試練…それは娼婦
よろしくお願いします。
「えっと、えっと…」
「……まどろっこしいねぇ。まぁ、それだけの未知の力を持っているんだ。自分が何者か分からんってのも理解できん事もないがね。じゃあ、ナニが出来るんだい」
それは色々ある。
料理、炊事、洗濯、裁縫、家計のやりくり。
それに家庭菜園とか。
その他には…。
あ、そうだっ!
忘れてた!
この人間界に来たばかりの時、一度だけ見たステータス画面っぽいやつ!
何か見落としがあるかもっ!
そう思って、心の中で自分の能力値を見たいと願った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ジエラ
【種族】
戦乙女
【身体的特徴】
身長:172センチ
体重:ナイショ♡
容姿・スタイル:絶世級。悪用すれば世界が絶えるレベル。美の女神と豊穣の女神の良いとこ取り。
【装備】
黄金の腕輪 …鎧の創造。自己と他者の鎧を創造する。
黄金の指輪 …黄金の創造。
黄金のチョーカー …武器の創造、武器の格納、戦闘力増強、防御力増強、変装。
鷹の羽衣 …肩掛け。未装備品。
鷲の羽衣 …高機能外套。未装備品。
全身鎧 …夏の普段着型。腕輪製。
力の帯…力を増加する。未装備品。4本。
【職業】
娼婦
【女子力】
家事育児において万能
【男子力】
判断材料不足
【賞罰・特記】
不法滞在につき強制労働1か月
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
……。
ちょっと変わってるけど…。
………。
み、見なかった事にしよう。
えっと…。
………。
何か使えそうなのが思いつかない。
で、でもっ。
ボクは別の人間界出身なりに、この人間界にはない知識があるんだ!
出来る事があるかもしれない!
きっかけさえあれば…。
何か、閃くものがあれば…。
「ヘキセンさん。娼婦の皆さんと話をさせてください! そうすれば何か思いつきます! 娼婦しなくたってボクがお役に立てると思いますよ!」
「…?なんだってんだい?」
・
・
そして。
娼婦の皆さんを見たベルフィは大喜びだった。
ベルフィはおっぱいやお尻の大きな女性が大好物なんだ。
それ程までに娼婦さん達は綺麗でグラマー揃いだった。
彼女たちはボクたちを見るや否や「今度の新人さん美人過ぎるわ!?」「こんなトンデモナイ美女が相手じゃ稼げないじゃないの!」「私の太客が寝取られちゃう!?」って騒ぎ出した。
そんなんだから、ボクたちが娼婦しないように済むように皆さんの知恵を貸して下さいって、困っている事があったら相談に乗りますって頼んだんだ。
「…ああ良かった。ライバルかと思ったわ」
「知恵…ねぇ。困っている事を解決してくれるって言われても…」
「私たちは客の目に留まらなくちゃ話にならない。でも娼婦って言っても、皆、同じような衣装だから…」
そう言えばみんな似たような格好をしている。
ズロースっていうか、ドロワーズっていうか、ペチコートっていうか、皆んなして野暮ったい下着姿だったんだ。
よーし!
なら簡単に解決できるぞ!
この『黄金の腕輪』を使えば…!
「『守護』! このお姉さんたちにエッチな下着をお願いします!」
ボクがそう唱えると、娼婦さん達が光に包まれる!
そして皆さんは、エッチなグラビアやら撮影でしか需要がないような、防御ゼロに近いエロ下着姿に変わったんだ。
「「「ーーーーッ!??」」」
「きゃあぁぁーーッ♡♡!!お姉さまも同じの着て! 着て下さい! はやくうぅぅぅッッ!!」
大勢の娼婦さんが声もなく驚き、約一名が黄色い歓声(悲鳴)をあげる。
「…す、凄い綺麗…♡」
「この縫製…。どうなってるの? こんなにも繊細で…」
「透けてる! 全部見えちゃってる!?」
娼婦さん達はお互いの姿にキャアキャア言っている。
それは羞恥心からじゃない。
初めて見るセクシーな下着に驚き喜んでいるんだ。
「お、おね、お姉…さま。お姉さまも…着て…ぶばっ」
さっきから騒いでいたベルフィは、目の前のエロ下着に身を包んだグラマーな女性達に昂奮し過ぎたのか、ボクがそのエロ下着を着るのを想像したのか、鼻血を噴いて悶絶してしまう。
「ど、どうなってるんだい?」
ヘキセンさんが目を見開いて驚いている。
ふふふ。
ボクが持つ魔法の腕輪『黄金の腕輪』は防具を創ることができるんだ。
しかも改造者の悪ふざけで露出が高い防具を創ってしまうという仕様なんだ。
ならセクシー下着は腕輪の十八番とするところ!
