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常闇(とこやみ)の女神 ー目指せ、俺の大神殿!ー 闇よ集え! わが権能が、あまねく世界を覆う!  作者: 山口遊子


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第107話 重力砲、グラヴィティカノンだーー!!


 トルシェのヤヴァい黒い塊が怪人を追い詰めていく。とうとう怪人はステージの一番奥、大広間の隅に追い込まれてしまった。その先にはもう炎の上がっている円筒しかない。


 大広間の隅で怪人は何やら叫んでいるように見えたがもちろん何も聞こえないので何を言っているのかは分からない。


 あーあ。


 黒い塊は、顔から胸元をガードするように両腕を上げた怪人のその腕を巻き込みながら胸の真ん中まで進んだ。黒い塊はそれ以上は移動せずその位置にとどまっている。すぐに残った上半身がぐるりと黒い塊に吸い込まれていった。下半身はしばらく残っていたが、足が床から離れたと思ったら上半身と同じように吸い込まれていった。


 俺がシタデルを解除して、しばらくしたら、黒い塊は小さくなって消えてしまった。


 トルシェが小声で『しまったー。指輪の付いた指だけは残ってほしかった……』とか言っていた。あの怪人の指に指輪がついていたかどうかは俺には確信はないが、多分ついていなかったと思う。


「トルシェ、エラいの作ったなー。それで今のは結局何だったんだ?」


「うーん。ファイヤーボールでも何でも下手に大きなものより、それを圧縮した方が威力があるので、詰め込めるだけ魔力を詰め込んだファイヤーボールをどこまでも小さく圧縮してやったらあんなのができちゃいました」


「できちゃったのか?」


「できちゃったんです」


「できたものはできたものだしな。それじゃあ、名前もないのか?」


「もちろんありません」


「それはそうだよな。じゃあ俺が命名してやろう」


「ダークンさんの『神の城塞シタデル』くらいカッコいいのでお願いします」


「任せろ。『重力砲、グラヴィティカノン』はどうだ?」


「すっごくいい響きでカッコいいですが、言葉の意味が全く分かりません」


「『重力』というのは、物を引っ張る力だ。さっきのは周りのものを引っ張り込んでいたろ?」


「そうですね。『重力』、フフ」


「それで『砲』はな、魔法や石の塊なんかを撃ちだすもののことだ。あの五つ並んだ魔法陣にピッタリだろ?」


「なるほど、『重力砲』。それで『グラヴィティカノン』は?」


「『重力砲』を別の言葉で言っただけだが何だかカッコいいだろ? 俺の『神の城塞シタデル』の『シタデル』も城塞を別の言葉で言っただけだが付けてたほうがカッコいいだろ」


「ほうー。いいですねー。『重力砲、グラヴィティカノン』ニヘヘ」


「それはそうと、いまの怪人がボスかと思ったがまだ何も起こらないな」


「ダークンさん、何だかさっきより、周りの壁が薄くなってきたような」


「アズラン、壁が薄くなったのか?」


「いえ、何だか、天井や床も含めていろいろなものが透き通った感じで薄くなってきています」


「ほんとだ、透明になってきてる。こいつは新しい展開だな。透明になるのはいいが、足元が抜けてしまうと嫌だな。

 トルシェ、まだ大丈夫だとは思うが、念のためにまた『レヴィテーション』をかけ直してくれるか?」


「はーい。

『メジャー・レヴィテーション!』

 これで大丈夫。落っこちたとしてもダメージはないはずです」


「ありがとさん」



『レヴィテーション』をかけてもらっている間にも周りの壁やら天井がどんどん透明になっていく。どうやら、周りは何もない場所、強いて言えば空の上のような感じだ。幸いなことに、足の少し下には地面らしきものがあるようだ。これなら墜落ということにはならないだろう。さっきの怪人がやはりボスだったわけだな。


 またまた、相手が何だったのかは分からなかったが、分かったところでどうなるわけでもない。いつも通り、どうでもいい。



 すっかり周りの壁や天井が消え、足もちゃんとした地面に着いた。足の着いた先は土の地面ではなく白い石畳だった。


 見回したところ、そこは五十メートルほどの丸い円盤で、その真ん中に俺たちが立っている。周りは雲の浮かぶ青空だ。かなり遠方に山並みが見える。ということはここは塔の上?


 なんであれ、ダンジョンの延長だ。どこかに階段がありそうなのだが、


「どこかに階段がないかな。階段がないようならレヴィテーションがあるから跳び下りてもいいけどな。ちょっと、はしまで行って下の様子を覗いてみよう」



 塔の端まで行って下を見たら、やはりここは『白き塔』の屋上のようだ。広場を挟んで四角くこの塔を囲む『闇の使徒』の神殿の屋根が五、六十メートル下に見え、神殿の立っている丘の周りの街並みがよく見える。四方を山に囲まれた結構大きな都市のようだ。街並みの中に城のような大きな建物も見えた。


 ただ、広場にも神殿の周りにも人は見えなかった。みんなどこかに行ってしまったのか、神殿の中に引きこもっているのか?



「結局、すったもんだはあったが、塔の上まで上がってたんだな。さっきの怪人は『闇の使徒』の親玉だったかもしれない。どうせこの塔はおれの怒りに触れた塔だ。叩き潰してやるがな。さて、どこかに下り口はないかな?」


 下界を確認したところで、今度は足元の屋上をよく見ることにした。一通り見回したがそれらしいものはなにも見つからなかった。


「おかしいな? 仕方ないから跳び下りて、適当なところから『神の怒り』でここを崩そう」


「ダークンさん、何だか足元から音が聞こえてきませんか?」


 アズランが何かに気づいたらしい。


 確かに何か土砂か何かが崩れるような音が聞こえる。しかも鈍い振動まで足元に感じる。その音と振動がだんだん大きくなってきた。


「おい、もしかして、この塔、崩れてるんじゃないか?」


「そんな感じですね」


「ここにいたら崩壊に巻き込まれそうだから、はしに行って跳び下りよう」


「はい」「はい」


「我も忘れずに頼みます」


 サティアスが泣きそうな声で頼んできた。


 ちゃんと手に持っているんだから忘れるわけないだろ。意識はしてなかったけどな。





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