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第八十九話「フルメタル……?」

後半不適切な発言が乱発なので伏字を使用しています。


「あ、あの。何が書かれているのでしょう?」


硬直したミーシャを見て、心配そうに問いかけてくるナターシャ。

ミーシャは慌てて平静を装って返事をする。


「はっ!? あ、いや、大丈夫!」


口では言っているが、内心気が気ではない。

大陸を吹き飛ばすような兵器が何処かにあるのだ。

反乱軍だのガゼル帝国軍だの言っている場合ではない。


「……ナターシャ王女。俺、いや、私は一国の元首として、貴女にこの書の内容を嘘偽り無く伝えます。この事は他言無用でお願いしたい、我々も国家最重要機密に指定する」

「わ、わかりました。ジャンヌ、席を外して」

「お姉様!?」

「……お願い」


ナターシャの言葉に不服そうなジャンヌだったが数秒の沈黙の後、部屋を出て行った。


「……では。まずこの本は……」


ミーシャが一つずつ掻い摘んで説明をした。

ナターシャは解読された事への喜びを浮かべた顔を、やがて驚愕へ、そして絶望へと変化させていった。


「……実は、我が国にも古代語が読めるものが居るのです。しかし、文字は読めるのに単語の意味が分からないと言っていました。まさか、そんな内容が……」

「……しかし、大陸を滅ぼす秘密兵器か……気が気ではないのぉ?」

「なんと恐ろしい……」

「戦争なんてしている場合では無いぞ?」


「その通りだ、さっさと反乱軍の制圧を終わらせる様に指示を…………へ?」


ミーシャはそこで硬直する。

俺は今、誰と話していた?


「しかし、『核爆弾』か、聞けば聞くほど馬鹿げた威力であるな」

「その物体何処かで……」

「騎士団を総動員して探し出す必要があるか」


「何してんの? お前ら」


ミーシャは目の前に居て、あたかも『当然』と言いたそうに聞いていた、マシリー、バートン、そして退室したはずのジャンヌの三人を眺めた。


「いや、我は、こやつの処罰はどうなるのか気になってな?」


言ってバートンを叩くマシリー。


「おっと! ゴホン! まぁ、私は部下の事があるのでな、着いて来いと言われたので着いてきた」


マシリーに叩かれよろけるバートン。


「私はこんな所にお姉様を一人にしたくなかっただけだ!」


ふざけた事を聴くなとばかりに見下してくるジャンヌ。


「……そういやコイツ(マシリー)艦内顔パスだった……」


ミーシャの自室ですら余裕で侵入するマシリーである、捕虜と少女を連れていても歩哨相手でも顔パスだった。


「……絶対に国家機密保護法案作ってやるからな!!」


ミーシャは目の前の三人を怒鳴り付けていた。

しかし、意識に引っかかる言葉が一つ。


「……おっちゃん、さっき、なんて言った?」

「着いて来いと言われたので着いて来た?」

「違う! その前だ!」

「……あぁ、確か、『その物体何処かで』と言ったな」

「それだ! 何処で見たんだ!?」


ミーシャは降って湧いた情報に、バートンに詰め寄った。


「……えぇっと、確か、ガダーナ教総本山である、エノラゲイン大聖堂だ」

「残念、大陸の運命は終わってしまった」

「ま、待て! 彼らはあれが何かを知らない! 御神体か何かと思っているから大丈夫だ!」


「分かった、とりあえず今は反乱軍をどうにかしよう。ひと段落したら北の大地を目指す、ガダーナ教総本山を攻める準備もだ! ナターシャ、ジャンヌと一緒に城に戻って欲しい、陸軍が向かってるが、ジャンヌが居るなら貴女が行った方が早い」