「これはボクの能力の一つ。彼女達に似合う防具をいくらでも創ることができるんです。下着のように見えますけど、れっきとした防具ですから手荒に扱っても痛んだりしませんよ!」
すると娼婦の皆さんは「凄いじゃないですか! これなら男供の視線を釘付けにできますよ!」「これは魔術ってシロモノですか!? 魔術ってこんな事もできるんですね!」「そんな格好しているから痴女で露出狂なのかと思ったら魔術師さまだったんですね!」とか言ってボクを尊敬の目で見つめている。
しかしその一方でヘキセンさんは真面目な表情になっていた。
「アンタ…本当に何者だい? あたしゃ、これでも若い頃にはいっぱしの魔術師として鳴らしたこともあるんだ。こんな魔術聞いたことないよ」
「そんなこと言われても、ボクは…何者もなにも…。その…戦う他は、家事とか…こういう事しかできないし…」
するとその時、ボク達のいる広間にいきなりでっかい男の人が乗り込んで来た!
筋骨隆々の荒くれ者っぽいのが剣を振り回して、ガチャンガチャンと店の壺を叩き割る!
「おい! ジュネはいるか! 俺という男がいながら他の男に色目使いやがって!淫売め…。許せねえ!」
「「「キャアアアァァッッ!」」」
女性達の悲鳴が響く!
いきなりの闖入者に逃げ惑う皆さん。
ジュネと言われた娼婦さんは「カネがなくてアタシを買えなかったくせしてナニ言ってんのよ!」とか言いながら大男から逃げている。
「こ、この…冒険者崩れの色狂いが…! なんで兵士共はこんなゴロツキを放っておくんだい!?」
ヘキセンさんも突然の大男を罵っている。
どうやらこの男はクズのようだ。
そして大男はボクに目をつけてきた!
好色そうにニヤけながらベロリと唇を舐めている。
「おほっ。こりゃまた凄えスケベな娘だ! 新入りかぁ? 俺の傷ついた心をお前の身体で慰めてもらおうか!」
何だこの最低男は!
ジュネさんに一途だと思ったらボクに余所見するなんて!
それにボクに向かってスケベだなんて!
女性を一方的に追いかけまわして乱暴しようとか、ボクの漢気を理解できないばかりか、ボクを襲おうとするなんて、こんな男は始末した方がいいよね!
すると大男は大剣をボクに向けてきた。
そして「オラオラ、大人しくしろよぉ。その綺麗な肌を傷つけられたくないだろぉ? げっへっへっへ」とか言いながら舌なめずりしてる。
「ふっ」
喉元に突きつけられた大剣。
でも手持ちの隠し武器…万力鎖をサッと取り出すとその両端を両手に持ち、ギャリギャリと鎖を剣に滑らせるようにして剣先の下を掻い潜る。
そして大男の懐に飛び込むや否や、万力鎖の先端にある分銅を男の親指の付け根の急所に叩きつける!
ドッ
「ギィッ!?」
ガシャン、と大剣を落とす大男。
彼は手首を抑えながらボクを睨みつけている。ヒュンヒュンと万力鎖を回しているから、近づく事もできないみたいだ。
そして自分の不利を悟ったんだろう。「…スケベ女がぁ。テメェ、夜道に気をつけるんだなぁ」と捨て台詞を残して、振り返って逃げ出そうとした。
だけど、逃げるなんて許さない。
万力鎖を大男の足元に投げつけると、そのまま鎖が足に絡まる。
ドダッ
「うごぉッ!?」
足がもつれて転倒する大男。
そして倒れた大男をサギニが自前の万力鎖で打ち据える!
