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クリスタルビジューネイル

 そびえる白壁は陽の光できらきらと輝いている。

 エリアナ・スピークスはそれを横目にごくりと息を飲み込んで、恐る恐る石段に一歩踏み出した。

 扉の前に立つと一人でに扉が開き、銀髪の執事服の青年が端正な顔を覗かせる。

「すみません、予約をしていました……」

「エリアナ・スピークス様ですね、お待ちしておりました。どうぞ」

 大きく扉が開かれ、エントランスの内部があらわになると、思わず感嘆の息が漏れる。

 素敵な調度品と植物で飾られたエントランスを、さらに「ふぁっ」と変な声が漏れたが、小さな声だったので気付いていないだろうと何食わぬ顔で中に足を踏み入れた。

「お手回りの品で、なにかお預かりするもはございますか?」

 手荷物と言っても、貴重品を入れたクラッチバックと、軽く羽織った薄手のケープだけ。ふるふると首を横に振った。

「では、こちらへ」

 入って左手の廊下を進み、突き当りの部屋の扉を軽くノックして開く。

 サロンの中はエントランスとはまた少し違った趣ではあるが、お洒落でモダンなインテリアとなっており、またきょろきょろと見回してしまう。

 部屋の真ん中よりちょっと向こう側に大きな机があり、その机の向こう側に女性が座っていた。扉が開いた音に立ち上がるとエリアナをみて微笑んでお辞儀をした。

「はじめまして。リリー・アスセーナスと申します」

「こちらこそ」

 エリアナはよそ行きの声で答え、促されるままに机の前に設置されたふんわりとしたソファーに座る。

「こんな大変な時に来ていただき、ありがとうございます」

「いえ、そんな」

 エリアナはそう答えたが、アンバー王国全体が不穏な空気に包まれているのは間違いない。

 最近、フォックス家でお家騒動があり表立って何があったかとは、公表されていないが、公爵家としての権威がめっきり落ちたのは事実である。

 そしてこの勝機を、小競り合いを起こしてたモーゼル国が見逃がすはずはないと言うのが、王国全体ににわかに沸き立つ噂。

 緘口令や情報統制がなされているため、王都から離れた地域で実際に何が起こっているかを知る術もなく、もちろん公式の発表もなにもない。

 ただ、失踪していた第二騎士団は無事に王都に生還したと言う話題は王都全体に喜びを連れて来た。

 そもそも失踪していたことすら庶民のエリアナたちは知らなかったのだが、そうらしい。一部では作戦の一環だったのではと言う声もあるようだが、真実はわからない。何はともあれよかったと思う。生還したのは、現代の剣聖と名高いクレイグ伯爵も含まれていたので、アンバー王国としてなんとか持ちこたえてほしいものだと思う。

「なにがある訳ではないのですが、なんとなく王都全体に漂う空気感がぴりぴりとしている様に感じます」

 リリーの言葉にエリアナは同意し頷いた。

「私の夫が、不動産業を営んでいるのですけれど、……あまり大きな声では言えませんが、地方から王都へ流入してくる方がにわかに多くなっている様です。今この時期にどうして王都に入って来るのか、その理由については皆さん多くを語りませんので、わかりませんけれど……」

 エリアナには実は前世のキオクがある。

 前世と言っても事細かに思い出せる訳ではなく、うっすらとTOKYOと言う町に住んでいたことを覚えているぐらいで、前世のエリアナがどんな人生を送っていたのかまでは思い出せない。

 ただ、エリアナが今生きているこの世界が、前世で好んで読んでいたファンタジー小説の世界であると言うことはわかった。それだけは、なぜか鮮明に記憶が思い出せるのである。

 その小説のストーリー通りに進んで行けば、アンバー王国は間もなく、モーゼル国の侵攻によって無血開城をせまられ、モーゼル国の属国となる運命だ。

 実はそのファンタジー小説のメイン舞台はモーゼル国で、小説内ではアンバー王国は悪意のある敵国として描かれる。召喚された勇者と、モーゼル国の聖女の手によってアンバー王国の脅威に立ち向かっていくと言う、割とハートフルな物語だった。

 エリアナがそれに気が付いたのは、割と最近のことだった。そう言えば何となく聞いたことがあるな――と、感じることは以前から幾度となくあったけれど、それが確信に至ったのは、剣聖が結婚した時だ。彼の名前であるラルフ・クレイグ伯爵の名前が大きく新聞の号外に出てはっとした。クレイグ伯爵は主人公の良き宿敵のなるのだ。クレイグ伯爵は黒髪の美丈夫であるが、悪妻にさいなまれた不遇の騎士だと設定があったのだが、実際の所、貴族の噂で彼の奥方が悪妻であるなんて話は全く聞かない。

