第八十集 任務開始 弐
9月11日 9:40 1年5組教室
五十鈴とにゃーちゃんのおかげで、松永の協力を得ることができた。
本題はここから、葉月先生ににゃーちゃんを尾行させたとして、情報を得られるかが問題。
「なぁ松永、にゃーちゃんに葉月先生の尾行をさせたいんだけど、葉月先生の動きを常にわかったりするのか?それかにゃーちゃんが帰ってきたあとに松永に情報を伝えられたりするのか?」
「にゃーちゃんとは視覚共有ができるの、だからどこにいても、にゃーちゃんの見えてることは私に伝わる。だけど、視覚共有してる間は全く戦闘できないから、守って。」
松永を守るのは、松永班のやつらにお願いするしかねぇな。任務は確か護衛だったっけ?それなら任務に支障も出ないだろ。
「わかった、じゃあ俺らは任務が終わったらすぐに八幡宮に向かう。夏と五十鈴もそれでいいか?」
「おーけーだぜ。」
「わかりました。」
すぐに向かうとは言ったけど、謎の妖気の調査とかわけわからん過ぎて絶対早く終わらない。
「ではみなさん、初任務ということですので、できれば怪我ひとつなく、全員無事に帰りましょう。全力で楽しむことも、お忘れなく。」
「「おー!」」
羽澤と龍太郎の班はもうすでに出発してたから、残った俺ら3つの班だけだけど、団結力は十分そうだ。
「じゃあ南江、俺らも行くか。」
「そうだね!ではいつも通り、えい!えい!おー!」
「おー!」
それいつもやってたの?反応してるの松田だけなんだけど??
「千尋ちゃんありがとう…」
「遥ちゃん泣かないで、よしよし。」
「…まあ、行こうか…」
始まりに関してはいつも通り、ぐだぐだであった。
11:00 大船駅
さて、目的地に着いたのはいいとして、謎の妖気の調査って、具体的になにすればいいのか見当もつかない。
「じゃあ健太君!あとは任せた!」
「よーし、任せろ!ってなにすればいいんだ?」
「妖気の調査なんだから、まずは妖気を探すに決まってるじゃない!」
南江の言ってることは間違ってないと思うが、なんの情報もないのにいきなりできるものなのか。
「とりあえずやってみるか。」
と言いながら、健太は地面に手を当てた。
「変な妖気…特にこれといった変な妖気は感じないかな…」
「ねえ健太君、あっちになんかピンクっぽい色のオーラが見えるんだけど、何か違和感はない?」
松田がちょっとした路地裏に指をさして言った。
あるあるだよね、路地裏にカツアゲとかああいうやばそうな雰囲気のやつ。
「あっちの路地裏か…いや、やっぱり特に何もないな…」
「違和感がなくとも、妖気に色がついてるってことはなにかがあるのかもな、行ってみるか。」
なにもないのに変な色が付くわけがないからな、ともかく物は試しだ。
11:04 大船駅 路地裏
「遠くじゃわからなかったけど、ここの妖気、凄く濃い…酔いそう…」
「私もちょっと…くらくらしてきた…」
「ふ、2人とも、だ、大丈夫?」
「僕らは、特になにもないのに…」
健太と松田だからこその症状だな。
前にも高尾山で健太が妖気に酔ったってこともあったから、今回も似たようなものだろう。
「梁君と通君は千尋ちゃんと健太君をお願い、魁紀君は私とちょっとずつ進むよ。」
「わかった!」
「りょ、了解。」
「了解した。」
相変わらずの状況判断で助かるぜ班長殿。
ただ、松田と健太と違って、ここがいかにやばい所なのかはわからん。
だからいつも以上に慎重に行かないとだな。
「それで、あとはどうすればいいの?」
「いや俺に聞くなよ…」
雑なのもいつも通りだった…
「南江さん…!魁紀…!上から妖気の反応が…!」
上?
「き、狐?」
「かわいい!!」
「おいばか!そんなこと言ってる場合じゃねぇぞ!妖気の反応があるってことは、あれは妖魔の類だぞ!」
狐だと?まさか玉藻前か…
「怪しい妖気の正体って、もしかしてあの狐なのかな。なら捕まえようよ!」
「遥ちゃん…だめ…あの狐…妖気の色が定まってない…」
「どういうことなの?千尋ちゃん。」
「私にも…わからないけど…ころころ色が変わるの…ピンクだったのがオレンジになったり…紫になったりするの…」
いよいよよく分からないな…
「よくわからないけど、とにかく捕まえるよ!」
「いや、待って!」
梁が南江の手を掴み、南江の動きを止めた。
「梁君!?早くしないと捕まえられないよ!」
「任務の内容が怪しい妖気の調査なら、僕らの目的はもう達成してる。ここで深追いしたら、何が起こるかわからないよ。もう日光の時みたいに、先に行く南江さん達を危ない目には晒したくない…」
「梁君…」
梁のやつ、まだ日光の時のことを…
「ごめんね梁君、私も冷静が足りなかった…」
「大丈夫、僕だって第五班なんだから、仲間のために考えて、動くのは当たり前だよ。」
「ありがとう、梁君…」
困った時はお互い様、っやつだな。
「そんじゃ、松田と健太がまだ倒れないうちに、早く鎌倉に行こう。夏と松永達が待ってる。」
「うん!魁紀君もありがとう!」
11:15 鎌倉大仏 五十鈴琴里サイド
「鎌倉大仏なんて、いつぶりでしょうか。」
「そうだな、琴里と来た以来だよな。」
「いえ、私は夏と来た記憶はありませんので。」
「酷いぜ…」
鎌倉大仏付近の妖魔討伐というものの、なにもありませんね。
「真木さん、近くになにか反応はありますか?」
「大仏の左奥の森から、なにか妖気の揺れが見えるよ。」
「ならばそこか!行くぞ方天戟!一番乗りは頂きだ!」
「大将だからっていって、一番乗りは譲らねぇぞ!」
全くあの2人は…
「成宮、俺たちも行った方がいいのか?」
「いや、僕らはゆっくりでいいと思うよ。あの2人の邪魔になるだろうし…」
もう、仕方ありませんね。
「私が援護します、天上院さんと成宮さんもあの2人について行ってください。そして、危険だと判断したらすぐに連れ戻してください、お願いします。」
「了解だ!」
「了解。」
「五十鈴さん、わ、私は?」
「真木さんは私の隣で妖気の変動を観察してください、お願いしますね。」
「うん!」
任務開始、と言ったところですね。
11:20 鎌倉大仏 奥の森 新井夏サイド
「妖魔を隠すなら森の中ってやつか!」
「それを言うなら木を隠すならだぜ!大将!」
「ん?翠、少し待て。」
「どうしたんだよ大将、この先なんだろ?」
なんだか筋肉がざわつく、このまま進むと危ねぇって俺に語りかけてくる。
ならば、ここで撮る選択肢は1つ…
「翠!琴里たちを呼んでこい!俺は先に行くぜ!」
「あ!そりゃずりぃぞ大将!」
琴里ならあとはなんとかしてくれんだろ。
「さて、走るぜ!」
走り出すと、意外とすぐに開けたところに出てきた。
「あぁぁぁぁぁ…あああああ!!!」
「へへっ、なんだか顔がいっぱいある割に目が少ねぇやつだ。」
こいつぁ…筋肉が滾るなぁ!!




