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決意を新たに


⬜︎⬜︎⬜︎ 夢 ⬜︎⬜︎⬜︎


先日、ヘルマンが浮気したんだ。

浮気相手は、なんとヴェクス。

ヴェクスはおっぱいとお尻がおっきいエルフなんだ。

ヘルマンにはボクがいるのに! どうしてヴェクスなんかを!




…って追求したら…。

そしたらヘルマンが「貴女に俺の忠誠を疑われてしまったという事は、俺は所詮それまでの男だったようです」なんて言ってボクのもとを去ろうとしたんだ。



「ボクが悪いんだ!」

「やだぁッ! 棄てないでぇッ!」

「飽きられないよう鍛錬(・・)頑張るからぁッ! ヘルマン好みの女になるからぁッ!」



そんな事を言いながらヘルマンに取りすがり、彼専用の情婦…じゃなかった、師匠として頑張ってご奉仕…じゃなかった、鍛錬したんだ。

その甲斐あって、ヘルマンはボクへの忠誠を新たにしてくれたんだ。



「ごめなさいヘルマン! ボク、もうヘルマンが浮気するなんて疑ったりしない! だからボクがヘルマンの女だって、逞しい漢気を叩き込んでェッ! ヘルマンを忘れられないようすっごい鍛錬してぇッッ♡♡!!」


「俺には貴女しか見えない。ヴェクストリアスなど俺には必要ない」



そんなカンジで、一晩中お互いの信頼を再確認しまくった後。

ボクは台所で朝ごはんの支度をしている。



「ジエラ様。そ、その恰好は…!?」


「え? …うふふ。コレはね…」



万が一、ヘルマンの事が気になっている身の程知らずな女が突撃してきた時の対策だ。

手料理の朝ごはんを見せつけて「ヘルマンのお世話は間に合ってますからっ」「そ、そんな。ヘルマンさんにこんなにもステキな女性がいるなんて。わ、私なんかお呼びじゃないって事ですね。…ううっ。浮かれてた私ってバカみたい…」みたいな展開になる予定なんだ。


なので、これから来るかも知れない女にボクたちの主従っぷりを見せつけるためにも、ボクの手料理で迎えてあげるんだ。

だから気合いも十分だ!



「ここは他の女に舐められないように勝負服っていうか裸エプロンだけど。へ、ヘンかな?」



ボクはフリルたっぷりの小さめなエプロンに身を包んでいる。

もちろんボクのおっきなおっぱいは横から見るまでもなく…色々見えちゃいそう。

更に安産型のお尻も丸出しなんだ。

前だってちょっと裾をめくれば、…えへへ♡ 攻め過ぎかなぁ♡



「こ、個性的で、良いと思いますが…」


「そんな事より、今日はカキのフルコースだぞっ♡ 今日もヘルマンには頑張ってもらわないとね♡」



と、とにかくボクの魅力をヘルマンに再確認してもらって、他の女なんかよりボクの方が良いって…。




……。




トントントン…


包丁のリズミカルな音と、ぐつぐつと具材を煮込む音だけがするキッチン。



ヘルマンは無言だ。

ボクが朝ごはんの準備をしているのを黙って見ているっぽい。

ボクは平常心を装ってテキパキと朝ごはんの準備を進める。



うう。

ちょっと頑張り過ぎたかな。

やっぱり恥ずかしいかも。

でもヘルマンは紳士だし、危険な事なんてないよ。

ヘルマンが他の女に目もくれないようにする為だもん。

こ、これくらいなら笑ってくれるよ…ね?





………。



淡々とお料理が進む。

おかしいな。

ヘルマンったらナニもしてこない?

い、いや、別にヘルマンに襲われたいわけじゃないけど。


いつの間にかヘルマンの気配が感じられなくなった気がする?





