SAVE.103C:彼女達のダンス&デート④
――夢みたいだと、浮かれていたんだ。
「ああ、その……待たせてすまない」
エルザに唆された私は、久方ぶりに女の格好をしていた。彼女の選んだドレスに小物、それから幼い私の髪から作ったウィッグ。
「こ、これが一番早く着替えられたんだ!」
私は顔を真っ赤にしながら、子供みたいな嘘をついた。これが一番私に似合うと、エルザに選んでもらったくせに。
「へ、変じゃないよね……周りからも視線を感じるんだけど」
「それは」
周りの目なんてどうでも良かった。ただ彼が恥ずかしそうに私を見てくれるだけで良かった。
「き、綺麗だからだろ……クリスが」
その一言で舞い上がる。自分が世界で一番幸せだと、心の底から叫びたくなる。
「そ、そうか……変じゃないなら、それでいいんだ」
褒めてもらえた、綺麗だって言ってくれた。そのまま私を抱きしめてくれたらなんて、少女みたいな事を願いさえする。
「だから、その、なんだ……行こうかクリス」
「ああ、そうだね……」
――そんな事、ある訳ないのに。
だって私は、彼を。
何度も何度も、あんな目に遭わせたのだから。
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