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223 【札幌へ向けて、旅の準備を整える】


部屋に戻ると、次に待っていたのは荷物の整理だった。旅はまだ2日目。函館を離れ、次の目的地・札幌へ向かう。これからの長距離ドライブに備えて、しっかり準備を整えなければならない。


チェックアウトまではまだ時間がある。俺も荷物をまとめようと腰を上げた瞬間——


「謙は座って待ってて!」


まいがピシャリと言い放った。


「え? いや、俺も手伝うよ」


「ダメ! 謙が片付けると、どこに何があるかわからなくなるんだから!」


その言葉に俺は苦笑した。確かに俺が適当に詰め込むと、後から「どこいったっけ?」と探す羽目になることが多い。まいはそういうところ、きっちりしている。


「はいはい、まいさんにお任せします……!」


冗談めかして頭を下げると、まいは満足そうに頷き、さっそく荷物整理に取り掛かった。


俺はその間、スマホで札幌までのルートを確認する。函館から札幌までは、車で約4時間半の道のり。高速を使えばもっと早いが、せっかくの旅だから、少し寄り道しながら向かうのもいい。途中の休憩スポットや景色の良さそうな場所をチェックしつつ、レンタカーの返却時間やガソリンの給油ポイントも確認する。


「ふぅ、よし!」


まいの明るい声が聞こえ、顔を上げると、きれいに整理された荷物がベッドの上に並んでいた。


「準備完了!」


まいは得意げにスーツケースをぽんっと叩く。俺は思わず拍手しながら微笑んだ。


「さすが、手際がいいな」


「えっへん!」


まいは胸を張る。そして俺の目を見て、優しく微笑みながら言った。


「謙、いつでもいいよ」


「じゃあ……そろそろ行くか」


「うん!」


名残惜しさを感じながらも、俺たちは荷物を手に取り、部屋を後にした。


静かだった部屋のドアが閉まる音が、小さく響く。


ここでの時間が楽しかった分、少しだけ寂しい。


でも——


旅はまだ続く。


次の目的地、札幌へ向けて。


俺たちは並んで歩きながら、ホテルのフロントへと向かった。



チェックアウトを済ませ、ホテルのロビーを出ると、外は清々しい朝の空気に包まれていた。荷物を手に、俺たちはそのまま近くのレンタカー会社へと向かう。


予約は事前に済ませていたので、受付はスムーズだった。書類にサインをし、必要事項を確認していくうちに、スタッフが笑顔で車のキーを差し出した。


「今回ご用意したのはこちらの車になります」


案内されたのは、トヨタのヤリス。コンパクトながらも燃費が良く、長距離ドライブにはぴったりのハイブリッド車だ。俺は今回の旅が距離を走ることを考え、燃費のいい車を希望していたので、ちょうどいい選択だった。


「小さくてかわいいね。私、こういう車好きかも」


まいが嬉しそうに車の周りをぐるりと回りながら、興味津々に眺める。


「お、気に入った?」


「うん、運転しやすそう!」


まいが満足げに微笑んだのを見て、俺もひと安心した。旅の相棒となる車は、やっぱり気に入ったもののほうがいい。


店員さんの説明をしっかり聞き、保険やカーナビの使い方、返却場所の確認なども終える。そして、最後に鍵を受け取った。


「では、どうぞ。気をつけて、良い旅を!」


店員さんの笑顔に見送られながら、俺たちは車へと向かう。


「ありがとうございます。行ってきます!」


俺は軽く会釈し、まいと一緒にヤリスのドアを開けた。


エンジンをかければ、静かなモーター音が響く。


さあ、これから札幌までのドライブが始まる。


俺たちの旅は、まず函館空港!





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