何の気なしに肩越しに振り返ってみた。




突如キッチンが乳白色の空間に塗りつぶされる。





「…お久しぶり。ようやく見つけた」




聞き覚えのある声。



そして一人の女性の姿が目に入る。



か、彼女は。



女神フレイヤの伝言を司る女神。



グナーさんだった。





「え? え? えぇあ?」


「ナニしてる? お尻を突き出しながら、物欲しそうな顔をして…、それに指を咥えて…?」


「ち、違います!」


「それに流し目で…目を潤ませて…、どうしたの一体?」


「わわッ! そんな解説しないで下さいッ。それよりも、ど、どうして…っ!?」



ボクは突然訪問(?)してきたグナーさんにあたふたしまくりだ。



「…ちょっと様子見。今回はフレイヤ様からの命令じゃないから人間界には顕現できない。だからジエラさんの精神を介して………それにしてもナニその恰好?」


「ッッ!?」



ボクの恰好は裸エプロンだ。



「ちょ、ちょっと、服を洗濯しちゃったんで…エプロンだけっていうか…」


「…そう。でも裸にエプロンはどうかしていると思う」


「そ、そうですかね? あ、それはそうと、今はお料理中なんです! は、ははっ。グナーさんもつまんでいきますか?」


「………」



グナーさんはそれ以上は追求してこなかった。



「…まあいい。コレを見て欲しい」



グナーさんはそう言うと空中に映像を映し出した。




◯●◯● アースガルズからの映像 ◯●◯●



「えいっ。えいっ」



3歳くらいの男の子がおもちゃの剣を振るっている。

そして男の子は幼いにも関わらず、ハッ(・・)とするくらい美しくて可愛らしい。

あの子は間違えようがない。

ボクとフレイヤの息子、バルドルだ。


バルドルの周囲で嬉しそうにキャンキャンと纏わり付いている仔狼は…たしかロキさんの息子(?)のフェンリルちゃんだ。


バルドルの剣の相手をしているのは変態…じゃなくてオカマ雷神のトールさん。

相手といってもバルドルはトールさんの膝の高さもない。

鬼ごっこをしているのか、トールさんはバルドルを捕まえようとしているけれど、バルドルはそれを躱しておもちゃの剣でトールさんをポカポカ叩いている。



「ぼほほっ♡ なかなかイイ筋してる。この子は良い戦士になるわよ♡」



トールさんは不気味な外見に似合わず、子供の相手を楽しんでいるみたいだ。



少し離れたところでバルドルの様子を見守っているのはフレイヤだ。

そして周囲には戦乙女(ヴァルキュリー)の皆さんがワイワイと見物していた。



「さすがジエラ様のお子様ですね。最強神トール様のお墨付きだんなて」


「そ、それでフレイヤ様。バルドル様の養育係を私にお任せ下さいませんか? 私好みの殿方に育ててみた…げふんげふん」


「あら抜け駆け? バルドル様はみんなのバルドル様なんだから、独占は許されないわ!」


「ぼほほ♡ あら、ナニを言ってるのかしら戦乙女の小娘たちは? こんなステキな男の子には美貌と知性と理性と母性溢れる私こそが相応しいわ。お義母さま、バルドルは私が手取り足取りナニとり…」



するとフレイヤはバルドルをその胸にかき抱く。



「さっきから何勝手な事言ってるのよ! アンタたちに任せる訳ないでしょう!? この子は私がお腹を痛めて産ん…じゃなくて! ジエラが任務で留守中、私に託されたの! この子の世話は私がするんだからぁっ!」