 どうもこの世界はエリアナが知っているようで、ちょっと違うようだった。

 だから、この世界の中に存在する、エリアナ・スピークスとして、思い出してしまったこの前世のキオクによる知識をどうしたらいいのか持て余している。

 誰かに言ってしまってもいいものだろうかと。でも、言ってしまって、もしこの世界の理が大きく変わってしまうのはよくないのではと思ったし、怖かった。

 もちろん転生したのだと知ってから、エリアナの立ち位置がただの脇役であることも十分わかっている。でも夫であるアシュトン・スピークスのことは大切に思っていて、できればこの知識を生かして夫と夫とのささやかな生活を守りたいと思っている。だから、エリアナが思っているこの憂いを誰かと共有して、これからどう過ごしたらいいのか話してみたいのけど。

「エリアナ様?」

 リリーに呼びかけられ、「ふぇ」と、驚きのあまり変な声が出てしまった。

「ごめんなさい。お部屋のインテリアに見とれてしまって」

 変な人だと思われない様にごまかして、苦笑いを浮かべる。

「ありがとうございます。サマンサ商会でお願いしているのです。ですから、私と言うよりも、担当してくださっている方のセンスがとてもいいのだと思います」

「いえ、別にそんなつもりで言った訳では」

 まさか、貴族令嬢である方がそんな謙遜した態度を取ると思ってなかったので、逆にエリアナの方が恐縮してしまう。

「では、はじめさせていただきたいと思うのですが、ジェルネイルは初めてで、いらっしゃいますか?」

「ええ……」

(この世界では)

 そう言いかけそうになって口を閉じる。


 ”ジェルネイル”

 それが自身の爪にどうやってほどこされるか、説明されなくとも、記憶の映像でその場面が思い起こされた。だから多分、前世のエリアナが経験したことがあったのだと瞬時にそう理解した。

 そして、何よりも不思議に思っていることは、前世で知った物語の中では、”ジェルネイル”なんて出てこなかったと言うこと。

 だから本来はこの世界にはないものだろうとそう思った。それから、王都で流行っているジェルネイルは前世で視たあの映像のものとは全く概念の違うものだろうと考えていた。しかし、貴族や一部の庶民の間でジェルネイルをやっている人の爪をちらりと見たが、前世で視たジェルネイルと全く同じなので驚いた。その時に感じた奇妙な感覚は忘れることができないくらいに。

 聞けばジェルネイルはアンバー王国で数年前から流行し、その草分け的な存在がこのリリーネイルだと言う。

 だからもしかして、リリーネイルの店主はエリアナと一緒で”前世のキオク”を持って言るのではないだろうかと、そんな仮設を立てて、今日ここに来た。

 それからもう一つ。リリーネイルに行けば、今感じているもう一つのもやもやが解消できるのでは、と。実はリリーネイルの噂には彼女に相談すれば、物事はすべて解決するというなんとも摩訶不思議な話もあって……

「まずは爪の形を整えて、手入れしますので」

 リリーは爪やすりを持って形を整える。かなり手際がいい。

「ジェルネイル、と言うのはリリーさんが考案されたのですか?」

「結果的にはそうなのかもしれません。ただ、私一人と言うよりは、色々な人の意見を聞きながらと言うのもありますね。そもそもそ、この国には以前、爪に色を纏うという概念なかったので、こう言った事業を始めるのはなかなか大変な部分もありましたけど。――今日は、どんなお色がいいとか、ご希望はありますか?」

「色はお任せします。デザインはビジューがついた感じのがいいなと」

「ビジューですか?」

 リリーは驚いた声で顔を上げる。

「ええ。今度、夫と結婚記念のささやかですがお祝いをしたいと思っていまして、キラキラしたネイルにしたいと」

 エリアナは何か不味いことを言ってしまっただろうかと恐る恐るそう答える。

「あっ……いえ、そうだったんですね。かしこまりました。ランバスなどを使ってきらきらに仕上げますか?」

 ランバスと言うのはひし形のビジューのことである。それを一つだけでも爪に乗せると存在感があり、とても印象的なデザインになる。もちろんこれも前世の知識からであるが。

「ええ、お願いします」

 リリーは非常に慣れた手つきで、テキパキと爪の手入れをすませると、後ろの棚からジェルのコンテナを用意していく。

 本当に前世のキオクの通りのネイルサロンを今生きている世界で見ている。そんな気持ちにさせられた。

「あの、もし差支えなければ、少しだけご相談させていただいても宜しいでしょうか?」

 エリアナはそう話を切り出す。リリーネイルはネイルの評判とともに、まことしやかではあるが、お客さんの人には言えない悩みを解決する場所としても有名だった。

 リリーは少し不思議そうな表情を見せたものの、

「私でよければ」

 朗らかな声で応対しながら、自らも作業を進めるべく、ベースジェルのコンテナの蓋をあけた。

「先ほどもちらりとお話しましたが、私の夫は不動産業を営んでおりまして。私もそのお手伝いを――と言っても、そんな大きな規模の店でありません。ちょっとしたお部屋貸しをしている。その程度のものなのです」

