消えた記憶と愛する人の嘘 43 【訪ねてきた友人、そして“奥さん”と呼ばれたまい】
タクシーの中で景色を眺めていると、突然まいが「あっ、そうだ、忘れてた!」と大きな声を上げた。
「なに?」
「昨日の夜ね、謙の友達が来たよ」
「……俺の友達?」
驚いてまいを見ると、まいはコクンと頷いた。
「そう。昨日、謙が帰ってくるから部屋を掃除しに行ったの。そしたらピンポーンって鳴って、誰かと思ったら謙の友達だったの」
「俺の部屋に? なんで?」
「たまたま謙が事故に遭ったって聞いて、色々話したいこともあったし、久しぶりに顔も見たいなって思って来てくれたみたい」
「……俺、誰か分かるかな」
そう言うと、まいは少し申し訳なさそうな顔をした。
「……ううん、多分今の謙には分からないかもね。だからいちょう名刺を頂いといたよ。そうしたら、その人刑事さんなんだって!
ビックリしたよ、だから
無くさない様に部屋に置いといたよ」
「ありがとう」
そう言ってから、まいはクスクスと笑い出した。
「どうした?」
「いやね、その人が私のこと見て『あいつ、こんな可愛い奥さんいたんだ』って言ったから、思わず笑っちゃったの」
「……まい、お前、訂正しなかったのか?」
「したよ! ちゃんと『まだ結婚してないですよ〜』って言っといた!」
まいは得意げに胸を張る。
「『まだ』ってつけたのかよ」
「ふふっ、なんとなく?」
いたずらっぽく微笑むまいに、俺は少し呆れながらも、自然と口元が緩んだ。
「それで、その友達とは何話したんだ?」
「うーん、最初は謙のこと心配してたよ。でも、今は退院するくらい元気になったって言ったら安心してた。それに、謙の記憶喪失のことも伝えといたら、すっごくビックリしてたよ」
「そりゃそうだろうな……」
「うん。でもね、その人、すごくいい人っぽかったよ。優しいし、話しやすいし。それに、謙のこと本当に心配してるみたいだった」
「そっか……」
まいの言葉を聞きながら、俺は記憶の中を探るように考えてみる。でも、やっぱり誰なのか全然思い出せない。
まいは優しく微笑んだ。
「……ありがとな、まい」
「うん。あ、そうそう。そのお友達、午後には一度帰るって言ってたよ。もし会うなら、連絡してねって言ってた」
「そっか……うん、考えとく」
まいが俺の代わりに友人と話してくれたこと、正直嬉しかった。
皆様、お疲れ様です。
今見てビックリしたのですが!
なぁなぁ!なんと、今月初めて1か月のPVアクセス合計が1000人を超えました!きっと他の先生から見れば、大騒ぎする事では無いのでしょうけど、私としては夢見たいで、ちょっとだけ興奮しています……。
私が思い描いたストーリーに、こんなにも多くの方が触れてくれるとは想像もしていませんでした。本当に感激しています。
ここまで来られたのは、いつも応援してくださる皆様のおかげです。心から感謝しています。
これからも、少しでも心に残る物語を皆様に届けられるよう、精一杯頑張りますので
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
本当にありがとうございます。
茅ヶ崎 渚




