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常闇(とこやみ)の女神 ー目指せ、俺の大神殿!ー 闇よ集え! わが権能が、あまねく世界を覆う!  作者: 山口遊子


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第69話 ホムンクルス大作戦


 今日は、今は亡きマイルズ商会の会長が泊まっていた高級宿のスイートに泊まることにした。


 部屋はとったが、いつものように部屋には向かわず、そのまま俺たちは食堂へ行ってまだ陽のあるうちから飲み始めた。


 思い付きから始まったホムンクルス大作戦。酒盛りをしながらその構想でその日は大いに盛り上がってしまった。


 ホムンクルスと言ったら、いかがわしいかグロテスクな素材を集めて錬金術の粋を集めて作り上げた人造人間だと思っていたが、その固定概念を打破するべく、大天才トルシェが真面目に動き始めた。


 トルシェの場合、実験を積み重ねながら、一歩一歩技術や知識を伸ばしていくようなまどろっこしいことはせず、いきなりシンギュラリティ(技術的特異点)を馬飛びで超えていく。超天才だけに許される世界だ。


 その日は飲み始めたのがいつも以上に早かったせいか、早めにお開きになった。


 上機嫌で部屋に帰ってみたが、シャワーはついているものの、お風呂があるわけではないので、俺はパジャマに着替えてベッドイン。アズランは下着姿。野人は、いつも通りのマッパでベッドインしている。俺が一人部屋で、トルシェとアズランは二人部屋で寝た。


 よほど、トルシェは魔法ホムンクルス構想が気になっているようで、隣の部屋から遅くまでブツブツ言っているのが聞こえてきた。アズランもうるさく思っていると思うが、文句を言う訳でもなくおとなしく寝ていたようだ。


 最後に『やったー!』とか言っていたがそれが寝言だったのか本当だったのかはわからないまま寝息が聞こえてきた。



 

 翌朝。目覚めて寝室から寝間着姿でスイートに出てみたら、普段着姿のトルシェとマッパ、野人姿のトルシェ、それに下着姿のアズランがいた。


「ほう、その服を着ているのがトルシェの作った魔法ホムンクルスか?」


「えっ! ダークンさんは鑑定してはいなかったハズなのに、どうしてそっちがホムンクルスだと一目で分かったんですか? わたしと寸分違わないはずなのに!」


「なぜわかったかは、俺が神だからということにしといてやるよ」


「それはそうですよね」


「アズランでも分かったんじゃないか? なあアズラン」


「一応、一目見れば分かりました」


「ええーー! それって一目瞭然ってことだよね。わたしだから区別できるけれど絶対区別できないと思ったのにー」


「トルシェがすごいってことは、よーくわかった。俺も寝間着から着替えるから、早く服を着て来いよ。支度が終わったら朝食に下に下りるぞ」


「はーい」「はい」



 朝食を宿屋の食堂で食べながら、


「明日、お墨付きの書面を貰うついでに、スケルトンちゃんを回収しようと思ったが、トルシェ2号が完成してしまったから、そのまま置いてきてもいいな」


「あっ! 言い忘れてましたが、送還もできるようになりました」


「そうなのか、早いな。それじゃあ、スケルトンちゃんは送還しておこう。あの監察官は俺の加護をうけてスケルトンちゃん大好き人間になったようだから、本人が望むなら送還せずにおいといてやってやれ」


「わかりました」


「ところで、トルシェ2号がトルシェと並んで普通に食事をしているが、こうやって話をしなかったら全く区別がつかないな。トルシェ2号はちゃんと受け答えできるんだよな?」


「もちろんです。わたしの秘書のホムンクルス程度の会話はできます。ただわたしほどのウィットに富んだ会話はまだできません」


「トルシェのウィットに富んだ話を聞けないのは残念ダナー」


「そうですね。私もそう思いますデス」


「そう言えば2号は外向きはトルシェなんだろうけれど、名まえはないのか?」


「変な名まえをつけると、キレちゃいそうなのでまだ名まえはつけていません」


「2号は魔法は使えるんだよな? そこが一番大事なところだと思うが」


「たいていの魔法は使えます。使えば使うほど込めた魔力が減って寿命が縮まるのであまり魔法の類は使わせない方が無難です。こうやって食事をすれば魔力が多少取り込まれます」


「それは相当すごいな。ということは普通の生活をしていれば、何年でも生きているわけだな」


「その通りです。死んでしまうと、一般的なホムンクルスと違って、模倣で作り上げた体なので、後も残さず消えてしまうんですが、数十年は生きるんじゃないかな」


「ますますすごいな。トルシェは魔法ホムンクルス分野を切り開いたわけだ。それも酒盛りをしたあと半日もかからずにだから全く凄い」


「ダークンさん、もっと褒めてくれてもいいんですよ」


「いつもトルシェのことは褒めてるじゃないか。というか俺の右手のトルシェも左手のアズランも実に頼もしい」


「ダークンさん、ありがとうございます。頑張ります」


「わたしも」



「ところで、2号は寝るときはマッパなのか?」


「いいえ」


「安心したよ。さっきもちゃんと服を着ていたものな」


「あれは、試しにわたしの普段着を着せてみただけです」


「???」


「2号はプライベート空間では通常全裸で過ごします」


「えっ? そうなの?」


「2号は私そっくりに作っているので、行動に変な制限はつけていません」


 キリッ! てそんなことを自慢するなよ。


「実際のところ、私自身を魔法で複製しただけなので、全く同じ仕様です」


「仕様なら仕方がないのか?」


「指示すれば簡単に変更可能ですが、変更する意味がありませんよね?」


「意味は少しはあるんじゃないか? アズランはどう思う?」


 ここは多数決作戦だ。


「やはり、少なくとも下着くらいは着けていた方が」


「だよな」


「それじゃあ2号、お前はどう思う?」


 俺の多数派工作を察知したトルシェが自分のコピー、トルシェ2号に話を振った。


「もちろん全裸推奨です」


 トルシェと全く同じ声で、同じようなことを言う。確かにこいつは良くできたコピーだ。


「わかった。好きにしてくれ。ただ、俺たち以外がいるようなところでは服は着てくれよ」


「はーい」「はーい」


 完全に同じ声が左右から聞こえてきた。これが当たり前なんだな。




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