184 「北海道旅行、計画中!」
「さて、本題だよ。」
鍋をつつきながら、俺は改めて切り出した。
「北海道に行ったら、まずはドライブは確定だな。あとは、まいは何がしたい?」
まいは少し考えたあと、嬉しそうに箸を持ったまま答えた。
「うーん……まず、お寿司食べたい!」
「やっぱりな。まい、本当にお寿司好きだよなぁ。」
「だって北海道のお寿司は、こっちのと全然違うもん!新鮮で、ネタが大きくて、口の中でとろけるの!」
まいは目を輝かせながら、想像するだけで幸せそうな顔をしている。
「了解。じゃあ、お寿司は確定っと。他には?」
「ラーメン!やっぱりこれは食べておかないとね。これ、すごく重要!」
「まい……結局、食べるのがメインになってる気がするんだけど?」
「それもある!」
まいはあっさり認めて、笑いながら続ける。
「でも、一番はやっぱりドライブかなぁ。2人っきりで、まっすぐな道を走りたい。自然の中を、何も考えないで、ただ謙とたわいもない話をしながらドライブできたら、それだけで楽しいと思う。」
そう言ったまいの表情は、どこか素直で、まるで子どものように純粋だった。
俺はそんなまいの願いを、全部叶えたいと強く思った。
「よっしゃ!今回はドライブメインで、泊まるところは函館からスタートして、札幌、富良野ってコースで行こうか。」
「うん、そこは謙に任せるよ!」
「じゃあ、宿の手配はまいにお願いな。」
「了解!函館にね、すごく評判の良いホテルがネットに出てたの。そこにしよう!」
「へぇ、どんな評判なんだ?」
「海鮮が食べ放題なんだって!しかも、いくら、ホタテも食べ放題!夢みたいでしょ!」
まいは目を輝かせながら、まるで宝物の話をするみたいに楽しそうに語る。
その無邪気な姿があまりにも可愛くて、つい俺は微笑んでしまった。
すると、まいが急に俺をじっと見て——
「謙、もしかして笑ってる?乙女心、わかってないでしょ?」
鋭い指摘に、俺はちょっと焦りながらも慌てず答える。
「わかってます。海鮮をたくさん食べたいんだよな?」
「違うの!」
まいは少しムッとした顔で腕を組むと、考え込むような仕草をしてから、俺の目をしっかり見て言った。
「謙、はっきり言うけどね!」
「……やばい、なんか怒ってる?」
俺が内心焦っていると、まいは真剣な表情のまま続けた。
「私はね、謙と2人だけで楽しくいたいだけなの!食べるだけじゃなくて、一緒にいる時間が大事なんだからね!わかった?」
想定外の答えに、思わず吹き出しそうになったが、必死にこらえた。
「はい、わかりました。いつでも一緒にいさせてくださいませ。」
俺がちょっとおどけて言うと、まいは呆れたようにため息をつきながらも——
「もう、謙はいつもそうやって誤魔化すんだからぁ……」
そう言いつつ、口元はちゃんと微笑んでいた。
「まい、楽しい旅行にしような。」
「うん!」
まいの返事は、驚くほどしおらしくて、その一言に込められた期待と喜びが伝わってきた。
北海道旅行、きっと最高の思い出になる。




