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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
貴族騒乱編
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第八十二集 恨み

  9月11日 11:25 鶴岡八幡宮 松永茉己サイド


  葉月先生が、藤原邸に…


  「班長、どうしたんだ、なんか見えたのかよ。」


  「柿原君、みんなを集めて。そろそろ、他の班も来ると思う。」


  「了解!」


  理由はわからないけど、葉月先生が藤原邸で見失ったのは事実。にゃーちゃんに帰ってきてもらって、みんなに話さないと。


  11:30 鎌倉駅 丑崎魁紀サイド


  「こんな時に限って人身事故とか…電車めっちゃ待ったわ…」


  「私も、めっちゃ立つのに疲れた…」


  「ふ、2人とも、よ、よく頑張った、よ。」


  「ありがとなぁ、通…」


  大船駅で調査し終わったあと、電車に乗ろうと思ったら人身事故で全く来なかった…


  まあ待って20分そこらだ、我慢できなくはない。ただ疲れるかどうかは別だ、俺は疲れた。


  「ともかく、早く松永のとこに行こうぜ。」


  「うん!そうだね!」


  11:35 鶴岡八幡宮


  「魁紀たちじゃねぇか…遅かったな…はぁ…はぁ…」


  「いや、なんでお前らそんな疲れてんだよ、なにしたよ。」


  八幡宮にたどり着いたら、膝に手をついてぜぇはぁ言ってる夏たちに会った。


  「いえ、なにもしておりませんよ。少し走ってきただけですから。はぁ…」


  お前も疲れてるじゃねぇか。


  「全員、遅い。すごい待った。」


  松永が腕を組んでこっちを睨んだ。


  「これでも急いで来たから、許して…」


  「そうだ…はぁ…こっちとら妖魔倒したあとに走ってきてんだ…はぁ…」


  「まあいいよ、それより葉月先生の場所が掴めたから、にゃーちゃんが帰ってきたら話すよ。」


  「そうですか…ありがとうございます。」


  今の五十鈴すごい息継ぐの我慢しただろ、俺にはわかるぞ。


  11:50 鶴岡八幡宮


  少し時間が経ち、にゃーちゃんが帰ってきた。


  「にゃおー!」


  「おかえりにゃーちゃん、よく頑張ったね、よしよし。」


  「にゃー!」


  かわいい。とてもかわいい、尊い。


  「よいしょ、じゃあ話すよ。」


  松永はにゃーちゃんを肩に乗せて話し始めた。


  「葉月先生は今おそらく藤原邸にいる。見失っちゃったけど、最後に葉月先生の姿を確認できたのは藤原邸だった。」


  「藤原邸は、もしかして三大貴族の藤原ですか?」


  「知らないけど、藤原家は平安時代から鎌倉に家をおいてるから、たぶんそうだと思うよ。」


  葉月先生が藤原邸に…藤原家がなにかしらやってることを察した上での調査なのか、個人的ななにかなのか…ダメだ、葉月先生のことがまだ全然わからないからなにも読めない…


  「葉月先生、たぶん恨みがあるんだと思う…」


  真木は弱々しくそう言った。


  「真木さん、それはどういうことですか?」


  「朝の先生の去り際の時ね、オーラは暗くて赤かくて、誰かに対して恨みのような…復讐を考えてるような人が持つようなオーラだったの…」


  そういえばそんなこと言ってたな、見えすぎてると人の感情までも見えるのか。


  「もしかしたら、藤原家の人になにか恨みでもあるんじゃないかな…」


  「もしそうでしたら、葉月先生の貴族嫌いも納得が行きますね。」


  葉月先生が藤原家になにかしら恨みがある、と。


  「そ、そういえば、は、葉月先生って、校長先生と、貴族制度撤廃のために、動いてるんじゃ…」


  「「あ!」」


  全員通の言葉に驚いた。


  「そういやそうだったな…」


  「そのことが原因で、葉月先生が藤原邸にいるのもおかしくはありませんね。」


  「おい!てめぇら優生が嘘こいてるって言いてぇのか!」


  「翠ちゃん…」


  確かにそう聞こえなくはないが、それだと恨みのオーラに説明がつかなくなる。


  藤原家関係ないとしても、恨みはどっかに向いてるはずだ。


  「いいえ早川さん、そうだとすれば、葉月先生の恨みはどこに向いてるのですか?」


  「そんなの俺が知るわけねぇだろ。」


  「ですから、まだ判断を決めるわけにはいかないのです。」


  さすが五十鈴、と言いたいところだが、結局葉月先生が何をしたいのかがより謎になった。


  「では少し整理してみましょう。葉月先生と校長先生の話で、葉月先生は確実に藤原家をどうにかしたいと考えているはずです。そして朝に真木さんと松田さんが見えたオーラ、何に対してかはわかりませんがら、恨みがあるのは確かです。」


  ここまではいい、だけどそこからどう話が繋がるかだが…


  「もしもです、葉月先生が嫌いな貴族が藤原家だけだとすれば、貴族制度を撤廃したいのも、恨みを持って藤原邸に向かったのも説明がつくのではないでしょうか。」


  「琴里、もうちょい短くまとめられねぇのか?」


  どうやら夏の頭がパンクしていたようだ。


  「夏にもわかるように言いますと、葉月先生は藤原家になにかしらの恨みを持っている、ということです。」


  「なるほど!なら藤原家のヤツらをしばいたらいいんだな!」


  「違います、そういうことじゃありません。」


  このゴリラは筋肉で物事は解決するとでも思ってるのか?


  ともかく、話は最初の考えに戻ったな。葉月先生は藤原家になにかしらの恨み、言わば因縁がある。それで今はいい所に校長先生が話を持ってきたから、自分の恨みと校長先生の目的を両方解決できると踏んで、今動いてると考えてよさそうだな。


  「では、学校に戻って報告に行きましょう。」


  そうだ、任務なんてあったなそういえば。


  14:00 任田高校 職員室前


  昼ごはんをついでに食べて帰ってきたらこんな時間になってしまった。


  「ラーメン、美味しかったな夏。」


  「あぁ、筋肉に()みたぜ…」


  筋肉に()みるってなんだよ、体に()みるならまだわかるけどよ。


  「任務報告があるというのになぜあんなところに…」


  そして困り果てた五十鈴がそこにいた。


  「松永さん、南江さん、報告に行きますので、一緒に行きましょう。」


  「わかった。」


  「はいはーい!」


  「なんか、女子っぽいやり取りだ。」


  「「は?」」


  あっはいすみませんでした…


  すると3人は職員室の中に入っていった。


  14:05 任田高校 職員室前


  3人が出てきた。


  ただ顔色がすごく悪かった。


  「皆さん、落ち着いて聞いて欲しいことがあります。」


  「どうしたんだよ琴里、そんな改まって。」


  「報告がまずかったりしたのか?」


  「違うよ魁紀君…」


  「にゃーちゃん…私、もう嫌だよ…」


  「にゃぉ…」


  3人揃って一体どうしたんだろ、何があったんだ。


  「琴里、何があった。」


  「落ち着いて聞いてください…鎌倉の小町通り裏で、葉月先生が体半分氷漬けで発見されました…」

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