表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴッドレス・ワールズ・ファンタジア  作者: 眞三
第4章 光の討魔団と破壊の巨人
386/616

79.スカーレット大暴れ!

いらっしゃいませ!


では、ごゆっくりどうぞ

 ヨーコはスカーレットの様子を見る為に尋問室へ向かったが、一足先にエンジャが入ろうとしていた。


「ちょっと! あんたどうする気?!」ツカツカと詰め寄り、肩をむんずと掴む。


「ゼオハスキニシロトイッタ。ダカラスキニヤラセテモラウ」グルリと振り向き、虚ろなメットの中で揺らめく炎を覗かせる。


「はぁ? だったら尋問を任された私がやるわ!」


「オマエデハムリ、ナノダロウ? オレノヤリカタナラ……」と、口元から炎を漏らしながら口にすると、ヨーコが軽く水魔法の飛沫をメットに当てる。


「そう言って、また壊す気でしょう? あれは私の獲物よ! お前は手を出すな! このカンカラが!」と、胸を突き飛ばす。


「……フム」エンジャは不機嫌そうな声を漏らし、右腕を掲げて炎を漏らす。すると、ヨーコの喉元を炎が纏う。


「ぐがっ……かっかっ……かっ……っ」彼女の周囲の酸素が一気に燃焼する。顔色を青くさせて蹲り、手をパタパタと振る。


「オマエデハ、オレニハ、カテン。チョウシニノルナ」と、手を払うと、彼女の首元の炎が消える。


「がはっ! かはっ……っ!」涙目で喉を抑えながら、尋問室の扉が閉まるのを感じ取り、床が凹む程に殴りつけた。




 尋問室内でスカーレットは物も言わず、両手足を縛られたままだった。


 そこへエンジャが現れ、全身から淡く炎を揺らめかせる。


「イマカラジンモンヲハジメル。オトナシク、スベテヲハケバ、ヨシ。ハカナケレバ、ヨケイナ、ジゴクヲミルコトニナル」と、手の中で炎を転がす。


「……ふふっ」スカーレットは肩を揺らして笑う。


「ナニガオカシイ?」


「あんたの酷い声が聞き取りにくくてね。なんて言ってるのかサッパリなんだわ」


「ソリャア、ワルカッタナ」



「それともうひとつ……私が大人しくここで縛られているだけだと思っていた?」



 と、顔を上げて目を光らせた瞬間、手足の錠を引き千切り、エンジャの顔面を蹴り抜く。


「ンガッ! ムダナテイコウヲ……」と、メットの奥を怪しく光らせる。


「無駄かどうか試してやる!!」首に付いた封魔の首輪を引き千切り、今まで封じられていた電撃を解放させる。


「ムグッ……カミナリカ……」スカーレットの雷魔法の影響か、鎧を帯電させてよろける。


「うぉっらあぁぁぁぁぁぁ!!!」スカーレットは瞬時にエンジャの顔面を雷速の上段蹴りを喰らわせる。


すると、エンジャのメットがすっ飛び、壁に叩き付けられる。残った身体はグラグラと揺れ動き、首からは炎が漏れていた。


「うわ……ナニコレ! 気持ち悪う!」と、後ろ回し蹴りを放って胴体を蹴り飛ばし、そのまま尋問室の扉を蹴り破る。


 そんな彼女を待ち受けていたのはヨーコであった。


「まさかあの拘束から抜けるなんてね!! 待っていたわ!!」と、彼女の蹴りを迎撃する様に上段回し蹴りを放つ。直撃した瞬間、雷が爆ぜて周囲に爆音が轟く。


「あんたの攻撃は大体覚えた!」スカーレットはヨーコが戦闘態勢に入る前に雷撃の連打を放つ。耐電シールドを展開する前だったため、両手両足が暴れ狂い、そのまま地面に転がる。


「ぐがぁ!! くっそ!! 準備が整う前にコイツ!」


「誰が待つか! 戦いってのは瞬間瞬間なんだよ!」トドメを刺そうと拳を鳴らしたが、周囲から騒ぎを聞き付けた兵士たちが駆けつけているのに気付き、反対方面の廊下を駆け始める。


