第二十一話「ちょっとギルド登録忘れてるよ!」
俺はクレイジードラゴンを倒す為に行動を開始するのだった。
・・・じゃなくて完全にギルド登録忘れる所だったよ!!
すいません、途中から忘れてました。
という訳で登録中である。
「じゃあここに記入お願いしますね。代筆は必要ですか?」
受付嬢が聞いてくるが・・・。
「あー、必要ない」
ちなみにゴットンは代筆は必要ないし、奴隷であるニャルはギルド登録できない。
「ではギルドの説明を始めますね。
まず、依頼についてですが、依頼にはF〜Sのランクがあります。
ランクはその依頼の難易度を示すものです、登録したばかりの貴方がたはFランクからのスタートになります。
ランクの昇格については依頼達成時に『達成時間』『依頼中にハントしたモンスターのレベル』『達成内容の達成率』等の審査をして得点を出します。
一定量の得点を獲得されると得点に応じてランクが昇格されます。
また、依頼は自分のランクの一つ上のランク以上の依頼は原則として受けられませんが、『緊急クエスト』はどのランクからでも受けていただけます。
依頼難易度については適応ランクとその難易度に応じて-または+の補正が掛かりますが単純に難易度を示したものですので対応したランクであれば問題なく受注していただけます。
では一度依頼票を見ていただきましょう」
そう言って受付嬢は一枚の羊皮紙を出した。
「コレは既に達成済みの依頼表ですが」
―――――ラット駆除―――――
依頼人:村はずれの農民
クエスト難易度:E-
依頼内容:ラット10匹以上の討伐
依頼主より:ラットが作物を食い荒らして困ってるんだ!
どうやら近くの森に沸いてるらしい、駆除を頼む!
成功報酬:ラット1匹につき銅貨20枚
達成期限:1週間以内
「これが依頼票になります。
依頼人のコメントには重要な情報が書かれている場合があります。
また、期限が過ぎますと自動的に失敗となり各ランクで決められた金額を払わなければなりませんのでご注意ください。
なお、ギルド登録したとしても必ず依頼を受ける必要はありません。
降格につきましては3回連続での依頼失敗で1ランクの降格になります。
もし犯罪を犯されたり、ギルドにとって不利益な行動を起こされた場合も降格、最悪の場合は登録抹消となります」
要するにマナーとルールを守れって事ね。
ちなみにこの世界の通貨は銅貨=100で以下の様になる。
銅貨=100円
銅貨×100枚=銀貨=1万円
銀貨×100枚=金貨=100万円
金貨×10枚=大金貨=1000万円
大金貨×10枚=水晶硬貨=1億円
となる。
「ちなみに今回の緊急クエストの内容ってどんなんだ?」
「ああ、クレイジードラゴンですね。こちらです」
―――――【緊急クエスト】狂竜現る!!―――――
依頼人:アドバーグ
クエスト難易度:Free(A++)
依頼内容:クレイジードラゴン2頭の討伐もしくは追い払う事
依頼主より:最近この街の付近にクレイジードラゴンが住み着いた様だ。
奴らの数は2頭お互いが縄張りをかけて牽制し合っている様だ。
このままでは町が危ない! 冒険者諸君の健闘を祈る!!
成功報酬:クレイジードラゴンの討伐1頭につき大金貨5枚
追い払った場合は1頭につき大金貨1枚
達成期限:【緊急依頼付き】
備考:ペナルティ無し
「これが今回の緊急クエストになります。
クエスト難易度がFreeなのは緊急クエストだからです、その横のクラスが本来の適正クラスになります。
今回は緊急クエストですから失敗のペナルティも達成期限もありません。
しかし、中級とは言えドラゴン、それも2頭相手ですから難易度が跳ね上がっています。通常クレイジードラゴン1頭の難易度はB+程度といったところでしょう」
そんな受付嬢の話を聞きつつ俺は報酬に釘付けになる。
「大金貨5枚!? 2頭倒せば1億円!?」
「円?」
ゴットンが不思議そうにこちらを見てくる。
「ああ、いや、なんでもない」
「しかしFランクの方がこれを受けられるのは・・・・・・」
受付嬢は心配そうにこちらを見てくるが。
「いや、受けるよ。それに失敗ペナルティは無いんだ、受けといて損するわけでもないし」
しかもこの金額である。
もちろんガッツリ討伐するつもりですよ!
「近くにSランクの方でも居られれば良かったんですが・・・・・・」
「Sランクの冒険者って少ないのか?」
「そうですねぇ、Sランクは7名だけですね。
『飛行男』:モンテ・パインソン
『赤の将軍』:コミー・プロパンガンダ
『地獄の老婆』:ヘルズ・グランマース
『首狩り』:スーニー・トッド
『辛辣』:アブローブ・ビアヌス
『星の王子様』:アントワール・サンテグジュベリ
『陸戦王』:ルードルフ・ディゼール
この方々が今のSランクになりますね」
ふむ、機会があればどこかで会うこともあるかもしれないな。
だが今は目の前の報酬だ。
「まぁ、いいか」
そうして俺たちはギルドをあとにした。
うっかり登録せずにギルドをあとにする所でした。