「それで、先ほど、地方から王都に入って来る人がわりといらっしゃるのをご存知だったのですね」

「ええ。それで最近。ちょっと困ったことが起きたのです」

 もったいぶった言い方をしながら、相槌を打つリリーの様子を伺う。彼女は集中してベースジェルの塗布作業をしている。エリアナはリリーの指示に従って、ネイルライトに手を入れる。

「私共の営むささやかな不動産のお店は私の夫と、夫の秘書とも呼べる、ルディ・ウォーリーの二人で運営しています。ただ、二人とも内覧などで出払っている時などは私も対応することがあります。それで、事が起こったのは先週の木曜日でした。お店の方に家を借りたいと言って来た人がありまして、ちょうどその時は夫のアシュトンが出ていたので、ウォーリーが対応しておりました」

「部屋ではなく家を借りたいと言って来たのですか?」

「ええ。なんでも近日中にまとまったお金が入る予定だからと言って。このご時世なので部屋を借りたいという人はあるけれど、家を一棟借りたいと言うひとは珍しいなと私も思っておりました。ただ、絶対ないという訳でもありませんで」

「そうでしょうね。その方は一体どんな感じの方なのです?」

「非常に物件に対しての注文が事細かい方だなと思いました。私は応対していないので、あまりちゃんと聞いていなかったのですが、どんなお客様に対しても冷静で動じることなく対応しているウォーリーが珍しく、やりこめられて、たじたじになっているのを見ましたので」

 エリアナはその時のことを思い出して苦い表情を浮かべる。

「なるほど。割とお金持っている方だったのでしょうかね」

「それがよくわからないのです。その方のお名前はデニス・ゲッターと言う男性で、赤ら顔で小太りの、外国人でした。先ほども言った様に、ウォーリーの対応では手にあまる様なだったので、私も少し対応を手伝ったのですが、私に対しては気のいい人に見えました。どうもゲッター氏はウォーリーの対応が気に入らなかったのかなと。多少の事情を伺うと、他国から出稼ぎに来たという事だったので、やはり文化が違いますから、何かと細かいことに、いらいらとしやすい人だったのかもしれません」

「この時期に出稼ぎに他国からですか……でもそれならなおさら、家を貸して欲しいというのはどうなんでしょう?」

「そうなんです。そのあたりは私も色々と思うことはあったのですが、あまりにも熱心に探していらっしゃるのと、まだご相談にいらした段階だったので、根掘り葉掘り聞くのもちょっと憚られまして」

「まあ、確かにそうですね。ですが、その方と一体なにが?」

「亡くなったのです。正確に言うと殺害されたといいますか」

「え?」

 まさかは話がそんな展開になるとは予想していなかったのだろう。リリーは思わず手をとめ、エリアナを見た。

「それで――困っているのはデニス・ゲッターと言う男の素性が全くわからないことなのです。アンバー王国で接触があるのがうちの不動産屋だけなので、なにかトラブルがあって殺害したのではないかですとか、騎士団の方々から色々と詰め寄られる始末で。ですが、私どもはゲッターさんが家の相談にこられた、その日しか会っておりませんので、全くなにがなにやら」

「ご主人についてもその方はご存知ないと?」

 エリアナはこくりと頷く。

「ええ。見たことも名前も聞いたこともないと言っております。それに、ゲッターさんが来られた時、主人は他のお客様の対応をしておりましたので、ゲッターさんと直接やりとりはしてないのです。私も主人もアンバー王国から出たことはありませんし」

 リリーはベースジェルの塗布を終え、カラージェルのコンテナのふたをあける。

 クリアベースに細かいラメやホロがきらきらとしたジェルを筆に取る。

「そのゲッター氏の対応をしていた、ウォーリーさんもご存知ない様子ですか?」

「知らないようです」

 リリーは唸り声をあげる。

「何よりも困っておりますのは、その男性の名前がデニス・ゲッターと言う名前以外のことがわからないのです。騎士団も方々もそこに置いて大変行き詰っている様です。私どもとしましても、経営している不動産屋に関連して亡くなった方がある――殺人事件が起きた。あの不動産屋の物件にはないかがあるんだなどと、変な噂がたっては非常に困りますので」

