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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
貴族騒乱編
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第八十六集 五十鈴の食事

  9月12日 12:00 鎌倉 ザスト


  まさかザストを選ぶとはな、いや悪いというわけじゃないけど。


  「ファミレスなんて久しぶりです、小学校の時に家族で来て以来かもしれません。」


  「にゃーちゃんとたまに行ってるもんねー。」


  「にゃおー!」


  いつ以来だろうな、中学の時は一緒に行くやついなかったし、小学校の頃は修行ばっかだし覚えてねぇな。


  あ、ラーメン行った記憶ならいっぱいあるぞ。


  「食べたいものはもう決まりましたか?」


  はえーよ、てかお前メニュー見てねぇだろ、さてはザストの常連だな?


  「私は白身魚があればなんでも。」


  「にゃー!」


  なるほど、にゃーちゃん用ということか、かわいい。


  「じゃあ俺はこのチーズインハンバーグを食べよう。」


  「では店員さんを呼びますね。」


  ピンポーン。


  インターホンの音が響く、なんとなくだけど懐かしい感じだ。


  「お待たせしました、注文をうかがいします。」


  すぐに店員が来た、昼時でお客さん多いのに来るのが早い。


  「白身魚の揚げ物定食を1つ、チーズインハンバーグを1つ、そしてこのチキンステーキスパイス焼きのスープセット、ご飯大盛りを1つお願いします。」


  「ぷっーーーー!!」


  五十鈴の注文内容に思わず水を吹いてしまった。


  「ガハッ!ゲホゲホッッ!!」


  「お客様大丈夫ですか!?今すぐタオルをお持ちしますね!」


  「あぁ…すみません…」


  店員さんごめんね…全部五十鈴のせいにしてくれ…


  「丑崎さん、大丈夫ですか?」


  「大丈夫ですか?じゃねぇよ…お前見た目によらずめっちゃ食うじゃねぇか…」


  びっくりしたわ、チキンステーキスパイス焼きのスープセット、しかもご飯大盛りとかてんこ盛りすぎんだろ、まだ昼だぞ。


  「そうなのでしょうか…いつもこの量なのですが…」


  「まじか…」


  なんか、よーくわかった。


  夏の班はただ適当にメンツを集めたわけじゃなくて、ちゃんと似たもの同士の集まりだったんだな。


  つまり、第一班はゴリラ班に改名すべきだ。


  「五十鈴さん、そんなに食べるのに、よく体型維持できてるね。」


  「これでも日々体を動かしているのですよ、クラスの皆さんはよく動きますから、置いてかれないようにしないと思いまして。」


  いやいや、動いてるにしてもその量はな…


  「松永さんこそ、あれだけで足りるのですか?」


  「うん、足りる。むしろ多いからにゃーちゃんと半分こするの。」


  「それは食わなさすぎじゃね?」


  「うるさい、多く食べるとすぐ太るの。」


  「はい、すみません…」


  デリカシーないってこういうことなんだな…よくわかったよ…


  12:10 鎌倉 ザスト


  「お待たせしました、白身魚の揚げ物定食、チーズインハンバーグ、チキンステーキスパイス焼きのスープセットでご飯大盛りでございます。」


  …


  1人だけ量がやばい。


  「ありがとうございます。ではいただきましょうか。」


  熱々の鉄板の上に、大体150gはあるであろうチキンステーキ、そこに添えられた皮付きポテトとミックスベジタブル。更には別皿でご飯大盛りとコーンスープ。


  偏見で申し訳ないが、明らかにJKが食べる量ではない。


  「「いただきます。」」


  松永は白身魚の揚げ物定食、最初に揚げ魚を半分に割り、取り皿に盛って、そっとかばんの前に置いた。


  かばんからにゃーちゃんがそっと頭を出し、揚げ魚を静かに食べ出した。かわいい。


  それに対して五十鈴は、俺がにゃーちゃんを見ている間に、皮付きポテトとミックスベジタブル、チキンステーキの半分が消えていた。


  「五十鈴、お前ちゃんと噛んで食ってるか?」


  「もちろんです、そんな行儀の悪いことはしませんよ。」


  「お、おお…そうか…」


  確かに食べてる姿勢は凄くいいけど、物凄い速さで肉と野菜を口に運び、そして思ってるよりもちゃんと噛んで食べていた。


  例えるならそう、爆速でエサを食べるうさぎみたいだ。


  さてと、人のことを見てる場合じゃない、俺も食べないと。


  チーズインハンバーグ、ファミレスに来たならこれを食べないわけにはいかない。


  ふわふわの肉、それを割ると中からとろ〜っとチーズが流れ出る…すばらしい!!


  「ごちそうさまでした。」


  「「は?」」

  「にゃ?」


  「え?」


  「いやえ?じゃねぇ、数分しか経ってねぇぞ。」


  「どうやって食べたらそうなるの?」


  「にゃぁ…」


  俺、松永とにゃーちゃんから困惑の視線を向けられた五十鈴であった。


  「な、なぜでしょう…夏と食べる時はこんなこと…」


  なるほど、全て理解した。


  「それ夏がおかしいだけだから、直すなら今のうちだぞ。」


  「直します。」


  即答だった。


  12:30 鎌倉 ザスト


  「「ごちそうさまでした。」」


  ふー食った食った。


  「美味しかったね、にゃーちゃん。」


  「にゃー!」


  美味しかったー、ラーメンとかも美味しいけど、ハンバーグもいいよなぁ。


  「2人とも美味しく食べれたようで何よりです。早く食べてしまうと、お2人が美味しそうに食べるのを眺めることしかできなくて悲しい気分になりました…」


  そりゃそうなるよ。


  「まあ、これを機に今後はゆっくり食べな。」


  「そうします…」


  ある意味五十鈴のもう一つの顔が見れて得した気分だ、今度夏に話そ。


  「ではご飯も食べたことですし、今後の作戦について話しましょうか。」


  作戦って、そんな話だったっけ?普通に今後の話じゃなかった?


  「葉月先生が動き出すまで、今日を除くとあと3日間しかありません。それまでに私たちは葉月先生を引き留めることができるくらいには強くなってないといけません。」


  まあまあ無理難題なんだけどそれ。


  「ただあまり現実的ではないので、質よりも量で勝負しましょう。」


  「というと?」


  「今回葉月先生の事に関わった3つの班で行動しましょう。」


  まあまあ人数いるな…


  でも確かにそっちのが確実だ、無茶しないようにいい所で止めないとってことだろうから、人数でかかればさすがの葉月先生も抑え込めるだろ。


  「それと、私たちの目的はあくまで葉月先生を守ることです。葉月先生の目的の手伝いをするわけではないので、そこを間違えないようにしましょう。」


  そうだな、葉月先生が悪い道に踏み外さないように、俺らがいるんだ。小戌丸さんにも頼まれてるしな。


  「第一班は私、第四班は松永さん、第五班は丑崎さんから伝えてください。強制はしませんが、手伝ってくれると幸いです。」


  「わかった。」


  「はいよー。」


  「作戦内容は、明日全員揃った時に決めましょう。」


  名付けて、葉月先生を守ろう大作戦開始、ってとこだな。


  いやないな。

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