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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
貴族騒乱編
99/193

第八十九集 三色同順

  9月13日 10:45 鎌倉 藤原邸西の森


  「炎呪符(えんじゅふ)(ばく)!」


  羽澤の陰陽が炸裂する。だけど効いてる気配がない、スライムは爆ぜては元に戻り、徐々にこちらに近づいている。


  ちなみにさっきから何回も同じことが起きている。


  「羽澤!落ち着け!効いてないのわかってるだろ!」


  珍しく熱くなってる羽澤を落ち着かせようとしたけど。


  「きもいのは嫌なの!!」


  そんな理由かよ…


  「幽奈ちゃん!攻撃が来るよ!」


  よーく見ると、スライムの体に氷の棘が徐々に生えてきてる。


  「お前ら下がれ!花速刀(かそくとう)赤短(あかたん)!」


  スライムが氷の棘をこっちに飛ばしたところを

 龍太郎が前に飛び出し、赤い斬撃で氷の棘を全て薙ぎ払った。


  「ありがとう龍太郎、助かった。」


  「どうってことねぇよ、それよりあのスライム、大きくなり始めてるぞ。」


  スライムの方をもう一度見ると、ゆっくりと大きくなっている。


  「きもいきもい!なんなのあれ!」


  「幽奈ちゃん落ち着いて!大丈夫だよ。」


  若干発狂してる羽澤を、南江が後ろから抱きしめた。


  きもいのは仕方ないとして、あの調子じゃ羽澤と南江は戦えそうにないな。仕方ない…


  「南江!羽澤を頼む!」

 

  「うん!わかった!」


  「龍太郎、2人でやるぞ。いけるか?」


  「だぁれに聞いてんだ?いけるに決まってるだろ!」


  よし、夏よりは頼りになるな。


  「いや魁紀ちょっと待て!あれを見ろ。」


  龍太郎に言われて、龍太郎が指さした方を見る。


  全身氷でできているから細かい所まではよく分からないけど、そこにはさっきのように蠢いていたスライムではなく、ローブを羽織ってフードを被った女性のような物がいた。


  「なんなんだ…あれ…」


  「わかんねぇけど、ただもんじゃねぇな…」


  「気をつけろよ、龍太郎。」


  「魁紀こそな!」


  そう言って龍太郎は1歩踏み込んで、ローブの女性に突っ込んでいった。


  「先手必勝!花速刀(かそくとう)青短(あおたん)!」


  今度は青い斬撃で切りかかった。さっきとどんな違いがあるのかは全くわからん。


  「決まったぜ!…ってなんだその鎌はぁ!」


  龍太郎が切り下ろす寸前で、ローブの女性は手に氷の鎌を出現させ、龍太郎の攻撃を受け止めた。


  「なんだ?お前は?さては人間じゃねぇだろ。」


  「……」


  「無視かよ、人の質問にはちゃんと答えろって教わらなかったのかよ!うらぁ!」


  受け止められた龍太郎の攻撃だったが、そのまま押し込んで、ローブの女性を後ろに突き飛ばした。


  「なあ魁紀、こいつ見覚えがあるぜ。」


  「なんだ?見覚えって?」


  「五十鈴と夏の特訓の時を覚えてるか?五十鈴が分身を使った時だ。その時の五十鈴が出した分身と同じな気がするんだ。」


  なるほど、つまりこのローブの女性は誰かの分身ってことか。


  氷を使うローブの女性か…氷…待てよ、もしかして葉月先生の両親をやった妖魔と一緒なのか…?


  そう結論付けるのは少し早いな、氷を扱う妖魔なんてざらにいる、それがたまたまここにいるってだけかもしれない。


  「くそ、こういう時ににゃーちゃんがいてくれたらなぁ。」


  妖気の匂い覚えてくれるから本体を探しやすいんだよねぇ。


  「ないものねだりしても仕方ねぇ、龍太郎、大丈夫か?」


  「別に俺がやられたわけじゃねぇよ、大丈夫だ。」


  さて、戦い方がわからない以上無闇には攻めれない。少し様子見でもしようか。


  「龍太郎、体力温存だ。こっからは防衛戦でいくぞ。」


  「了解だ!」


  「……」


  ローブの女性は鎌を持ってこちらに歩み寄ってくる。ただ龍太郎の言う通り、分身なのか威圧感は全く感じない。


  「……!」


  態度が豹変したかのように、ローブの女性は無言のまま鎌を振り下ろしてきた。


  「龍太郎!避けろ!」


  「わかってる!」


  ただの物理攻撃だから、後ろに下がったり体をずらすだけで簡単に避けれる。


  分身って、本体と揃って初めて効果を発揮するんだろうな。だけどこのままだとジリ貧だ、何か突破口を探さなければ…


  「きもい物体かと思えば、ただの分身体とはね。」


  後ろからかなり元気になった羽澤の声が聞こえる。


  「幽奈ちゃん、大丈夫?」


  「大丈夫だよ遥ちゃん、さっきより余程元気だよ。」


  元気ならよかった、あんな汚物を見て弱ってる羽澤なんて初めてだったからな。


  「こんなに鳥肌たったのは久しぶりだよ、小さい頃に家に出た大きいゴキブリを見た時と同じくらいに鳥肌たったよ。どこの誰かは知らないけど、罪を償ってもらうよ。」


  ゴキブリ…あのスライムと同じくらい効果あったんだ…どんなゴキブリにあったんだよ…


  「龍太郎君の言う通り分身なら、ただの妖気の塊。なら同じくらいの妖気の塊をぶつけてやれば簡単に霧散(むさん)する。つまり…」


  つまり…?


  「役は揃った、テンパイ…雀呪符(じゃんじゅふ)立直(りーち)!」


  羽澤がゆっくりと前に歩きながら役やらテンパイやら言って、立直を言った直後に気迫が強くなったのを感じる。


  「……!」


  そしてローブの女性は標的を羽澤に変え、鎌で襲いかかる。


  「幽奈ちゃん危ない!」


  「踏み込んでくれるなんて、ありがとう。」


  ローブの女性は鎌を振り上げたまま動きを止めた。


  「か、魁紀、今何が起きてるかわかるか?」


  「羽澤の戦い方なんて最近見てないからわからん。」


  その上陰陽の元になってるのが麻雀だから尚更わからん。


  「立直一発(りーちいっぱつ)雀呪符(じゃんじゅふ)三色同順(さんしょくどうじゅん)!」


  「………!!!」


  羽澤の後ろから3つの麻雀牌?のような物が現れ、そこから3本の光線が発射されて、ローブの女性が霧となって消えた。


  「ざっとこんなもんよ。」


  羽澤は両手を上下に叩きながらそう言った。いや、女子こっわ。


  「幽奈ちゃんやったね!!」


  「いぇーい!」


  南江と羽澤がハイタッチをし、俺と龍太郎はそれを眺めていた。


  さてと、こっちはなんとなく片付いたとして、あの3人はどうだろう。


  10:45 鎌倉 藤原邸東 張璇サイド


  「なんなんだこれは…こんなことになっているというのになぜ誰も気付かぬのだ…」

 

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