 リリーが塗布したそのジェルはぎらぎらはせず光があたると、きらきらと光る程の恐らくラメの粒子が非常に細かいものだった。こんなラメもあるのだとエリアナが思っていると、

「パールジェルなんです。ラメに比べるとキラキラした感じではないですが、上品ですし、くすみをとばしてくるので爪を綺麗にみせてくれると思います」

 そうリリーは説明してくれた。

 エリアナは頷きながら、ジェルが爪にのる様子をまじまじと見る。

「デニス・ゲッター氏が亡くなった事件について、最近新聞に掲載されていたかと思い返してみたのですが、ちょっと覚えていないので。もちろん、エリアナさんが嘘をついていると、そう言うのではなく、実際にどんな事件だったのか、言いにくい事とは思いますが、当時の状況を伺ってもよろしいですか?」

 話が戻り、エリアナは顔をひきしめて頷く。

「もちろんです。そもそも新聞には《身元不明の外国人男性の遺体。亡くなった経緯と、男の身元について現在騎士団は捜査中である》と、それだけしか掲載されていなかったかと。騎士団の方で、あまり不用意に市民の不安をあおりたくないと言う理由から身元まではっきりとは公表しなかったと聞いています」

「つまり、騎士団の方では、デニス・ゲッターが本名であるかどうかも疑っているという状況なのね」

 エリアナは再度こくりと頷く。

「私共も、相談に来られただけで、正式に契約を結んだりなどはしていない方なので、特に伺いませんでした。お名前を伺ったのも、ゲッターさんが他国から来たばかりで、右も左もわからず、今夜泊まる宿についても困っていると話されるので、不憫に思って、私の独断だったのですが、あまり借り手の見つからない部屋を少しだけ安い金額で一晩お貸ししました。前払いでお金は払っていかれて、その際に領収証をお渡しする関係上、お名前を伺ったのです。ちょっとした親切心でした。まさかあんな事になっているとはつゆにも思わず。翌朝、お部屋の鍵を返却していただく約束だったのですが、お昼になってもいらっしゃらないので、夫のアシュトンが様子を見に行ってくれたのです。そうすると、建物のエントランスの所で、頭から血を流した様子で倒れていたデニス・ゲッター氏の姿を発見して……それで、そのまま騎士団へ」

 エリアナは夫からゲッターが亡くなっていると驚きのあまり表情をなくして見せに戻って来た時のあの様子が今でも脳裏にこびりついて離れない。

 夫のためにも一刻も事件を早く解決したいとそう思っていた。

「ゲッター氏の遺留品の中にも彼の素性を示すようなものは何もなかったのですか? それから、ゲッター氏は血を流して倒れていたということですが、殺害されたということで間違いなのでしょうか?」

「はい。倒れていた彼のそばに凶器がありまして、エントランスにあった、錆びたスコップで頭を殴られていたそうです。スコップ自体はもともと物件に置いてあったもので、その、なぜ置いてあったかと申しますと、物件は私達で管理しているのですけれど、あまり人気のない物件はそこまでまめまめしく管理が出来ないので、時間が空いた時やたまに様子を見に行くぐらいのものなんです。あの辺りは陽のあたり具合がいいのか、雑草の育成がよくって、ちょと時間を置いておくと、一本一本てで引っこ抜いているともう何日もかかるような大仕事になってしまうので、スコップでその辺りの土を掘り返して根こそぎ処理をしておりまして、そのためにスコップをあの物件に置いていたのです。あと、遺留品については、何も。騎士団の方ではもしかしたら、犯人が身元を特定されるような品は奪っていた可能性があるのではないかと」

「遺留品にはどんなものが?」

「残されていたものは、彼のお財布、お金はそのままになっていたそうです。あと、タオル、常用している薬、靴下や何枚かの着替え、手帳、万年筆、大きめの懐中時計」

「出稼ぎに来た方だと仰っていましたね、なのに仕事の紹介状なんかはなくて、万年筆や懐中時計があったのですか?」

 懐中時計や万年筆などは高級品だ。一介の出稼ぎ労働者が全く持っていないとは言わないが、比率としてあまり持っていないだろうと思われる。

「ええ、なんともちぐはぐですね」

 エリアナは首を傾げる。

「それに、本当に荷物はそれだけなのでしょうか? なんとも出稼ぎに来たと言う割には、少なく思います」

「騎士団の方では強盗の可能性も含めて、捜査しているようですが、ただの物取りで殺害までするものでしょうか? それに肝心の財布はそのままになっていた様ですし。一体なにがなんだか」

