消えた記憶と愛する人の嘘 21 【もう一度、ここから】
まいは、俺の手をぎゅっと握り返した。
「謙、わかりきったこと言わないの」
まっすぐ俺を見つめるまいの瞳は、強くて、どこまでも優しかった。
「私はね、謙以外はないから」
迷いのない声だった。
俺が記憶をなくしても、どんなに変わってしまっても——
それでも、まいは俺を選ぶと言ってくれた。
まるで、俺のためなら何も惜しまないと言わんばかりに。
「でもね……」
まいは少し微笑んで、ふわりと俺の手を撫でるように握り直した。
「今の謙の言葉、すごく心に響いちゃったよ」
「まい……」
「だから——絶対、責任とってよね?」
冗談めかした口調なのに、その言葉にはどこか真剣な響きがあった。
俺は、まいの言葉を噛みしめるように受け止める。
そうだ——
もう、迷わない。
俺はここから、もう一度始める。
記憶が戻らなくても、また一つずつ積み重ねればいい。
まいとの思い出を、新しく作っていけばいい。
「……ありがとう、まい」
まいの手をそっと握り直しながら、俺は心の奥で静かに決意した。
もう一度、ここから——
俺たちの物語を始めよう。
早くも私まいが気になり出しました。
また、よかったらしばらくの時間お付き合いよろしくお願いいたします。
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