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ゴッドレス・ワールズ・ファンタジア  作者: 眞三
第4章 光の討魔団と破壊の巨人
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162.怒りの雷拳

いらっしゃいませ!


では、ごゆっくりどうぞ

 蒼炎を纏ったグレイが軍艦へ帰還する。リクターは眠たそうな目を擦って起き上り、頭を掻きながら彼に近づく。


「何事も無かった様子だが……?」と、グレイの表情と醸し出すオーラを感じ取り、顔を顰める。「そういう事か……」


「あぁ、そうだ。大体わかったか? お前はどうする?」蒼炎を揺らめかせながら甲板を歩き、リクターの顔を伺う。


「どうする、か……」ため息を吐きながら俯き、脱力した様に肩を落とす。と、次の瞬間、リクターは間合いを詰め、グレイの顔面を狙って拳を振り抜く。


 が、グレイは瞬時にリクターの背後へ回り込み、右腕の蒼炎刃を吹き消していた。


リクターの脇腹からは蒼炎が噴き上がり、傷口が灰化していた。彼は蒼炎を傷口ごと千切り飛ばし、大地の回復魔法で肋骨ごと回復させる。


「ならば、ここで全員消してやろう」グレイはニタリと笑い、上空へ跳び上がる。


「貴様は一体、何がしたいんだ?!」


「俺の目的はいつでも変わらない……ただ、ブレそうにはなったが、やはり俺は変わってはいけないな」と、片手から蒼炎球撃ち出す。


「そうかい!」リクターは一瞬で跳び上がり、蒼炎球を裏拳で消し飛ばして掴みかかる。


「成る程、そう簡単にはやらせてくれないか」と、グレイは高速で距離を取り、軍艦を落とそうと蒼炎球を練り上げる。


 その間、リクターは大声で全艦に魔障壁発生装置を作動させるように指示し、グレイの攻撃が着弾する前に間に合う。次の号令で軍艦の砲台が全てグレイへ向けられ、一斉発射される。彼は砲弾を掻い潜り、距離を取ってチョスコ港まで退く。


 すると、魔王軍の砲撃が始まり、その全てがまたグレイへ向けられる。彼との共闘はクリスの軍を1人で撃退するのが条件であった。


「まぁそうだよな。だが、連中の矛先は変えられたな」と、グレイは不敵に笑いながら戦場から離れて行った。




「案外役に立たなかったな、あいつ」パトリックは欠伸をしながら再び長椅子に寝転がり、本に目を落とす。


「いや、どうかのぉ……何かの策かもしれんぞ?」エイブラハムは何かを考え込む様に唸り、部下には無駄な攻撃は避ける様に命じる。


「で、どうするか……燻っていた好奇心に火を点けるだけ点けて来たが……ヤツの言う通り、世界王の野望を挫きに行くのも悪くなさそうだ」パトリックは本に目は向けていたが、グレイの提案に心を動かされていた。


「魔王様の為、このまま我らだけでもマーナミーナ国へ向かい、ホーリーレギオン基地を襲撃する……か。部下と量産型ウィリアムにここを任せれば良い。それに、あっちには気になる大砲があるからのぉ」と、エイブラハムはやる気があるのか、重い腰を上げてふわりと浮き上がる。


「今か?」パトリックは面倒くさそうに頭を上げる。


「善は急げじゃろ」指先から静電気を発生させ、パトリックの尻を刺激する。


「いてっ!! ったく、明日でもいい気がするけどな」


「目の前の軍艦を潰す仕事と、更に海に潜むお嬢ちゃんらの相手もしなきゃならんのじゃ。そんなに悠長にしてはおれんじゃろ?」と、昨日よりもやる気に満ちた魔力で飛んでいく。


「ったく、歳の割には活発だな」パトリックはため息交じりに本を閉じて立ち上がり、彼の後に続いた。




「ちょっと、貴女の殺気のせいで上の連中に気付かれたでしょうが!」チョスコ湾の海底50メートル地点でリヴァイアがスカーレットを睨み付ける。


「でも、上には祖国が! パトリックが!」溢れ出んばかりの魔力で放電し、今にも浮上したそうに顔中に泡ぶくを噴き出す。


「出るタイミングは私に任せてって言っているでしょうが! もう上にはばれている様子だし、意味はないだろうけど」と、海上で待機するドッペルウォーターを操作し、今まで得て来た情報を数瞬で読み取る。その中でグレイが両陣営を揺さぶり、単純な戦いになっていない事を知る。