 エリアナがそう嘆いた所で、リリーは作業の手を止めてベルを鳴らす。

「お呼びでしょうか?」

 控え目なノック音と共に入って来たのは女性の使用人だ。

「ねえ、”デニス・ゲッター”と言う人物が先週の木曜日に殺害されたという話を聞いたのだけど、何か知らない?」

「実は、騎士団から――」

 使用人の女性はエリアナの方にちらりと視線を送り、このまま話していいものかどうか、リリーに伺いを立てている様だった。

「大丈夫。当事者の方よ。彼女のご主人が第一発見者なの」

「もしかしてスピークス不動産の?」

「はい」

 ずいぶんと使用人の女性は事件に詳しいのだなと違和感を覚えたのだが、特にそれは態度に見せず、笑顔でこくりと頷くにとどめる。

「デニス・ゲッターと言う男について、情報を提供して欲しいと騎士団の方から連絡がありまして。リリーお嬢様から騎士団から要請があった場合は、無理のない範囲でそれに応じる様にと言われておりましたので、それで」

「では、アリはデニス・ゲッターと言う男について情報を持っていたのね?」

 アリと呼ばれた使用人は静かにうなずく。

「はい。彼はラグドギアではとても有名人です」

「ラグドギアの方なのね?」

 エリアナはそれすらも知らなかった。

「ラグドギアでとても有名と言うのはどう言う意味なの?」

 リリーはアリの言葉に秘められた皮肉を見抜いていた様で、

「表向きは実業家で通っておりますが、その裏では法外な金利を吹っ掛ける金貸しでした。その顧客は一般庶民から貴族まで。主に顧客は貴族の方が多かったようです。その理由について。貴族の方が体面を気にするから、回収率がいいと。彼が酒に酔うと周囲にそんな話をしてたとか」

 アリの説明から、ゲッターと言う男の闇が垣間見える。

「なんとなく、ゲッター氏と話をしてみて、どこがとははっきりとは言えないけれど、なんとなく嫌な感じがあったのよね」

 エリアナはしたり顔でそう言った。

「ゲッター氏とのどんなやり取りの中でそう感じたのですか?」

 リリーは、顔をこちらに向けた。

「何というか……感覚的な部分が大きいので、はっきりとこれと指摘できる訳ではないのですけれど、妙に言葉の節々に含みのある感じと言いますか、ざらつくようないやらしさがあると言うか。上手く言えないですが。特に顕著なのはウォーリーに対してです。私に対してはそんな感じはなくて。先ほども申しましたが、そんな風に見受けられもしかしたらウォーリーに粗相があったのかと思って、私が対応に出たのです」

 リリーはフーンと言って、アリを呼び寄せると、なにやら耳打ちする。

「かしこまりました」

 アリは頷いて、足早に部屋を出て行った。

「今までの話をまとめると、ゲッター氏が出稼ぎでアンバー王国に来たというのは、少々胡散臭い話ですよね。出稼ぎと言う事は、アンバー王国で金貸しの事業を始めると言うことでしょう?」

「でも、そう言われると、部屋ではなく屋敷を借りたいといった意味がなんとなくわかりました。そこを店舗として、事業を展開しようと考えていたのではないでしょうか?」

「もし、それなら、店をやりたいからそれにふさわしい物件はないかと、素直に聞くと思うの。でも、そうじゃなかったわ」

 エリアナはそこで言葉を切って少し考えてから、再度口を開く。

「ゲッター氏は、そうなるとどうしてアンバー王国に来たのでしょうか?」

 ランバスを配置する作業をしているリリー向かったそう尋ねた。

「何か他に手掛かりはないでしょうか? 例えば遺留品の中に、手紙があったとか、懐中時計にイニシャルが印字されていなかったとか、そういえば手帳があったと聞きましたが、なにかメモなどは残っていなかったのでしょうか?」

「手帳は全て白紙だった様です。ただ、メモ紙? いたずら書きの様な不思議な言葉が書かれた紙が挟まっていたと」

「それはなんと書かれていたのです?」

「えっと、確か……【右に3、左に2、右に4】と。妙な表記だったから、覚えています。騎士団の方にも聞かれたのです。お店に金庫はあるかと? ありますが、ダイヤルではなくて鍵式なので、うちのとは違うみたいです。それに、貸した部屋に金庫はありません。もちろん、ゲッター氏の持ち物に金庫のありませんでしたし。騎士団の方ではダイヤル式の金庫で事件に関連がありそうなものをアンバー王国内で探しているみたいですが」

 騎士団からその話を聞いた時、かなり目のくらむ作業になるだろうとエリアナは思った記憶がある。

「でも、アンバー王国のとは限りませんね」

 リリーはそう言葉を返した。

「それと懐中時計にはイニシャルなんかはなくって、手掛かりになりそうなことはなにもい。むしろ、壊れているようで、時計は零時を指したままで、針は一本しかないし、うんともすんとも動かないのです。立派なものなのに、なんで壊れた懐中時計をもちあるいていたのか、ちょっとおかしな人だわなんて思ってしまいます」

