表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴッドレス・ワールズ・ファンタジア  作者: 眞三
第4章 光の討魔団と破壊の巨人
410/616

103.雷の力、風の力

いらっしゃいませ!


では、ごゆっくりどうぞ

 ケンジは大剣を片腕で振り回し、ゼオを少しずつ押していく。


「ほぉ……中々押すじゃないか。戦闘データ以上だ……」と、金剛の様に固くなった両腕で彼の斬撃を弾きながら鼻で笑う。


「人はデータとかでは計れないんだよ!! この野郎!!」と、王風に竜巻を纏わせ、ゼオの二の腕を叩き切る勢いで振り下ろし、火花を散らす。


「お前の腕、この王風、そして……怒りか? 怒りは戦いに勢いを増すが、鋭さを鈍らせる」ゼオは正確に分析する様に口にし、大木の様な脚で蹴り上げる。


「ぐっ!」ケンジはそれを防げずに腹部に受ける。


「隻腕は辛いな、ケンジ」と、右ストレートを振るう。


 それを大剣で受けてロザリアが転がる場所まで後退する。


 彼女は未だに風の回復魔法のベールの中で眠り、ヒールウォーターが身体に巡るのに身を任せていた。彼女はいつ死んでもおかしくない程の重症であり、この回復魔法は賭けのようなものだった。


 弱々しく眠る彼女を見て、ケンジは奥歯を鳴らして怒りを募らせる。


「思い出させやがって……二度も繰り返して堪るか!」ケンジは大剣を握り直し、再び突撃する。


 が、ゼオは悠々とその振りを片手で受け止め、あえて引き寄せる。


「そう言えば、お前は20年以上前に眼前でアスカを嬲られたんだったな? どんな気分だった?」


「黙れぇ!!」ケンジは王風に魔力を注いで竜巻を発動させようとするが、その前に更に引っ張られて体勢を崩され、左肘に膝蹴りを受ける。関節は反対側へへし折れ、大剣を取り落してしまう。


「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!」堪らず逃げようともがくが、そのままボディに3発ほど赤々とした拳を喰らい、吐瀉物を撒き散らしながら吹っ飛ぶ。


「怒り任せの戦いなど、所詮こんなモノか……」と、王風をケンジの方へ蹴って寄越す。


「っぐ……」へし折れた腕でなんとか大剣を掴もうとするが、怒りと意地よりも激痛が勝り、手が掴むことを拒む。


「さて、どちらから先に殺すか……正直、お前は邪魔だからな。お前を殺し、この国を潰し、トドメにアスカを殺し、無残に潰した死体を父さんに贈ってやる」と、ゼオはケンジを引き起こし、蒸気の上がる拳をめり込ませる。


 ケンジは殴られるままに殴られ、蹴られ、肋骨や脚の骨も折られて転がされた。


「ぐぁ……っ……ぐ……」アスカの隣で倒れ、息も絶え絶えに血を吐く。


「ただここで愛する女と共に死にに来たか……わからんなぁ」と、トドメを刺す勢いで片足を上げ、ケンジの首目掛けて踵落としを見舞う。



「調子に乗るな……」



 彼の踵は雷光奔る刀で阻まれる。


「何?」彼は忌々しそうに刀を持つ者へ目を向けた。


 ロザリアはすぐさま刀を鞘へ戻し、ケンジをゼオの攻撃範囲外へ転がす。代わりに近くに転がっていた大剣王風を掴み上げ、慣れた様に一振りする。


 すると、彼女の身体に稲妻だけでなく、風のベールも奔り、体中に今までにない程の魔力が漲る。周囲に散らばっていた紅鎧が彼女の魔力に反応して腕から足へと装着され、凹んだはずの胸当て部分が打たれたように直る。


「全快するには早いな……」


「ケンジのお陰だ。今回もまた、な……」と、王風と蒼電を両腕に構え、目を光らせた。


 