「えー。フレイヤ様、独り占めは良くないと思います」


「そうですよ。それに第一、フレイヤ様は部下(ジエラさま)の子供の世話をするんじゃなくて、オーディン様と子作りしなくちゃいけないお立場じゃないんですか?」


「ッッ!?」



フレイヤは動揺している。



そうなのだ。

フレイヤは夫であるオーディンさんと別居しているばかりか、夫婦仲は険悪そのもの。

だけど二人はアース神族とヴァン神族の友好のための政略結婚なので、離婚するわけにはいかないらしい。

でもフレイヤはそんな夫婦生活に耐えられず、ボクに浮気して神宝『子宝の林檎』によって子供(バルドル)を授かったんだ。

だけどそれを公にするわけにはいかない。

だからバルドルはジエラ(ボク)だけの子として皆に公表しているんだ。



「い、いやっ。私はこの子が可愛くて仕方ないの。オーディンのコトなんか考えられないわ…!」



バルドルはボクの息子だけど、フレイヤの子でもある。

それを堂々と話せないフレイヤは、バルドルを強く抱きしめる事で悲しみを紛らわそうとしているみたいだ。

フレイヤに抱かれたバルドルは、フレイヤの悲しみの理由など理解できないだろう。

しかし、幼いながらもフレイヤが元気がないのを気にかけて、彼女の頭を小さい手で撫でている。



「ふれいやママ。ぼくがつよくなってママをまもるから。げんきだして?」


「ううっ。バルドル…!」



感動したのか涙ぐむフレイヤ。

すると周囲の戦乙女さんたちも「母親(ジエラ)がいなくて寂しいのね。フレイヤ様を母親だと…」「ご自分でも寂しいでしょうに…。健気ねぇ」「フレイヤ様だけじゃない。私たちも母親になるわ!」とか言っている。

だけど、バルドルは周囲の喧騒をまるで気にしないような、それこそ光り輝くような笑顔で皆を見渡した。



「ぼく、さびしくなんかないよ!」



バルドルは元気いっぱいに宣言した。



「じえらママは、つよいせんしをさがしにおでかけしているんだよね? だからぼくがつよくなれば、きっとあいにきてくれる。それにおとこはめそめそしてちゃだめなんだ。じえらママのためにがんばってつよくなるんだ!」



それは本当に眩しい笑顔だった。



◯●◯●◯●◯●



「…最近暇してた。でもジエラさんがアースガルズの様子が気になっているだろうって思って…。どうしたの?」



どうやらグナーさんは気を利かせてバルドルたちの様子を知らせてくれたみたいだ。

フレイヤとフーリンさんはバルドルの世話で忙しい。

だからフレイヤの命令を通知するのがお仕事であるグナーさんは暇なんだろう。

でも、いくら暇だからって陣中見舞い(?)に来てくれるなんて、なんて思いやりのある女神さまだろう。



それはともかく、映像を見ていて、ボクは情けない気持ちでいっぱいだった。


フレイヤは堂々とバルドルを「私の子供なの!」と紹介出来ない。


そしてなにより、バルドルの無垢な笑顔が眩しくて正視できない。



バルドルはあんなに幼いのに、ボクに逢うために一生懸命に剣の鍛錬をしているのに…。


ボクは娼館で遊んでて…。いや、これは事情が事情だしやむを得ないかもだけど…。

毎日ヘルマンと激しい鍛錬して…。いや、これは真の漢になるために、『自らの漢気を逆境に据える』鍛錬のためなんだけど…。

今なんか裸エプロンで、お尻ふりふりクッキングして…。いや、これはカキには亜鉛が多く含まれているからヘルマンに頑張ってもらうためなんだけど…。


でも。

ボク、全然英雄らしくない…。



「……バルドルの成長が早くて驚いたの? 生まれた神々は人間と同じようには成長しない。少年、青年、成年、老人と、運命に定められた外見まで成長するのはあっという間」



グナーさんはそう言うけれど、そうじゃない。そうじゃないんだ。



「す、すいません。グナーさん。ボク、全然英雄としての成果が上がんなくて…。情けなくなっちゃったんです」



ボクはそう言うしかなかった。

だけど、グナーさんは「ジエラさんはちゃんとお仕事頑張っている」という。



「ど、どういうコトですか? ボク、未だに戦争も経験してないんですけど…」


「ジエラさんは戦乙女(ヴァルキュリー)。戦乙女は優れた戦士を導き、壮烈に戦死させるのが使命」


「は、はい。それとこれとどういう関係が…?」


「ジエラさんは戦乙女になったばかりで気づかないかもしれない。だけど、この世界(ミズガルズ)を覗いてびっくりした。この世界には凄い戦士がいる。こんな魂の輝きはお目にかかった事ない。それもジエラさんの傍にいるから、なかなかジエラさんの魂の波長が分からなかった」


「ッッ!!?」


「これはジエラさんは自分が英雄として活躍するよりも、戦乙女としての本能が強く出ているということ。つまり、ジエラさんの近くにいる戦士…彼はジエラさんに出会う事で偉大な英雄になる運命を得た」



な、なんだって!?