「私のジエラさまに対して何たる無礼な!」
バキッ、ビキッ、ドゴッ!
「うぶぉごッ!?」
サギニは妖精さんだ。ボクみたいに謎の筋力があるわけじゃない。
それでも鎖分銅でもある万力鎖の打撃は強烈で、あっという間に大男はボコボコにされて瀕死の重症にされてしまったんだ。
「サギニ、それくらいにして! 死んじゃうよ!」
やり過ぎた!?
お役人に突き出せばよかったのに、(サギニが)つい半殺しに…。
これじゃあ皆さんにドン引きされちゃう!?
でもそれは杞憂だったようで、娼婦の皆さんは「カヒュカヒュ」言いながら死にかけている男を数人がかりで店の外に放り出すと、ヘキセンさんが塩を撒いてお終いになった。
そしてジュネさんという娼婦さんに「ホントに助かったわ!」と感謝されるのを皮切りに、娼婦の皆さんに取り囲まれてしまった。
「アンタやるじゃない!」
「カッコよかった! アンタ、冒険者かナニかかい!」
「そんなに淫らな格好してるのに男以上の腕っ節だなんて…!」
ヘキセンさんも「下着を創る固有魔術…。それに武器を持った大の男を制圧する腕前…。いいね。面白いじゃないか」とか言いながらニタァ〜と嗤っている。
「…よく分かったよ。兵士はアンタを娼婦と決めつけていたようだけど、とてもじゃないが、娼婦の枠に収まらないね。なら…」
ヘキセンさんが言いかけたところで、ベルフィが「お姉さま!」と声をかけて来た。
彼女は鼻血で悶絶してたけど、いつの間にか復活したみたい。
それどころかエロ下着の女性に囲まれてご機嫌のようだった。
「お姉さまぁ…。この人間界で、此処を本拠地にするんですか? 私は大賛成ですぅ♡」
「このエルフ娘ったら私たちが好きみたいね。エルフなのに面白い娘ねぇ」
「こ、こらぁっ。お尻撫で回さないのっ。メッ。うふふ」
娼婦の皆さんもベルフィのご乱行(?)に付き合ってくれていた。
するとすかさずヘキセンさんがベルフィを勧誘する。
「あ、アンタも働くかい? なら此処に置いてやらないでもないよ? だけどアンタみたいに可愛らしいエルフに男どもの相手が出来るかねぇ?」
「働く?」と訝しむベルフィに、娼婦さんが「男の人を快楽で虜にするのが私たちのお仕事よ」と教えていた。
するとベルフィは「男を快楽で始末すればいいんですね」と、テーブルにあった花瓶の花に吐息を吹きかける。
すると、花からは沢山の美幼女、美少女、美女、美熟女が顕われた!
