第七十八集 冷酷
9月10日 10:25 任田高校校門前 葉月大地サイド
「さあて、みんなには悪いが、わしにゃわしのやることがあるんでのう。」
藤原家の尻尾を掴む、それが今のわしの最優先事項じゃ。
藤原家は特に最近様子がおかしい、護衛に小戌丸さんちの強を呼んどる。わざわざ救助隊のうち1つの隊の隊長を呼んどるんじゃ、相当日光と洛陽の事でビビっとるんじゃろ。
源家と平家に変な動きはない、ちゃんと兵力があるから心配はないっちゅうことかのう。
なら、調べるのは藤原家だけで十分じゃ。一応下調べは三大貴族全部済んでるが、源家と平家はもういい、藤原家に侵入して、詳しく調査する必要がある。
幸い、校長から藤原家の屋敷の地図は貰ってる、しかも外には森があると来た、外からの調査は容易い。
「待っちょれよ、藤原のクソジジイが。」
12:00 鎌倉 藤原邸3階 小戌丸強サイド
「小戌丸、お前はもうクビだ!クビ!」
「え、いや、そうだとしてもちゃんとした理由を頂かないとですね…」
「うるさいわ!お前より使えるやつが来てくれたから、お前はもう用済みなんだよ!わかったらとっとと消えろ!」
「は、はぁ、わかりました。」
なんだなんだ、オイラより使えるやつって。救助隊の隊長ですら使えないって、逆にどんなやつ呼んできたんだ?
12:04 鎌倉 藤原邸庭園 小戌丸サイド
いや、こりゃ少しは探らないとね。仕事とは関係ないけど、オイラを簡単にクビにしたんだ、少しくらいは、いいよね?
「あらあら、こんなところで、何をしているのかしら。」
「誰だ!」
なんだこの女性は、それに後ろに白フードの女性は…
「オイラは小戌丸強、藤原長政様の護衛だ。改めて聞く、君らは誰だ。」
「礼儀のいい子ですわねぇ。でもおかしいですわ、護衛でしたら、私達に一任されたはずですが。」
この2人だと?なるほど、オイラよりも使えるというのはこの2人のことか。オイラもなめられたもんだなー、この2人を侮辱するわけじゃないけど、オイラがクビになるとは思えないな。
「まあいいですわ、どうやら長政様を探ろうとしていたようですし、冷残さん、よろしくお願いしますわ。」
「わかったよ。」
白フードの女性が黒フードに変わった、そして氷の鎌を持ち出した。
「そっちがその気なら、オイラも手加減しないぞ!」
「いい度胸ですわ、さすがは妖術救助隊の隊長の1人ですこと。ですが、まだまだ若いですわね。」
「なんだと!」
女性だとしても、オイラは容赦しないぞ!
「天に向かって叫べ!哮天…!!」
「なにもかも、凍ってしまえば無力だよ。」
「がぁ…ぁ……」
体が…凍らされ……
「冷残、ここに置いておくのも長政様に迷惑ですので、どこかに捨てておいてくださいませ。私は先に長政様の所に戻っておりますわ。」
「…わかったよ。」
体の…感覚が…
「君、運が良かったよ、長壁に見逃してもらえるんだもん。おっと、名前を話してしまった、私たちの記憶は忘れてもらうね。では、さよなら。」
ま…て……
13:30 鎌倉 玉兎温泉旅館 近辺 卯道陽葵サイド
「今日はお客さんも患者さんも少なくって、平和っすね〜♪」
洛陽の時は特に大変だったから、もう少し落ち着いてくれてもいいんじゃないっすかねぇ…
「あれ?あそこに倒れてるのって…強さん!?大丈夫っすか!?!?」
なんでこんなとこに強さんが…
「しかも体の半分氷漬けにされてるじゃないっすか…どうしてこんな…早く旅館に運ばないと!」
強さんがこんなにやられるなんて…一体誰が…
14:00 鎌倉 藤原邸 長壁姫サイド
「お連れしました、藤原様。こちらが冷残でございますわ。」
「ほー!良い!良いぞ!ちゃんとあの小戌丸強より使えるんであろうな?」
「はい、もちろんでございますわ。私が保証いたしますわ。」
「よろしく。」
「ダメですわよ冷残、ちゃんと言葉に気をつけないと。」
「よいよい、強い護衛であればなんでもよい!にしても…強い上に美しいではないか、これは今夜も楽しみだなぁ!!」
やはり人間、下衆以下の生き物ですわね。
「ん?今何か言っておったか?」
「いえ、何も言っておりませんわ。では私はこれで失礼しますわ。冷残、あとは頼みましたわね。」
「わかったよ。」
これで、どう転んでも人間達の戦力は削れますわね。さて、私は早めに退散させていただきますわ。
15:00 鎌倉 玉兎温泉旅館 葉月大地サイド
「何があったんじゃ!」
「私にもわからないっす…ただ、強さんが体の半分を氷漬けになっていたことしか…」
陽葵さんから連絡が入ったと思ったら、なんじゃこりゃ…あの強が氷漬けだなんて…
いや待て、氷漬けじゃと…?
「強!やられた相手はどんなやつじゃった!覚えてるか!」
「葉月さん…すみません…よく覚えて…なくて…」
もし、本当にあの女なら、奇襲はしてこない。わざわざ逃げてるやつらに声をかけるようなやつじゃ、そんなことはないはず。
じゃから姿は見えるはずじゃ、なのに記憶が無いっちゅうことは…
「記憶を消されたか…」
「そうかも…知れません…藤原様のとこをクビにされたとこまでは覚えてるんですけど…そこからは…なにも…」
「強さん!もう喋らない方がいいっすよ!ちゃんと寝てて!」
ついこないだ護衛についた強がもうクビじゃと?
「陽葵さん、強はどこで見つかったんじゃ。」
「ここっすよ、外の空気吸いに行ったら強さんが倒れてたっす。」
わざわざ運んできたっちゅうことか。そんで記憶がないタイミングを考えれば、まだ藤原邸にいたということになる。
つまり、藤原邸にあの女がいた可能性がある…なぜじゃ…15年前、藤原のジジイも氷漬けにされちょった、それなのになぜ藤原のジジイの所にいる…
ちっ、わけがわからん!とにかく、藤原邸を徹底的に調査する必要がありそうじゃ。あいつらも、そろそろ任務が正式的に始まるって時に…
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