消えた記憶と愛する人の嘘 41 【退院の日、晴れやかな笑顔】
朝からそわそわしていたのは俺だけじゃなかったらしい。
「謙、早く着替えてよ!」
そう言いながら、まいは嬉しそうに俺の荷物を整理しつつ、袋から新品のシャツとジャケットを取り出した。
「ほら、これ! いいでしょ?」
自慢げにシャツを広げ、俺の前に差し出す。見るからにおしゃれで、普段の俺なら選ばなさそうなちょっと若めなデザイン。
「これ着たら、謙めちゃくちゃイケてる感じになると思って即買いしちゃった!」
朝からテンション高めのまいは、大はしゃぎしながらシャツを俺の肩に当てて、「うん、絶対似合う!」と満足そうに頷いた。
「いや、これ……俺、似合うのか?」
「当たり前でしょ! もう、謙は自分のポテンシャルをわかってないんだから!」
俺が苦笑いすると、まいは「大丈夫、私のセンスを信じて!」と得意げに胸を張る。その姿が可愛くて、思わず「はいはい」と軽く肩をすくめた。
そんなやりとりをしていると、病室の扉がノックされ、担当医とナースが入ってきた。
「高木さん、とりあえず退院おめでとうございます」
担当医は淡々とした口調ながらも、どこか安堵したような表情をしていた。
「ありがとうございます」
俺が頭を下げると、医者はカルテを見ながら続ける。
「とはいえ、完治したわけではないので、無理は禁物です。2週間後にまた診察に来てください。焦らず、ゆっくり様子を見ていきましょう」
「わかりました」
まだ完全に元通りになったわけではない。でも、こうして病院を出られるだけでも十分だ。
ナースが俺を見て、優しく微笑んだ。
「高木さん、ここでお仕事してるんですもんね。仕事復帰したら、またすぐ会えちゃうかもしれませんね」
「はは、そうですね」
今はまだ、自分がどんな仕事をしていたのか、はっきりとは思い出せない。でも、この病院が自分の職場だったのなら、きっとまたここに戻ってくることになる。
「その時は、よろしくお願いします」
そう言うと、ナースは「はい、お待ちしてますね」と穏やかに頷いた。
医者とナースが部屋を出ると、まいが「じゃあ、そろそろ行こっか!」と嬉しそうに俺の腕を引く。
「よし、じゃあ行くか」
病院を出るその一歩が、これからの新しい毎日の始まりだと、そう思えた。
早くも私まいが気になり出しました。
もっと皆様が気になる様なまいに磨きをかけていこうと思っていますのでお楽しみに
また、よかったらしばらくの時間お付き合いよろしくお願いいたします。
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