「森乙女です。彼女達は男を誘惑し、木の中に連れ込む存在ですけれど……。ううん。ちょっと失敗かもしれません。私はこういうチマチマした精霊行使は性に合いませんね…」
花瓶の花束から顕れた女性達はドライアードさんだと言うけれど、全然人間にしか見えない。
しかも年齢がバラバラなのは花瓶の花が蕾だったり枯れ花だからだという。
そしてベルフィに傅いた外見年齢が様々な森乙女さんたちが一斉に唱和する。
「「「偉大なる白妖精の姫君であらせられるディードベルフィ・ビィ様、なんなりとご命令を」」」
「よろしい。貴女たちは寄ってたかって男を快楽で再起不能にし……」
「採用! 採用だよ! アンタみたいな精霊使いは見た事ないよ! よし、アンタは…『ビィ』だ! 娼婦ビィとしてしっかり稼ぎな!」
有無を言わさないヘキセンさんの鶴の一声でベルフィの娼婦(?)採用が決まってしまった。
オマケにベルフィが「報酬? よく分からないけど、それは彼女達が喜ぶものですか? ならそれは全て彼女達に差し上げてください」なんて言うもんだから、娼婦さんたちは笑顔で彼女を可愛がる。
ベルフィはエロオヤジさながらに鼻の下を伸ばしてデレデレしていた。
ニタリと嗤うヘキセンさん。
今度はスレイに向き直った。
「……それで、アンタはさっきから何なんだい?」
「んんっ、我か? んグング。…おお、此処はこのような菓子が出る人間の宿なのだな。我は気に入ったぞ。美味い美味い」
さっきから一人で我関せずと茶菓子を頬張っていたスレイはトンチンカンなことを言っている。
スレイは砂糖が大好物なんだ。
砂糖菓子を口に大量に放り込んでいる。
「アンタ、さっきから黙々と高級茶菓子を食い散らかして。それだってタダじゃないんだよっ! それにウチは宿じゃないんだ。さっさと銅貨20枚出しな!」
「………銅貨? 知らんな」
「盗人猛々しいね。代金を払えないならカラダで払ってもらおうかい!?」
「なんと! 神馬たる我を盗人呼ばわりするとは…! 良いだろう。よく分からんがカラダで払ってやろうではないか!」
「『シンバ』? じゃあアンタはシンバって名乗って働くんだね。……ヒィッヒッヒッヒ」
…あっという間にベルフィとスレイプが就職しちゃった…。
そしてヘキセンさんはボクとサギニに向き直る。
「さて、お仲間はウチに籍を置くことになっちまったようだね?」
ううっ。
ニヤニヤ笑っているヘキセンさん。
絶対にボクを逃がさないつもりみたい。
でもボクは娼婦になるワケには…。
でも二人を置いていけないし…。
「…そうだ。話が尻切れになっちまった。アンタは…武の心得があるらしいね。それでいて身元が定かじゃないなんて…。奴隷…それも剣闘士奴隷か何だったのか?」
『剣闘士奴隷』
か、カッコいい気がする。
それに女神から死ぬまで戦うことを義務付けられたんだ。
剣闘士奴隷って事にしても、まるっきりウソじゃないよね!
それに『神の奴隷』って立場は今後も役立ちそうだぞ。
⬜︎ 妄想 ⬜︎
娼館の一室。
ここで働く事になったボクは、満足に外も出歩けなくなった。
でもそれも一ヶ月の辛抱だ。
ヘルマンから情報を得ながら、なんとか無事に滞在資格を得るため頑張るんだ。
でも…。
「ジエラさまッ」
「きゃあっ!?」
ヘルマンが襲ってくる!
「だ、ダメだよヘルマン! ボクは、…ボクは普通の人間じゃないんだ!」
「ジエラさま、例え貴女が何者だろうと、お慕いしております!」
「じ、実は…ボクは…神さまにお仕えする奴隷なんだっ! だから、ボクは神さまの所有物なんだ!」
「ッ!?」
説明する。
神のモノであるボクとは絶対に結ばれないこと。
でもボクと一緒であれば、死んでも共に神々の世界に逝けるということ。
だからボクと添い遂げられなくとも、他の女に振り向かないで欲しいこと。
「だ、だから。…」
「………」
ボクの事を押し倒したまま、ヘルマンはじっとボクを見つめている。
ボクは…どきどきしながらヘルマンが諦めてくれるのを待っている。
でも。
「ならばジエラさま! 俺は死して神々に見えるとき、貴女を貰い受けて見せます! 結果、神々の怒りを買い、魂を砕け散らされても悔いはありません! 俺の想いを受け入れて下さいッ!」
「だ、ダメなの。ボクたちは、その…最初はお友達の関係で…。ゆくゆくは一緒に死んじゃう関係でお願いしたいんだ…」
「しかし、俺の想いは留まる事ができませんッ! 今は想いが届かないのであれば、せめて身体だけでも!」
「それって、せ、せ、セフレってこと!? ダメだよヘルマン! 不誠実だよ! そんなのヘルマンには似合わな…、だ、ダメぇぇーーーッ!!?」
⬜︎ ⬜︎ ⬜︎
ヘルマンと…セフレな関係!?