 ゼオはニヤリと笑い、身体全身から蒸気を上げる。気合を入れる様に雄叫びを上げ、ロザリアへ間合いを詰める。


 彼女は自信に満ち溢れた様に顔を上げ、迷いなく蒼電でゼオの拳を受ける。


「何?」意外そうにゼオが片眉を上げ、追撃する様に拳を更に突き入れる。が、ロザリアは息を吸って吐くようにそれを全て受け、余裕そうに笑みを覗かせる。


「伊達にお前の攻撃を受けていない。呼吸と癖は見切った! そして!」と、王風を振り下ろし、更に鋭さを増した蒼電を一文字させる。


 その攻撃はゼオの鎖骨を断ち、脇腹を掻っ捌く。


「ぬぐっ!! 何故だ、見切れない!!」


「当たり前だ……今の私は……怒りで煮えたぎっている! お陰でな!!」ロザリアは喉の奥で唸り、両刀を振り回し、さながら嵐を作り出して室内で落雷を撒き散らす。


「くっ! 相乗効果と言う奴か……!!」ゼオはここで初めて参った様な表情を覗かせ、逃げ腰になる。


 彼の言う通り、今のロザリアは風と雷の二つの属性を噛み合わせ、今迄の数倍の実力を発揮していた。それはどの属性の組み合わせででも出来る事ではなく、風と雷と言う大昔まではひとつの属性だったから出来る技であった。これが水と火だったら属性同士が喧嘩し合い、逆に弱体していた。


「どうしたゼオ……自分より強い相手と戦った事がないのか?」と、大剣を頭上で振り回して竜巻で身体を覆う。


「そんな技、コケオドシだろうがぁ!!」怒りと焦りで感情を暴走させたゼオが竜巻に向かって駆け出す。


 竜巻を殴りつけると、そこには既にロザリアがいなかった。


「なに?!」


「ここだ!」ロザリアは竜巻に乗って上空へ駆け上っていた。蒼電を頭上へ掲げ、一気に振り下ろす。その振りはライトニングハンマーのような一撃であった。


「そんなもの!!」ゼオはそれを受けようと両腕で防御態勢を取ったが、その練り上がった金剛の腕を胴体ごと斬り裂く。さらに傷口から電撃が入り込み、体内で跳ね回って彼の身体は膨れ上がり、爆散した。ゼオは丸焦げになり上半身だけを残して転がる。


「やり過ぎたが……いや、こんなものか」と、ロザリアは二刀を軽やかに納刀し、ケンジの元へ駆け寄る。「大丈夫か?」


「……俺の回復魔法じゃ、前回まではキツイな……」ケンジは参った様に擦れた笑いを漏らし、咳をする。


「ケンジの回復魔法のお陰で私は戦えた。ありがとう……」と、ロザリアは彼を抱き起す。


「礼はいらないさ……俺の嫁だろ? って、この状況だと逆みたいだな」照れくさそうに笑い、顔を掻く。



「このまま終わると思うなぁ!!!」



 彼女らの背後からゼオの怒りに満ちた声が轟く。


「……まだ生きていたか」


「俺は元々命のない存在として扱われて来た。やれスペアボディ、やれ失敗作……そして痛みもないと思われて来た……だがな……痛みはあるぞ!!」と、コクピットを起動させて自分の身体を無理やりめり込ませる。すると、彼の身体はコンソールやコード、機械部品と一つに溶け合う。


「なんだと?」ロザリアは片眉を上げる。


「痛みは感じるぞ! だが、これが初めてだ……最高だなぁ、痛みと言うのは!! 貴様は知っているか? この痛みを!!」


「あぁ、知っているよ。勝手に浸っていろ!!」


 すると、彼の周りの機械部品が光り輝き、オロチ全体が揺れ動く。


「順序は違うが、まずはこの国を潰してやる!」




 同じころ、オロチの8本首が再び動き出し、蒼い炎と共に上空へと舞い上がり始める。


 それを飛空艇から見ていた一行は目を見張り、次の策を張り巡らせていた。


「おいベンジャミン、動き出すのは早いんじゃないか? ライトニングハンマーの準備はまだか?」ニックはモニターを睨みながら声を上げ、乗組員に指示を飛ばし、他の武装の準備をさせる。


「なぜ早いんだ? わからない! わからないよぉ!!」ベンジャミンは子供の見た目に似合ったリアクションを見せながら頭を掻き毟り、しゃがみ込む。


「兎に角、あの中にいるロザリアを信じるんだ……」ラスティーは煙草を燻らせながら慌てず騒がず、オロチを睨み続けた。


 オロチを見張っていたアリシアとヴレイズは旋回しながら様子を伺っていた。


「どうするアリシア? 俺たちも中へ突入するか?」と、ヴレイズは両腕に魔力を込めながら口にする。


「いいや……ここはロザリアさんに任せよう!」何かを悟ったのか、彼女は頬を緩めながらも気を張り、オロチを睨み続けた。

如何でしたか?


次回もお楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