「っく……待て、こいつぅ……」マヒした身体でもがいて転がるヨーコ。そんな彼女を、首を身体に戻したエンジャが見下ろしていた。


「ユダンシタナ、キサマ」


「お前にだけは言われたくない!!」




 その頃、同建物内の2階医務室にケンジがアスカを連れ込み、ベッドに横たえていた。魔法医に彼女の診断を頼み、生身の方の左手で優しく手を握る。アスカは鎮静魔法でやっと眠りについていたが、悪夢を見ているのか表情は穏やかではなかった。


「どうですか、先生?」


「ふぅむ……戦争に参加した兵士に見られますね。この娘は酷い戦場で悪夢を見たのでしょうか?」


「あぁ……もっと酷いかもな。治療法はあるか?」


「これは魔法医の専門外ですね。貴方が彼女の心の支えになるしか……」


「だが……」


「そうですね。心へのダメージが酷すぎる様子です。一体何があったのですか?」


 ケンジは口を結んで俯き、小さく首を振った。


「……ヒールウォーターで衰弱しつつある肉体は癒せますので……」と、魔法医はアスカの身体を水魔法で包み込み、彼女の萎んだ肉体、乾いた肌に潤いを与える。


「ありがとうございま、ん? 何の騒ぎだ?」と、医務室の外からの雷鳴に驚き、ドアを開ける。


 そこには兵士たちに捕まりながらもズルズルと引き摺り、ひとりひとりの顔面や胸に拳をめり込ませる、鬼の形相をしたスカーレットがいた。拳を振るう度に雷が鳴り響く。


「捕虜に逃げられたのか? エンジャとヨーコは何をしている! ったく!」得物である大剣を忘れた事に気が付き、右腕の義手をガチャガチャと鳴らす。



「ロザリアさんはどこにいる!!」



 目を血走らせたスカーレットは兵隊たちの高速から抜け出し、雷速でケンジの間合いへ入り込み、回し蹴りを放った。


「早いが、俺をそこら辺の連中と一緒にするな」と、彼は彼女の蹴り足を見切り、背負って地面へと叩き付ける。


「ぬぎぃっ!!」スカーレットは瞬時に受け身を取って転がり、彼の間合いから遠ざかって立ち上がって構えた。「やるね! この感じ、ロザリアさんと似ている」


「あ? ロザリア、と?」片眉を上げながら医務室の方へ首を向ける。


「その中かぁ!!」スカーレットは獣の様に駆け、素早くケンジの懐をすり抜けて医務室へ入る。そこで眠っているアスカを無理やり引き起こし、肩を揺らして起こそうとする。



「ロザリアさん!! ほら起きて!! ここから出るぞぉ!!」



 目を開いたアスカは怯えた顔を見せ、逃げる様に後退り、ベッドの片隅で蹲る。


「やめて!! 乱暴しないでぇ!!」


「んぇ? 私だよ私!! スカーレット・ボディヴァ!」


「知らない知らない!! あっちいって!!」


「……? はぁ……?」事態を飲み込めず、首を傾げる。そんな彼女の背中から忍び寄ったケンジが右腕の義手で首を絡め取り、締め上げる。


「アスカを怯えさせるな!!」


「アスカ?! って……ロザリアさんが記憶を失う前の名前……まさか、思い出したの? で、私の事は忘れたの?! 冗談じゃない!!」と、彼女はケンジの義手を両手で掴み、放電する。


 彼の腕は耐電していない為、指や手首があらぬ方向へと曲がり、煙を立てて動かなくなる。


「こいつ、中々できるな!」電流が身体へ奔る前に義手を取り外し、冷や汗を掻くケンジ。


 そんな騒ぎを聞き付け、更に増援が現れ、無数の軍靴を鳴らす。中には軽量化されたパワードスーツを身に纏ったモノまでいた。


「ゴメン、ここはひとりで逃げる……後で必ず迎えに来るから、それまでに私の事を思い出しておいてよ!!」と、スカーレットは納得できないような声で唸りながら医務室を後にし、押し寄せる兵たちをなぎ倒しながら建物の外へと向かった。


 そこへ遅れてエンジャとヨーコが現れる。


「ヤツハ、ムコウカ? コンナニイテ、トメラレントハ、ナサケナイ」


「さっきは油断したけど……今度は逃がさない!」と、2人は前もって戦闘態勢をとって身体全身に魔力を巡らせ、ヨーコに至っては得物であるウォーターロッドを手にしていた。


「……2人とも、任せたぞ。俺は……」と、怯えてベッドの隅でガタガタと震えるアスカの肩を抱いた。

如何でしたか?


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