魔王、勇者と対峙する6
丸い、大きい、小さい、三つの特徴的な影が兵士を追いかける。三人が兵士をいい所まで追い詰めたと思った矢先に煙に撒かれたように兵士が消えた。三人の大きい担当のキリが、何かを見つけた。
「兄貴!凄い場所に着いたな!」
キリが興奮した様子で言う。三人は魔族の兵士を追いかけていたら大きな城にたどり着いた。魔族の兵士は見失ったが、収穫としてはばっちりだと三人は嬉しそうだった。
「みれば分かるさ。キリ!魔王が居そうだな!」
「あぁ、兄貴!こんなに立派な城なんだ!魔王は居なくとも痕跡はあるさ!」
ついでに食料も調達しよう。キリはそう考えていた。
「あ、兄貴。扉を開けるんだな」
モチは扉を開けるために扉に近づいていく。
「あ!モチ!罠がある可能性があるから気をつけろ!」
クズはモチを止める為に怒鳴る。しかしモチの反応の前に扉がひとりでに開いた。三人はしばらく放心状態だったが、クズが思考を切り替え怒鳴る。
「おい!そこに居るのは誰だ!」
返事はない。しばしの静寂の後、三人は警戒するように辺りを見回しながら足を進めていく。
「……兄貴、凄い手の掛かった景色だ」
扉を潜り抜けると三人の眼に映ったのは綺麗に手入れのされた庭だ。キリが思わず息を呑んだ。
「あぁ、少なくとも昨日今日で出来るほどの出来じゃない」
クズも感心した声を上げる。三人には植物の知識や庭の知識なんてないが、それでも目を引かれるほどの光景を目にした。三人は奥に進んでいく。
「あ、兄貴。ここを荒らすのはなんか勿体無い気がするよ」
モチが言う。クズも同じ事を思っているのか頷いたが、ハッとした顔をするとモチを怒鳴る。
「馬鹿野郎!俺達は魔王を倒すんだぞ!そんなことを気にしていてどうする!」
「ご、ごめんよ兄貴!」
モチは謝る。クズはそんな様子のモチを気にした様子もなく先に進む。キリとモチはクズについていく形だ。
程なくして屋敷の扉の前に着く。クズは気にした様子もなく扉を開ける。三人の眼に映ったのは豪華な装飾の玄関と
「いらっしゃい。待っていたよ」
黒いコートに身を包んだ女性だった。