ダメに決まってるでしょっ!
いくらヘルマンが誠実なひとでも、下手に説明すると、かえってボクを手に入れようとして身体だけの関係を迫られちゃうかも知れない。
なら、事故が起こらないように、娼館で働いている間はヘルマンにも黙っている方がいいね。
幸いにもボクの『黄金のチョーカー』には変身能力があるんだ。
これで髪の色を変えて、剣闘士奴隷として働いている間は源氏名を名乗ればいい。
ボクって頭いいな!
「…やっぱり隠せないみたいですね。そうです。ボクは剣闘士奴隷のような扱いで戦っていました。でもカラダまで要求されそうになったんで逃げて来たんです。ですが、運悪く貴族の人に目をつけられてしまって」
娼館で働いている間、ボクは『ジエラ』と別人なんだ。
だから『ジエラ』とかけ離れた経歴じゃないとダメだよね!
ヘキセンさんは黙っている。
疑いの目でジッとこちらを見ている。
そうだよね。
剣闘士奴隷がベルフィ、サギニ、スレイプニルを連れているのは怪しいよね。
「…………」
「あ、あの。ですから、あの…彼女たちは旅の仲間なんです! 助け合って此処まで辿りついたんです…」
「…………」
でも、ヘキセンさんは…何というか、理解してくれるというよりは、渋々認めてくれたみたいだ。
「…まぁ、アンタがそう言うならそれで納得してやろう。あまり追求しすぎて藪蛇はゴメンだからね」
そしてヘキセンさんは、残ったサギニとも話し合う。
彼女は「ニンジャたるこの身はすでにジエラさまのモノ。ジエラさまの命じるがままに」とか言ってくれたんで、ボクたちと同じく娼館で働く事になったんだ。
ちなみに源氏名は『クノイチ』に決まった。
そんでもってボクたちの雇用条件について話し合う。
結果。
こちらが提示する『本名は決して記録には残さない事』『娼婦としてお客は取らない事』『身請けは不可能にする事』という条件と引き換えに、出来ることを頑張る事になったんだ。
出来る事。
つまり、ボクは娼館の家事労働、エロ下着の作成、そして用心棒。
ベルフィは森乙女に娼婦をやらせる。
サギニは用心棒。
スレイは…出来る事っていうことで…演舞になった。
……。
でも。
『ジエラ』じゃないとしても…。
娼館に就職しちゃった。
で、でも大丈夫だよね、本名は名乗らないし変装するから!
そして変装する。
『黄金のチョーカー』で髪の色は黒に変化する。
服装は全員同じような格好になった。
つまり、地球世界の中東っぽい地方の踊り子…セクシーなベリーダンサーっぽい衣装だ。
ヘキセンさんたちは突然見た目が変わったボクに驚いていたけど、「まぁ魔術だし、こんなことも出来るだろう」って事にしてくれた。
「…じゃあ打ち合わせの通り、アンタらの名前は『セフレ』『ビィ』『シンバ』『クノイチ』だ」
「ぶっ!? な、なんですかセフレって!」
「? さっきからブツブツ、セフレセフレって呟いてたじゃないか」
「姐さんたち、よろしくね!」
「ビィちゃんはドライアードさんが男の相手するんでしょ? 頑張って人気嬢になってね!」
「セフレ姐さん、今度は白い下着が欲しいの!」
「お姉さま♡ 此処は天国ですか? こんな天国を紹介してくれた人間に感謝しませんとね♡」
「カラダで払う…。ふん。神馬たる我には容易な事だ!」
「此処を本拠地として、害を及ぼす男を排除すれば良いのでしょう。ニンジャにとって簡単な任務ですね」
ボクを除いて、皆、ヤル気満々だ!
「大丈夫。変装しているんだしきっと大丈夫だ。それに滞在証を手に入れるまでセフレとして働いていれば、そのうち貴族さまたちも行方不明のボクたちを諦めるはず。英雄になるのはそれからでも遅くないよ! ……ね?」
⬜︎ ⬜︎ ⬜︎




