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干支十二家妖魔日記  作者: りちこ
妖術学校実力対抗編
65/193

第六十集 風

  6月26日 16:40 洛陽闘技場


  「丑火損(ぎゅうかそん)!!」


  「そんなもんに、俺がやれるわけねぇだろ!詰みはてめぇだ丑崎ぃ!!」


  「俺は負けねぇ、みんなが待ってんだ…そして、じいちゃんと根元先生が見てんだ!」


  「なんだそれ、てめぇも地獄に行きたいってかぁ?今送ってやるよ!クッハハハハハ!!」


  さすがに強いな、全力かつ二刀で叩き込んだ丑火損が効いてない。傷は残ってるけどそこまで支障がないということか。


  そして、俺は真正面から茨木童子と戦ったことがない。ん?戦ったことあるって?1回目は酒呑様がやったし、さっきのはノーカンだ、あんな戦い方は俺じゃねぇ。


  というわけで茨木童子は初見だ、今初見攻略をしてるわけだ、わかるのは根元先生の妖術を使ってくるってだけ。めんどくせぇ…


  同時刻 らく道旅館


  「結菜(ゆいな)(みなと)の手当を!」


  「はい!」


  「1つ…気づいたことが…ある……ッコ…」


  「湊、もう喋るな、傷口が!」


  「茨木童子に…なんか…狐の尻尾みたいのが……付いてたッコ……ゲホッ……」


  狐の尻尾だと…それはさっき茨木童子が言っていた玉藻前の物ということか…


  「みんな!俺は魁紀の所に行ってくる!絶対にここから離れるなよ!」


  「わしも行くで、あのハゲ、丑崎はんだけに任せることなんて出来へんわ。」


  「ならオイラも!」


  「アホ、お前が残らないでどうすんねん。妖魔が攻め込んできたら、お前がみんなを守るんや。」


  「くっ…わかりました…」


  「行くぞ!藤十郎!!」


  「おー!」


  17:00 洛陽闘技場


  「いい加減倒れてくんねぇかな、そろそろめんどくせぇんだけど。」


  「クッハハ!だから言ったろ!お前に俺は倒せねぇよ!魔妖術・嵐風(らんぷう)!」


  また根元先生の…しかもさっきとは比べ物にならないほどの風だ、今にも吸い込まれそうな感じだ。


  「下がれ魁紀!!龍豪(りゅうごう)!!」


  目の前の風に赤い龍が衝突した、この声、そして技。


  「豪!?なんで来た!!」


  「わしもおるで!申喰二刀流・猿煌(えんこう)!」


  「クッハハ!そんな雷で俺に傷をつけられると思うなよ?雷神くらいの力でも持ってこい!クッハハハハハ!!」


  「ちっ、これでもダメっちゅうんか…」


  「2人とも、なんで来たんだよ…」


  俺一人で十分、とまで言うつもりは無いけど、こいつには個人的な恨みもある、だからそんな敵討ちみたいな戦いに他のみんなを巻き込みたくはなかった。


  「魁紀、何を今更、なにも1人で全てを背負い込むことないだろ。」


  「せや、丑崎はんだけに戦わせとったら、こっちの気分も(わる)うなるわ。」


  「クッハハ!2人増えた所で、なにも変わらんぞ!!」


  いや、豪と申喰が来てくれるなら、どうにでもなるはずだ。


  「豪!指示をくれ!お前が司令塔だ!」


  「あっはっはってえぇっ!?」


  「はよせぇ!迷ってる暇無いで!!」


  「あぁわかった!攻撃のタイミング合わせるぞ!」


  「「あいよ!!」」


  豪の指示は初めてだけど、なんとかなるだろ。


  「クッハハ!まとめて仕留めやるよ!魔妖術・嵐風(らんぷう)!!」


  さっきと同じ術だ、しかもさっきよりも範囲が広い!


  「藤十郎!風に雷をぶつけてくれ!」


  「おー!申喰二刀流・猿煌(えんこう)!!」


  風に雷が与えられ、先程よりも荒々しくなっちゃった、これ本当に大丈夫なの…


  「魁紀!風を飛ばせ!!」


  「んな無茶な!!」


  「できないのか?」


  出来るわけねぇだろ、だいたい俺に風を飛ばす技なんて…


  ヒュー…


  ヒューっと風が吹く、すごい穏やかで、落ち着く風だ。そしてなにより、楽しげで、身に覚えのある風だ。


  (魁紀、聞こえるか。)


  (どうした、酒呑様。)


  (ちょっとお前に用がある魂を拾ってな、少しだけ時間を貸せ。)


  なんだろう、用がある魂って。てかそんな簡単に魂拾って話させていいのかよ、前言ってた魂はあの世に帰るものだとかなんとかはいいのかよ。


  (ほら、話したきゃ話すがよい。)


  (ね、根元先生!?)


  (悪いな、丑崎さん、まだ未練が残ってたもんだから、魂がここに留まっちゃって。かと言って見てるだけでは何も出来ないから、ちょっと酒呑童子にお願いしてみたんだ。)


  魂になったら酒呑様に自由に話しかけられるようになるの…そんなガバガバでいいの童子切…


  (未練…茨木童子なら、俺たち3人が!)


  (いや、それじゃ足りない、あいつはそう簡単には死なんぞ。だから俺の力を貸してやる。)


  (そんなの、どうやって…)


  (俺も死んでからわかったんだ、ほら、手を出してみろ。)


  言われた通りに手を出してみた、そして根元先生は俺の手に自分の手を重ねた。すると不思議と、先程感じた穏やかな風を感じる。


  (これが俺の妖気だ、これなら丑崎さんも、俺の力を使える。)


  (ありがとう…先生…)


  (なに、こんなの安いもんだ。では俺はこれでもういくよ、もう未練はない、あとはお前らの時代だ。最後になるけど、全力で楽しんでこいよ!じゃあな!)


  (先生ぇ!!)


  いつもの笑顔で…いつも言う言葉で…先生は消えていった…本当に…これで最後だった…


  (魁紀よ、もう時間はないぞ、早く戻れ。)


  それ、メンタルズタボロの高校生に言うセリフじゃないぜ…でも、根元先生が託してくれたんだ、この力で、根元先生の代わりに!


  「待たせたな!魔妖術・嵐断刃(らんだんじん)!!」


  嵐をも断つ風の刃だ、風を飛ばすどころかぶった切ってやる!!


  「なぜだ、なぜてめぇが風の妖術を!!」


  「託されたんだ、俺の、俺たち5組の先生に!!」


  「何を言ってるんだ魁紀、俺は2組だぞ。」


  「ちょっと今カッコつけてるから静かにしてくれる???」


  大事な所だったのに…!!


  「勘違いすんなよ茨木童子、これは敵討ちじゃねぇ。断罪だ。」

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