 リリーは作業を続けながらのため、顔を上げずに頷く。エリアナにも何が何なのかさっぱりわからない。

 それとなく、そう聞いてみたが、リリーは何も答えてくれなかった。作業に集中していたので仕方がないことなのだが。

 トップジェルを塗布していく途中、アリがばたばたと部屋に入って来た。

「間に合いましたか?」

「大丈夫。アリはエリアナ様がお帰りになられる前にと気を使ってくれているのね」

「ありがとうございます」

 エリアナは反射的に頭を下げながらも、アリに対して申し訳ないと言う気持ちも覚える。

 まだエリアナのネイルが完成していた無い事にほっとした表情を見せながら、エリアナには聞こえない小さな声でなにか囁く。

 リリーはアリに頷いて、エリアナの方をみると、

「ともかくネイルを仕上げますね。アリはさっきのこと騎士団に伝えて。あと、エドにお茶をお願いしてほしいの」

 リリーは矢継ぎ早にそう言った。

「かしこまりました」

 アリは落ちついた様子で相違と、部屋を出て行く。

 リリーは爪に配置したランバスを固定するようにたっぷりとジェルをなじませていく。

 硬化して拭き上げるとつやつやになった。ちょうどその時、ノック音とともに、エントランスにいた執事が、ティーセットを持って部屋に入って来ると、エリアナとリリーにティーカップを置いて、音もたてずに部屋を出ていった。

 リリーははクリアジェルの蓋を閉め、筆をぬぐう。

「今回のことですけれど、少々残念なお話をしなければなりません。私は、エリアナ様のお話を伺って、経営されている不動産のお店に影響が出ないようにお手伝いが出来ればと思っていたのですが、そうもならない状況でしたので。まず、その点についてお詫びいたします」

 真面目くさったリリーの言い方に妙なものを感じて、エリアナは視線を彷徨わせる。

「そんなお詫びだなんて。それよりも、一体?」

「まず、デニス・ゲッター氏がどうしてアンバー王国に来たのか。ここに彼が殺害された犯人の動機が見られます」

「動機ですか?」

「はい。ゲッター氏は出稼ぎに来たと話されていたとのことでした。一般的に出稼ぎと言う言葉を聞いて思い浮かぶのは日雇いの肉体労働者を思い浮かべるのではないかと思いますが、エリアナ様が仰っていた様に、彼は高価な品物を持っていたという事から、日雇い労働のためにアンバー王国に来たわけではないことがわかります。じゃあ、どうして彼は出稼ぎに来たといったのか? 私は彼がやっている本業の関係でアンバー王国に来たのではないかと思いました」

「本業と言うと、――その金貸しの仕事ですか?」

 エリアナの言葉にリリーはゆっくり頷いた。

確かにそうかもしれないと思いながらも疑問が湧く。

「それでしたら、どうして私達の店に来てわざわざ家を借りたいなどと……」

「そこがわからない所でした。取り立てに来たのなら、直接その人の所に行き、話をするなりなんなりすればいいことです。ですが、そんな様子はなく、むしろ今夜泊まる宿もないと話していたと。その話から導きだした結論はスピークス不動産屋に来ることが彼の仕事の目的だったのです。つまり」

「私達が彼にお金を借りていたと? それで、彼を殺害したとおっしゃるのでしょうか? ですが、それは見当違いです。確かに裕福とは言えませんが、そんな人の道から外れる様なことは一切行っておりません。夫のアシュトンが苦労しながらも、いつも努力を惜しまないその姿を一番近くで見ているのでよく知っています。真直ぐな人です。絶対に人の道から外れた、そんなことをするなんて考えられません」

 リリーの言わんとすることに対しての抗議の気持ちが高ぶってしまい、思わず声を荒げたのだが、リリーはいたって冷静だった。

「存じております。スピークスご夫妻はデニス・ゲッターなる人物に対して全く無関係でありますし、むしろ被害者であると思うのです。でも、ルディ・ウォーリー氏はどうでしょうか?」

「え?」

 まさか、彼の事について、そんな風に考えてみたこともなかった。

「彼を雇い入れたのはいつの事でしたか?」

「えっと、昨年です」

「どのような経緯で?」

「えっと、前の勤め先の主人が夜逃げをして行き場を失ってしまったのだと途方に暮れていたところでした。とても寒い日であまりにも不憫に思ったものですから、居住者のいない空いているお部屋をかして上げたのです。彼はお金を持っていないから部屋の返済も含めて働かせてほしいと、申し出があって。ちょうど、夫も補佐してくれるスタッフがいたらと思っていた所でした。それで、働いてみてもらうと非常に有能で、外国語も堪能だったので、私達も彼に助けられて」

