魔王、煉瓦を作る3
マリアが用意したという場所はそれほど開けておらず、いかにも森といった感じの場所だ。
「材料は向こうに集めてありますので、ここは作業場といった所でしょう」
マリアがそう説明をする。マリアの説明からも分かるようにこの開けていないが、作業をするに十分なスペースは確保されている。マリアが用意した素材を確認した魔王は、戻ってきては魔王が嬉しそうにマリアを褒めた。
「流石はマリア、しっかりと煉瓦を作れそうだよ」
「ありがとうございます」
マリアがお辞儀を返す。魔王はそのお辞儀を確認するとマリアから視線を外してテールの顔を見る。
「じゃあテール、早速やってみようか!」
「待て待て、俺は煉瓦の作り方なんて知らんぞ」
魔王は興奮した様子だがテールは首を横に振った。そして魔王を宥めるように言葉を返した。
「そっか、それもそうだよね」
魔王はテールの言葉にうんうんと首を縦に振った。そして得意げに胸を張るとテールに提案をする。
「じゃあ僕が説明するよ!」
あぁ、ドヤ顔とはこういう顔をいうんだろうな。テールは心の中でそう考えた。しかしすぐに思考を切り替えると、魔王の話に乗る。
「じゃあ、お願いするよ」
テールはそう魔王に言う。魔王は嬉しそうに大きく頷いた。
「任せて!」
魔王はそういいながら説明を始めようとした。マリアが二人の間に入り、提案をする。
「魔王様。テール様に作り方を説明するのではなく、実際にお二方で作ってみるのはいかがでしょうか?」
「なるほど、それは確かにいいアイデアだね」
魔王がマリアの言葉に頷いた。そして魔王がテールに聞く。
「テールはどっちがいい?」
「任せる、といいたい所だけど、実際に作った方が覚えもいいだろう。創りながら教えてくれ」
「わかった!任せてよ!」
魔王が大きく頷き、今度こそレンガ造りが始まったのだった。




