な迷惑をかけることまではしないし、大丈夫か)
龍富は内心でほっておいても問題ないことだと看過を決める。
「ところで、サブロー。聖華ちゃんはどうする? 確か、聖華ちゃんスマホは持ってなかったはずだけど」
「ああ、それは70%対処可能さ。八雲さんの携帯はネットに繋げることはできるから、連絡だけを送ったり受けたりすることは出来る。位置情報までは取得は出来ないけど、そこは極力誰かと一緒になれば問題はないと考えているから」
古賀松はスマホを握ったふりのままで手を振り、御堂へと問題を提起する。
問題に対して御堂は対処可能な範囲で問題ないとの回答をした。
「おお、そこまで考えていたんだな。恐れ入ったよ」
その回答を聞いて古賀松から驚きと賞賛の声が送られた。
「それと、これからこの連絡システムを使う以上、欲しい機能も出てくるだろうから、その時は俺に遠慮なく言ってくれ。俺も最善を尽くすから」
御堂は周りへと機能の追加について話した。
その様子を龍富から見るに最初の頃の印象とは違うことを感じ取っていた。
(無理矢理入ることになった割には今は割と楽しそうだ……)
龍富は以前の御堂と今の御堂の状況を言葉にせずに比較していた。
最初に会った時はここに所属するのは嫌そうな感じに見受けられたが、今の御堂の表情は明るく、嫌々ながらやっているとは誰も言えないほどなのだ。
(好きなことが出来ているから……なのか?)
龍富はこの違いに対して心の中でこう結論付けた。
龍富自身は頭を働かせる行動よりかは体を動かす行動の方が好きなため、前者よりも後者の方がいい表情が出来る。
そこから龍富もこう行った考えに至ったのである。
考えている間に古賀松は御堂と何かを話していて、ここで御堂のスマホから部屋に響く音が発せられる。
「柄池からか」
「なんだなんだ?」
御堂は柄池からの信号だと判断した声を出して、古賀松は御堂のスマホを覗きながら興味を示す声を出す。
「まさかだけど……そのまさかが本当に起きた……?」
まさかの展開かと龍富は言葉に表す。
この連絡は危機が起きた時に助けを求めるためのシステムである。
ここで連絡が来たと言うことは本当に柄池の身に危険がある可能性もありうる。
「あ……いや、待て」
御堂もその可能性を疑ってハッとする声を漏らすが、再びスマホを見た。
その後に龍富にもスマホを見せる。
「実はさっき見た時と距離が縮まっている、だからだな……」
御堂の声とともに龍富はスマホの画面を見る。
画面は赤く点滅して10mの表記であった。
御堂の話通りであれば、信号が来た時は50mの表記であったのであろう。
龍富はこのことから分かったことがある。
「あれ? なんか不味いこと?」
大越も状況を感じ取って確認の疑問を周りに投げる。
その答えは柄池が室内に戻って分かることとなる。
「俺からも一回やって見たかったんだよ!」
柄池は部屋に入ってすぐ一声を出す。
柄池の顔は特に焦りや危機を感じてなく先ほどの信号はただ単に送って見たかっただけの様だ。
「リュート、俺たち正義の組織をやってるみたいだ! こう言うことやると実感凄えな!」
「落ち着け。以前から正義の組織をやってたんだよ」
柄池は妙にはしゃぐ様で実感を語り、龍富はそれを窘めた。
「おいおい。俺はマジで連絡したのかと思ったぜ」
「あ、ごめんごめん」
古賀松から簡単に心配の声を送り、柄池は謝罪をする。
そして、残りの時間で任務の細かい部分を詰めて行ったのであった。