「そ、それって…ヘルマン…の事?」


「……ジエラさんの近くにいる戦士がヘルマンとかいう名前なら、偉大な英雄になる運命を持つ戦士はヘルマンで間違いない。…だけど注意して。本来、戦乙女(ヴァルキュリー)は戦士を導く存在。でもジエラさんは自分も英雄として勇名を馳せる必要がある」


「…………どういう意味ですか?」」



グナーさんはナニが言いたいんだろう。

ボクはヘルマンを鍛えて、すっごい戦士にするんだ。

そうすれば、ボクはイケメンでストイックで逞しくて、それでいて紳士な戦士…つまりヘルマンと真近で接することで、ボクが理想とすべき『男の中の男』を目標にできる。

しかも戦死させれば英雄の魂(エインヘルヤル)としてのお土産にもなるし一石二鳥なんだ。

それのどこがいけないんだろう。



「ヘルマンとジエラさんがお互い切磋琢磨して二人して英雄となるのが望ましい。でもジエラさんには戦乙女としてヘルマンの裏方…引き立て役…内助の功みたいな立ち位置になる未来が待っているかもしれない」


「ーーッッ!!?」



な、な、なんだって!?

そ、それってボクがヘルマンのお嫁さんになっちゃう可能性も!?

「ふ、フレイヤ、あ、あのね…ボクの旦那様のヘルマンだよ♡」とかなんとか言ったりしたら…。



⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ 妄想 ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎



「ふ、フレイヤ。…そ、その色々あって、人間界で…その…旦那様を作っちゃったんだ! ゆ、許し…」

「バカああぁぁーーーッ!!」



すごい金切り声。

耳がキンキンする。



「わ、私が子育てを頑張っていたのに、信じていたのに…。男と浮気して、そのまま結婚まで…。もう知らない! 離婚よ! …バルドル、ジエラママは最初から存在しなかったの。さ、行きましょ」



フレイヤはそう言うとバルドルを伴って去ろうとした。


ま、まって!

話を聞いて!


フレイヤは激おこ!

地獄(ヘルヘイム)逝き待った無し!?



すると追い討ちをかけるようにバルドルが悲しそうな顔をする。



「…じえら…おねえちゃん(・・・・・・)。ばいばい」


「……ッッッ!!」



⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎



「わあぁぁーーーッッ!?」



ボクは最悪の未来を想像してしまった!


なんて…こと!?


ボクがヘルマンを導こうとするのは戦乙女としての本能だったなんて。

しかもボクはフレイヤの元に帰れず、ヘルマンのお嫁さんとして「今日は出陣だ。お前のために手柄をたててくるからな!」「いってらっしゃい。ア、ナ、タ♡」的な未来がががが!?



するとグナーさんは嘆くボクの肩をぽふ(・・)と叩く。



「………自分が英雄になれないって心配してる? 大丈夫。ジエラさん自身は英雄になって、そして多くの戦士(エインヘルヤル)を連れ帰るから」


「…え? そ、そんな気休め…」



するとグナーさんは「気休めじゃない。英雄の試練」だと言う。



「……古来より、英雄には逆境がつきもの。逆境が、高く、深く、困難であればあるほど、それを乗り越えた英雄は普遍の存在になる。ジエラさんを取り巻く状況が厳しいなら、それは将来の糧となる」


「…ッッ!!」



そ、そうだよね。

今は逆境だよね!

試練の時だよね!

さすが伝言を司る女神さまの言葉は心に響くよ!



