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190 「加害者と被害者のリスト」


「橘さん、どうしたんですか?」


篤志が不思議そうに橘の顔を覗き込んだ。


「……いや、知り合いからの連絡だ。」


スマホをポケットに戻し、橘は気を取り直して手元の資料に目を落とした。


「さて、これが現時点でわかっている加害者の情報だ。」


そう言いながら、橘は篤志に資料を渡した。




➖➖ 加害者 ➖➖


加害者: 井上 ひさし(43歳)

被害者: 朝比奈 麗子(死亡)

事故発生: 23年3月 豊島総合病院に搬送

加害者のその後: 24年4月7日、荒川河川敷で死亡


加害者: 丸山まるやま 妙子たえこ

被害者: 桜井 かおる(死亡)

事故発生: 23年6月 高島総合病院に搬送

加害者のその後


加害者: 湯川ゆかわ 忠直ただなお

被害者: 田中 隆信(死亡)

事故発生: 23年9月 板橋総合病院に搬送

加害者のその後:


加害者: 藤村 さくら(ふじむら さくら)

被害者: 高木 謙太郎(記憶喪失)

事故発生: 24年2月 豊島総合病院に搬送



篤志は資料に目を通しながら、眉をひそめた。


「……なるほど。こうしてリストにすると、改めて妙ですね。」


篤志は続けて思ったことを言ってみた


「搬送された病院は全部自分が勤めている所だったんですねぇ」


「そうだな。不自然だよなぁ」橘は腕を組みながら言った。


「この辺もなぜその病院に搬送されたかも調べた方がいいな…」


「藤村さくらはつい最近、刑が確定したばかりだ。しばらくは目立った動きはしないだろう。ただ、他の二人――丸山と湯川、この二人については徹底的に洗い出す必要がある。」


篤志は深く頷いた。


「了解です。まずはなぜそこに搬送されたか…あと、この二人の背景を掘り下げて、誰と繋がっていたのかを追ってみます。」


橘も資料を見つめながら、ふと考え込んだ。


(……謙たちは大丈夫か?)


まいちゃんの話だと最近、未遂事故があったばかりだもんなぁ…


普段は軽い調子のあいつだが、今は北海道旅行中。

もし、この事件に何らかの形でまた、巻き込まれたら――。

何かもし、おきたら……


改めて、加害者と被害者の名前が並ぶリストを眺めると、胸の奥に不穏なものが広がっていくのを感じた。



篤志とのミーティングを終え、橘は自分ののデスクの中のある物を探していた。


「橘さん、そろそろ行きますか?」


篤志が立ち上がりながら声をかける。


「……ちょっと待ってくれ。」


橘はそう答えると、デスクの引き出しを開けて何かを探している


篤志はしばらく待っていたが、橘がまだ何かを探しているのを見て


「じゃあ、俺は先に車にいますね。」


「わかった。すぐ行くから、車で待っててくれ。」


橘が顔を上げずにそう返すと、篤志は部屋を出て行った。

静かになった室内に、引き出しを開け閉めする音だけが響いていた。


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