 エリアナの言葉に嘘は一つもないのだが、そう言いながらもじゃあ、ウォーリーが今までどうやって生きて来たのかなど、知らない事が沢山ある。いや、こちらから何も聞いて来なかったからかもしれない。そんな事実に直面し、妙な冷や汗が背中をつたう。

「失礼かとは思いましたが、こちらで、ルディ・ウォーリーについて調べさせていただきました。彼はラグドギアの出身ですね。ラグドギア王国での彼は仕事は真面目なのですが、無類のギャンブル好きの様で、借金をつみかさね、ゲッター氏からお金を借りる様になった経緯が発覚しました。借りている金額が高額になればなるほど、流石に彼の給料から返済が難しくなり、ついには勤め先にまで、取り立て屋が押しかけてくる始末。そうなると流石に職場にはいられなくなり、アンバー王国まで逃げて来たのです。語学が堪能だったので、生活に困ることには無かったのでしょう。こちらに来てからは、今までのことを反省し、また一からと思った矢先。ゲッター氏が彼の行方を追ってスピークス不動産にやって来た。そして、エリアナ様が一夜の宿を提供した。ウォーリーは戦々恐々としたでしょう。エリアナ様ご夫妻に迷惑をかけない様に、お金は少しずつでも返済するから今の生活を壊さないで欲しいと、貸した部屋におしかけゲッター氏に接触した。ウォーリーさんは説得を試みたのでしょう。しかし、ゲッター氏はそれを呑まず、一括で返済をしろ。さもなくば店の方に取り立てにいくと脅したのかもしれません。ウォーリーさんは驚愕しました。せっかく手にしたここでの生活が立ち行かなくなってしまう。そう思って、彼の殺害にいたったのだろうと」

 リリーはそう言って紅茶を飲んだ。エリアナの脳裏にはいつもの無表情のウォーリーの顔が浮かぶ。

「彼がそんな――証拠はあるのですか?」

「推測になりますが、ゲッター氏が持っていた【右に3、左に2、右に4】と書かれたメモにヒントがあるかと思うのです」

 リリーはそう言うが、

「でもダイヤル式の金庫なんてどこにも」

「じゃあ、彼の持ち物の中で、ダイヤルの代わりになりそうなものは?」

「え、あ、懐中時計……!?」

 リリーはエリアナの回答に満足そうに頷いた。

「時計の針をその指示の通りに動かせば、恐らく彼の借用書か何かが出てくるのではないかと思うのです」

 エリアナはなにも言えなかった。

 ただ、だまってティーカップを見つめることしかできなかった。

「ネイルの方はこれで大丈夫ですか?」

 リリーは声色を変えてそう聞く。

 その声を聞いてはっとする。ここにはネイルをするために来ていたのだと。

「とても素敵です」

 そう言って、どこか懐かしくノスタルジックな気持ちに陥る。前世の事は思い出そうとしてもなかなか思い出せない部分があるが、多分、前世のは私はネイルが好きだったのだろうと思う。

「じゃあ、これでネイルオイルぬりますね」

「お願いします」

 エリアナはネイルを見せる様にして、リリーの目の前に自身の手をさしだす。

「ジェルネイルは初めてだったのですね?」

 再度聞かれるリリーの問いかけに、

「ええ」

 エリアナは首を傾げる。

「ランバスやビジューと言う言葉はどこでお知りになったのか伺ってもよろしいですか?」

「ええっと……」

 前世のキオクがあって、そこからと、今話を切り出してもいいのだろうか。

「もしかして、”前世”と言う言葉をご存知ですか?」

 リリーの言葉にエリアナは目を大きく見開いた。

 


※※※※※


 モーゼル国は資源の乏しい寒々しい国だった。

 国民は牛や羊を放牧し国民は細々と生活を営んでいた。そんな貧しい国に大きな脅威が差し迫っていた。隣国のアンバー王国の存在である。

 其の国はすでに色々資源を持つ国であるのに、己の武力に物を言わせてせっせと領地を拡大していった。

 アンバー王国の第二騎士団の団長と言うのが、非常に狡猾な男で図った様に警備が手薄な時期に狙いを定めて襲って来るのだ。

 もう何度も国境付近で小競り合いを繰り返している。

 向こうはそこまで本気ではなく、ある適度モーゼル国がダメージを受けたのを確認して引き上げていく。その繰り返しだ。

 モーゼルの国王は頭を悩ませていた。

 このままではじわりじわりと、国は損害を受け、いずれはアンバー王国に取り込まれてしまうだろう。本来であれば、モーゼル国が疲弊する前に兵を率いて、反転攻勢に打ってでるべきなのであろうが、そもそもこの国にそれだけの余力は残っていない。

