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サークルの出会い 17

大越視点ここまで

「え? どうしたの? 来海ちゃん」


 愛川は急な行動に驚きと疑問を投げる。


「多分……何かが千切れて落ちたと思う。ごめん、ちょっとついて来て!」


 大越は声とともに来た道を急いで戻る。

 それに愛川も分からない様子で付いて行った。

 大越は人を避けながら走り、愛川もそれに続く。

 ある程度走ると大越はしゃがみながら立ち止まった。

 大越の視線にはキャラクターを模したアクセサリーが落ちていた。


「やっぱり……」


 大越はペットボトルを身体中に隙間なく纏ったキャラのアクセサリーを手に取りながら呟いた。


「あ、ホントにあった! なんで分かったの?」


 愛川の驚きに大越は顔を戻った道へと向け続けていた。


「私ね……耳も鼻も普通よりかなり良くなっているの。あの日からね」


 大越へと顔を近づけると愛川に小声で話した。

 あの日、自分が化者だと知った。

 あの日から大越は普通の自分より鼻と耳の感覚が研ぎ澄まされたのだ。

 大越は行き来する人混みの中でアクセサリーの匂いが残った人物を嗅覚で探していた。


「……まだいる」


 近くに大越は人混みの中で呟き、アクセサリーの持ち主へと足を急がせる。

 この人混みでは、誰かまでは分からない、しかし、遠くないところに大越でも急げば辿れる範囲にいることは走って届ける理由には十分であった。


「あ! 待ってよ、来海ちゃん!」


 残された愛川は大越に待ってと呼びかけても大越は待つわけにいかず、愛川は置き去りを受けてしまう。


「すいません、通ります! 愛理栖ちゃん、ごめん! 付いて来て!」


 大越は通行人に謝りつつ、愛川にも謝って走り続けた。

 人混みを避けて走りながらも、大越には少しづつだが匂いとの距離を詰めている感覚はあった。


「は、速いよ……私そんなに綺麗に通っていけない……」


 対して愛川との距離をどんどん広げられ、愛川自身は状況に愚痴をこぼしていた。

 待ってあげたいところだが、待てば一気に距離を広げてしまう状況はそれを許してくれなかった。

 走り抜く大越は人混みが薄いところを一気に走り抜けて匂いとの距離を大きく詰めた。


(良し! このまま走れば渡せそう)


 内心で大越は距離を詰めた現状から渡せる確信を持つ。

 大越は更に走ると匂いが減速していき、進路を90度曲げて行くことを突き止めた。

 その匂いは一本道から分かれた細い道へと向かい、ツインテールと制服のスカートをたなびかせて歩くことを確認出来た。


「あそこへ行けば……」


「あ! 胸が当たっちゃった!? すいません、大丈夫でしたか?」


 大越がもう少しで目標にたどり着けると、確信を言葉にすると愛川の方は誰かにぶつかってその誰かに謝っているようだ。

 大越は愛川を心配はしながらも目標へと向かい、分かれた細い道へと向かおうとしていた。


(ここに入ればあとは渡すだけ……)


 大越は内心で状況を確認し、人を避けてから細い道へと入る。

 するとどうだろうか。


「……あれ?」


 大越は予想を裏切られた声を漏らす。

 そこには誰一人として居なかったのだ。

 道は日光が届かないのかやや暗く、一本道ではあったがツインテールの女子高生も居なかった。


(確かに道に入るまでは匂いがあったのに……)


 心で状況を確認し大越は疑問を浮かべて居た。

 周りどころか奥の方も匂いが全くないのだ。


「だったら奥にでも行ったってこと?変な感じはするけど……」


 大越は言葉を出しつつおかしな状況に自らできることを探り結論付けた。

 奥からも匂いがなくおかしな状況だが、出来ることは奥を探る以上は無いことから行動はこれしかなかった。

 やむを得ず、大越は奥へと警戒して進むと、奥への道はそれほど長くなくすぐに奥の壁へと突き当たることとなる。

 途中に怪しいところや他の誰かもいることもなくたどり着いたのだ。


「なんだったんだろう? もっと探って見たほうがいいのかな?」


 大越は現状を言葉にしてみるも隠し扉も考えられたことから深く探ることも出来た。


(ただ、これ以上の深入りは嫌な予感……)


 しかし、大越は内心で制止をかけた。

 これ以上の深入りはまずい予感がしていた上、あまり時間をかけるとバイト先にも迷惑をかける可能性がある。

 大越は探りをやめて来た道を戻って行った。


「来海ちゃん、落とし主は?」


 道の入り口に来て、愛川が探りの結果を尋ねてくる。


「それが何故か居なかったのよ」


「え? そんな……」


 結果を大越が話すと、愛川は驚きと疑問が混じる顔で答えた。


「でも、確かに落とし主は近くに居たのに」


「うん、来海ちゃんのことは信じるよ。アクセサリーもこうして見つけたわけだし。なんで、消えちゃったんだろう?」


 大越も説明をすると、愛川は大越の話を嘘だと思わないと伝え、疑問について言葉にした。

 大越の話は嘘だと思われかねなかったが、こうして愛川が信用してくれて安心した部分も大越にはあった。


「ともかく、ここにずっといるよりはもうお店に向かった方がいいから」


「そうだね。でも、そのアクセサリーはどうしようか?」


 大越が行動について話すと、愛川は同意しながらも、アクセサリーについても疑問を投げた。


「んー……店で預かれるかもしれないし、落とし主が近くに来るかもしれないから、まず、店に話してみよう。近くに交番もないから、ここら辺は」


「ああ、交番もないっけか。じゃあ店でしばらくは……ってことで、そろそろ向かおうよ」


 大越は疑問に対して考え、交番ではなく店に頼むことを提案して愛川もそれについて同意した。

 そして、この場でやることを切り上げて、二人は店へと向かっていった。

 後に大越はバイトで今回の不可解な出来事を頭にちらつかせながら、仕事に挑むこととなる。

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