「では、マジックソプターで城に向かいます。防衛艦隊には港に停泊するように指示を出していますから、大丈夫でしょう」

「了解した。バートンのおっちゃんだが、故郷に帰す訳には行かなくなった、部下たちと共に生活は保証しよう」

「ありがたい、部下たちには私から当たり障りなく伝えておこう」


ナターシャ、ジャンヌ、バートンの三人は部屋を出て行った。

部屋に居るのはミーシャとマシリーの二人だけである。


「…….はぁ……とんでもないことになった」

「確かに核爆弾とはふざけた兵器よの」

「それだよ、それ。何が『剣と魔法のファンタジー』だ。そのうち火星人がトライポッドで攻めて来たりするぞ? きっと」

「考え過ぎじゃ。ミーシャ、お主疲れておるのじゃろう」

「……だと良いがな……」


ミーシャはなんとも言えない表情で返事をするのだった。




******




城に向かってゆっくりと行軍する一団。


「中尉、ご苦労!」

「大隊長殿、任務ですので。先ほど襲撃を受けましたが鎮圧しました、味方に損害はありません」

「流石は中尉だな。中尉、特別任務だ、隊員を集めたまえ、指示は第二中隊の中隊長からある」

「了解しました!」


サニーは戦車から降りると隊員を集めた。

小隊の隊員と中隊長の元に向かう。

中隊長が居るのは後方の装甲車だ。

そこには先ほどまで道案内をしていた冒険者達の姿があった。


「よし、全員揃ったな!? 移動しながらだが、良く聞け! 我々が居るエリアから北に5ブロック、西に2ブロックの位置に防衛部隊と冒険者が籠城している建物があるそうだ! 中には民間人も居る! 上空からの情報では、広場の爆発で混乱した敵兵がそちらに流れている! 君たちは新たに小隊を編成して救出に迎え! バードマン軍曹を第七小隊のサニー中尉の指揮下に入れる、協力者として冒険者の六人が同行する!」


中隊長の説明と共に軍服を着た、キジ頭の男が前に出る、鳥人系の魔人族だった。

冒険者六人のリーダー、ドイチェも前に出る。


「バードマンです、小隊長殿」

「よろしく頼む、軍曹」

「ドイチェだ」


三人は簡単に挨拶を交わした。


「……おいおい、『死神サニー』の次は『気狂いバード』かよ……」

「バカ、聞こえるぞ!」

「誰だ!」


小隊員からこぼれた呟きにバードマンが反応した。

隊員達は思わず立ち止まる。

彼は小隊員達の前に詰め寄る。


「どのクソだ! クソの手先のお腐れ豚め! ぶっ殺されたいか!?」


「……」


「答え無し? 魔法使いのババアか! 上出来だ、頭が死ぬほど○○○○するまで○○してやる! 下の穴でミルク飲むようになるまで○○し倒す!!」


バードマンは一人の隊員に歩み寄るとその胸倉を掴み上げた。


「貴様か!? 腐れ豚は!」

「Sir,no,sir!」

「クソガキが! 貴様だろ、腐れ豚は!」

「Sir,no,sir!」

「ふざけるな! 声出せ! タマ落としたか!」

「Sir,no,sir!!!」


「Sir,自分であります,sir!」


隊員の中から一人、一歩前に出る。

胸元のドッグタグには『ジョン・ペシ』と書かれていた。


「そっちのクソか……。勇気あるファ○キン・コメディアン上等兵。正直なのは感心だ。気に入った、家に帰って○○してていいぞ?」


バードマンは言うやいなや、前に出たジョンに渾身の裏拳を叩き込んだ、彼は空中をきりもみしながら吹き飛び、地面に叩き付けられる。


「鼻垂れのしょんべん小僧が! じっくり可愛がってやる! 泣いたり笑ったり出来なくしてやる! さっさと立て! 隠れ○○かいてみろ! 首斬り落としてクソ流し込んでやる!」


見かねたサニーはゆっくりと近づきバードマンに声を掛けた。


「バードマン軍曹、ここは訓練場ではない。そのくらいにしておけ」

「失礼いたしました、中尉!」


このサニーの行動でひとまずは落ち着いた場だったが。


(((こ、怖えぇぇぇ!!)))


冒険者六人に恐怖を刻み込むには十分だった。




******




その頃、上空。


「ジャンヌ! ちゃんと城に行けるの!?」


マジックソプターにしがみ付いたナターシャが操縦者であるジャンヌに声を掛けた。


「大丈夫ですよお姉様!」


ジャンヌがそう叫び返したとき。


ぷすん!


「……あっ」

「え? なに?」


間の抜けた音と共に徐々に羽の動きが緩やかになる。

やがて羽は完全に動きを停止した。


「ま、魔力切れですぅ〜〜!!」

「きゃああああぁぁぁぁぁ!!!」


二人の乗ったマジックソプターは王都市街地に落ちていった。

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