「あの男、余計な真似をしてくれたわね……」


「で、どうするの! 上空にはあいつがいるのよ! 早く行きましょう!」と、上から感じるパトリックの魔力に更なる殺気を漏らし、獣の様に唸る。


「エイブラハムとパトリックか……わかったわ、じゃ……」リヴァイアが次の指示を出そうとした瞬間、スカーレットは電磁砲が如く跳び上がり、そのままパトリックを真下から殴りかかった。


「あの馬鹿……」顔を押さえながら首を振り、リヴァイアも渋々と浮上した。




「ん、きたk」パトリックは真下からの殺気に気付きながらも凄まじい速度と気迫に押され、雷拳に下顎を砕かれる。更に追撃で幾度も殴られ、パトリックの顔面の原型が無くなり、そのまま港の建物へ勢いよく突っ込む。凄まじい飛沫が瓦礫と砂煙に覆われる。魔王軍は何が起きたのかわからぬまま上空を見上げる。



「我こそはスカーレット・ボディヴァ! チョスコ国を助けるため、今戻ったぞ!!」



 スカーレットは勢いのまま吠え、港の魔王軍へ向かって弾丸の様に突撃する。


「あ、あぁ? あぁ……ほんっと、連れてくる人、間違えたな」リヴァイアは頭を抱えて深い溜息を吐きながらも飛んでくる砲撃を全て水魔法で受け止め、撃ち返す。


 そんな彼女を見てエイブラハムは髭を撫でながら正面まで近づく。


「やはり水の賢者リヴァイアか。代わったお供を連れておるのぉ」と、港で暴れ狂う稲妻と化したスカーレットへ顔を向ける。


「お恥ずかしい限りで……で、貴方は何故、魔王に加担を?」冷静な顔で問いかける。エイブラハムは元雷の賢者であり、魔王に加担するような者ではなかった。


「ポンド家の下で賢者を続けたくなくてのぉ。魔王の方が大分マシじゃて」


「それはそうですね。特にあのクリスは魔王よりも腹黒い何かを企んでいるのは明白」


「では、共にマーナミーナを攻めるか?」


「いえ、魔王軍にマーナミーナを攻めさせはしません。私は私のやり方で、世界王の野望を止めます。その為に、私はここに来たのです」と、水魔法を展開する様にて首を捻る。


 すると、真下に渦潮を発生させ、軍艦の進路を混乱させる。同時に港を津波で襲わせ、殆どの迎撃兵器を押し流してしまう。それに合わせてスカーレットが今までのストレスを発散する様に暴れ回る。


 それを見て砂塵の中から顔面を炎で包んだパトリックが現れる。彼の顔面は既に炎の回復魔法での再生が終了していた。


「まぁ、この程度か。相当鍛えた様子だが、クラス3の壁は超えられずにいる様子だな」と、上空へ火の玉を撃ち出す。


すると、量産型ウィリアムが目を光らせて動き出し、スカーレットへ向かって飛びかかる。


このウィリアムの勢いにスカーレットの進撃が急停止し、凄まじい衝撃波が港を吹き荒れさせる。


「邪魔をするな、この! このぉ! 何だコイツ?!」初めて目にした兵器に仰天し、ロザリアから聞かされた情報を思い出す。その隙を突き、ウィリアムが巨大な拳で彼女の顔面を打ち抜き、吹き飛ばす。無機質な表情のまま飛んでいった彼女の方へ歩を進める。


 するとお返しと言わんばかりにスカーレットが一足飛びで間合いを詰め、殴り返す。が、クラス3の限界か、ウィリアムの肉体を突き破る事が出来ず、簡単には倒す事が出来なかった。


「くそ、邪魔なんだよ、コイツ!!」と、雷蹴り、雷拳を見舞いする。


 そんな彼女を嘲笑う様にパトリックは定位置へと戻り、長椅子に座って紅茶を淹れ直す。


「あの娘は何処まで出来るか、ここで見物するか。ま、ボディヴァ家最後の生き残りだ。全力で首を獲らせるがな」と、また合図をする。


 同時に起動していた量産型ウィリアムの残りの1体がスカーレットに襲い掛かり、横っ面に蹴りを入れる。


「ぐほっ!! っ邪魔をするなぁぁぁ!!」スカーレットは鬼面で吠え、2体の無機質な人造人間に向かって突撃した。


「さぁ、小娘ひとりでどこまで出来るか……賢者はエイブラハムに任せるか。久々に楽しみたいだろうしな」と、パトリックは欠伸をしながら横になり、広げた本を顔に乗せて眠り始めた。


如何でしたか?


次回もお楽しみに

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