「ありがとうございます! ボク、きっとヘルマンを英雄に導いて、そしてボク自身も英雄になってみせます!」



グナーさんは表情の乏しい顔で「…頑張って。皆、期待してる」と言いつつ、乳白色の背景に溶け込むように消えていった。




そしてまもなく乳白色に染まった空間が薄れて、周囲は元のキッチンへと戻る。



同時にヘルマンが現れる!



「ジエラ様、俺も男なんです。もう、耐えられません」


「だ、ダメェッ!?」



ヘルマンはキッチンに立つボクを捕まえると、耳元で熱く囁いてくる。

さすがに今はそんな気になれない。


ボクは抵抗しようとして…思いとどまった。


そうだ。

これは逆境なんだ!


ヘルマンとナニがあろうとも、凛と気高くしなきゃならないんだっ!

むしろ「我に七難八苦を与え給え」的な心構えが必要なんだ!

逆境…苦難…つまりヘルマンにアレコレされちゃうのも、むしろ望むところだ!

逆境から逃げちゃダメなんだ。

逆境を踏み越えてこその英雄なんだ!



「…ヘルマン♡ ボクは準備OKだからぁ♡きてぇ♡」


「ジエラ様…、俺たちは師弟である前に…俺はあなたの男、貴女は俺の女です」


「う、うんっ♡ ボクもヘルマンを離さない! 誰にも渡さない! ボクの男として、ボクのために戦って、ボクのために死んでェェェッ! ボク、何でもするからあぁぁッッ♡♡!!」(ビクンビクンっ♡)



そして、ボクたちはお互いを貪りあったのだった。



…た、鍛錬としてだけど。



⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎



チュンチュン

朝。


「…はっ。………夢か」



なんだか鮮明で生々しい夢だった。


まさかグナーさんが様子見に来てくれるなんて。

バルドルがボクのために頑張っているって教えてくれた。

ボクはバルドルのためにも、この単身赴任で成果を出さなくちゃいけないって事を再確認した。



そ、それは良いとして…。

そ、そう、問題はヘルマンだ!


グナーさんの話によると、ヘルマンは偉大な戦士になる運命にあるっていうんだ。

ボクも弟子が大成するって聞いて嬉しく無いはずがない。

きっとヘルマンを歴史に残る大英雄にしてみせるよ!



ボクが誓いを新たにしていると、ボクにまとわりついていた三人の全裸美女がもぞもぞしている。



「…ううん♡ お姉さまぁ、お姉さまのおっぱい… むにゃむにゃ」


「はぁはぁ♡ いけませんジエラ様ぁ♡ ジエラ様にはお嬢様が…♡ ああアァッ♡♡ サギニわ、サギニわあぁ♡♡」(ビクンビクンっ♡)


「…我の砂糖菓子を欲しがるとは…欲しければ我と共にお立ち台で尻を振ればよかろう。…ぐぅ」



…三人とも訳の分からない淫夢を見ているようだ。

それなりに長い娼館生活で、皆の気持ちが緩んでしまっているんだろう。

だ、だけど、ボクはこの緊張感のない仲間を率いて英雄になるんだ!


これも逆境なんだ!


だけど、逆境を乗り越える努力をしなくちゃ始まらない。


差し当たって娼婦を引退しなきゃね!

もう予定の一ヶ月過ぎたし、楼主のヘキセンさんも仲間だし、もう良いよね!


でもベルフィの予約を消化しないとなぁ。

予約すっぽかしたら拙いよね。

彼女は売れっ子だから新規の予約を取らないようにして…、

うん、ベルフィの予約を消化したら晴れて出発だ!



よーし!

最初は娼婦さんなんて大丈夫かなって思ったけど、魔術師のヘキセンさん、ニンジャのヴェクスが仲間になったんだから、必要な雌伏だったと思おう!


ついに…、

ついにボクの伝説が始まるんだ…!


待っててねバルドル、フレイヤ!

ボク、頑張るから!!





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