196 【歴史の息づく場所へ】
「さて、次行こうかぁ?」
八幡坂の美しい景色を堪能した俺たちは、次の目的地へと足を向けた。
「うん、次は旧函館区公会堂だよね?」
「多分すぐそこだと思うから、もう少し頑張るかぁ。」
「うん!早く行こう!」
まいはそう言うと、軽やかに歩き出した。
俺もその後に続き、ゆっくりとした足取りで進む。
ほどなくして、目の前にクラシカルな西洋建築の建物が姿を現した。
「わぁ……!」
まいが感嘆の声を漏らす。
それもそのはず、青と黄色を基調とした木造の建物は、まるで明治時代にタイムスリップしたかのような雰囲気を放っていた。
「これが、旧函館区公会堂……」
俺も改めて見上げる。
二階には優雅なバルコニーがあり、シンメトリーなデザインが美しい。
かつてここでは、皇族や貴賓が迎えられたと聞いたことがある。
「ねぇ、スタンプもらうには、入場しないとダメなんだって。」
まいがパンフレットを見ながら言う。
「まい、どうする?」
「ん〜……どうしようかなぁ……」
少し考え込んだ後、まいはパッと顔を上げた。
「せっかくだし、入ってみようよ!」
「おぉ、いいね!」
受付で入場料を払い、中へと足を踏み入れる。
館内は、歴史の重みを感じさせる豪華な造りだった。
正面には赤いじゅうたんが敷かれた階段があり、両脇にはアンティーク調のシャンデリアが優しく光を灯している。
「すごい……映画の中にいるみたい。」
まいが目を輝かせながら、ゆっくりと歩いていく。
壁には、当時の函館の様子を写した古い写真が並び、時代の移り変わりを感じさせる。
二階に上がると、開放感のある大広間が広がっていた。
高い天井、華やかな装飾、そして大きなシャンデリア——
「ここで舞踏会とか開かれてたんだよね?」
まいがパンフレットをめくりながら言う。
「らしいな。貴族みたいな人たちが、華やかなドレスを着て踊ってたんだろうな。」
「私もドレス着て、ここで踊ってみたかったなぁ!」
まいはくるりと回って、スカートの裾をふわりと揺らす。
その姿があまりにも楽しそうで、俺は思わず笑ってしまった。
スタンプは、受付のすぐ横に設置されていた。
「さぁ、4つ目のスタンプゲット!」
まいが嬉しそうにスタンプを押し、俺も続く。
「よし、順調に集まってきたな!」
「うん!あといくつ?」
「今日の予定はあと2つだな……。さて、次は五稜郭と、五稜郭タワーどっちかだな」
「ふふっ、楽しみ!」
まいはスタンプの台紙を大事そうに抱えながら、次の目的地へと期待を膨らませていた。