 ただただ、国が朽ちて行くのを見ていることしかできないのかと思っていた所、側近の一人が古代の文献を探して持って来た。その文献には、長いモーゼル国の歴史の中でも、過去に他国の危険にさらされた時代のことが書かれていた。なんと異世界から稀人を召喚し、危機を乗り越えたと書かれていたのだ。

 稀人と言うのは、この世界とは別次元の世界に存在する人の事であり、この世界に存在する人とは異なるスキルや能力を持っている者の事で、その力はこの世界の定理では計り知れない力を持っているのだと書かれている。

 文献を読んだ、モーゼルの国王は国のためと思って、独断で稀人を召喚する儀式を行った。アンバー王国の脅威に対抗するためである。

 儀式で召喚されたのは、まだ十代の若い男性だった。

 異国の見慣れない衣服を着ており、召喚された男性は最初は驚いていた様子だったが、”アアコレガイセカイテンセイデスネ”と言って、すぐに自分の置かれた状況と立場を理解し、すぐに行動を開始した。

 彼の名前は”アキノリ”と、言った。

 彼が持っていたのは【勇者】と言うスキルだった。

 モーゼルの国王はアキノリとモーゼルに一人だけいる、彼の娘である聖女と二人でこのモーゼルの危機を退ける様に言い伝えた。

 何よりも脅威であるのはアンバー王国にいる【剣聖】と呼ばれる男だ。

 彼の存在は非常に脅威であった。

 更に、国王は娘とアキノリのことを考え、サモア重工の甘い囁きに乗って、隠密に剣聖を始末するという企みに手を貸してしまった。

 後から考えて、【勝つためには手段を選ばない】と言う姿勢は国民の不安を招く、行動だったと後悔した。結果的に上手くいかずに終わってしまったので、ほっとしている部分もあった。

 ともかくどうにかしてアンバー王国の脅威を取り去らなければならない。その一心だった。

 たとえ戦争を引き起こすことになってしまったとしても。

 そもそもまんじりと待っているだけでも、いずれ戦争を引き起こされていただろう。それならばこちらから……。

 そして、運命の日が近づいて来る。


 アキノリは順調に自身の強さを磨いていた。

 ただ、人を殺害することに非常に抵抗がある様だったので、精神系の魔術を使えるものをよんで、敵兵が太古に絶滅したと言う魔獣に見える様に暗示をかけた。

 彼は幾分精神が楽になった様だ。

 アンバー王国の要の地とも呼べる、辺境伯に狙いを定めて、戦を仕掛ける。

 アンバー王国は自身が主導権を持っていると勘違いしていた、まさか攻められると思っていなかったのだろう。

 勇者であるアキノリの存在も秘匿にしていたので、かなり慌てふためいて後退した。そこからの形成逆転は早かった。

 あっと、言う間にアンバー王国の王都まで攻め入り、無血開城に成功した。

 モーゼル国王の民を思いやる姿勢に、アンバー王国の民はモーゼル王国を受け入れたが、それに最後まで抵抗したのは王族と一部の貴族だった。

 剣聖を今すぐ王都に呼ぶように伝令を出したが、計った様に剣聖は他国に行っており不在だった。

 アンバー王国あっけなく崩れ去り、 国王や貴族は身分をはく奪され、モーゼル国の属国となった。





「これが前世で読んだ物語の概要でした」

 エリアナはその言葉で話しを締めくくると、ティーカップを持ち上げて口に運ぶ。

「そう」

 リリーはそう言って、口をつぐんだ。

 二人を間に沈黙が訪れる。

 アリとエドは、席を外して欲しいと言ったのでここにはいない。リリーとエリアナの二人だけだ。

「ですが、物語とは少し実情が異なっている様な感じも否めなくはないのです」

「もし、本当に戦争が始まったら、エリアナさん。貴女はどうする?」

 エリアナは強いリリーの視線を受け止めきれず逸らした。

「わかりません。ですが、しがない一般市民の私が出来ることなんて、そうありませんし。ただ、訪れるであろう運命を待つことだけですかね。できることと言えば」

 リリーはこくりと頷いて口を開く。

「私だって似たようなものだわ。末席であったとしても、この国の貴族の一員であることは間違いないから。下手に国を離れることは、難しいでしょうね。親族の伝手を辿れば出来るでしょうけど、それは最終手段で……これからどうなるかわかりませんから」

「ええ、おっしゃるとおり」

 エリアナは大きく頷く。

「些細なことでも情報共有をしましょう。なんとかこの世界で生き延びられるように」

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