第五十五集 四天王降臨
6月26日 14:20 洛陽闘技場
「なんだ、あれ…」
「4体の、妖魔ッコ?」
申喰の叫びで気づいたけど、知らぬ間に闘技場の上に4体の妖魔の様な姿があった。そしてそいつらは、何事も気にすることなく、そんな上空から飛び降りてきた。
「酒呑様の妖気を感じるぞ。」
「誰だ、丑崎と言う人間は。」
「酒呑様の力を我がものにしようなど!」
「万死に値するわ!」
なんだこいつら、見たことの無い妖魔だ。そして酒呑様の名前を口にしたってことは、何か関係があるのかもしれない。
(酒呑様!今の状況がわかるか?)
(あぁ、はっきり見えておる。カッカッカッ!あやつら、生きておったのか!)
(あいつらって、知り合い?)
(知り合いもなにも、我の配下だった者達よ。大江山四天王、熊、星熊、虎熊、金だ。)
なんだそれ、初耳だ。酒呑様の配下って茨木童子だけじゃなかったのか。
(して、妙だな。魁紀は我の力を我がものに出来るほどの器では無いと言うのに。)
事実かもしれないけどそこまで言う必要はないと思うんだ…
(あやつらからは茨木と同じような気配はせん、ならば誰かに誑かされてここに来たということか。)
(それはつまり、玉藻前の仕業ってこと?)
(その可能性は高い、心しておけよ魁紀、もしあの女狐が関わっているなら、死人がひとりやふたりで済まないと思え。)
そんなに…か…
「おっと、こいつから酒呑様の妖気の匂いがするぞ。」
「お前、もしや丑崎魁紀という名前では無いか?」
ちっ、鼻がよく効くやつだな。
「そうだ、と言ったら?」
「ははっ!なに、お前から酒呑様の力を返してもらうだけだ!」
ただ立っている余裕はねぇな!
「そうはさせんぞ!」
「み、源先輩!?」
「大丈夫か、丑崎。」
「はい!ありがとうございます!」
この人、俺を助ける義理は無いはずだが…
「こいつらの相手は俺がする、観客とみんなを避難させろ!」
「はい!分かりました!」
なんだよ、結構いい人じゃん!それなら早く裏口までみんなを誘導しないと!
洛陽闘技場 裏口
「みんな!早く闘技場から離れて!」
よし、大体避難はこんなもんでいいだろ、他のみんなもいるし、任せても大丈夫だろう。
(酒呑様、俺も先輩と一緒に戦うから、力を貸してくれ!)
…
(あれ?酒呑様?)
…
な!?童子切がない!なんで!?
洛陽闘技場
「やったぞ、遂に取り戻したぞ!頼光様!」
(小僧、今すぐこの刀を魁紀に返せ。此度のことは目を瞑ろう、2度目はないぞ。)
なんだこれは、直接頭に声が…
(早くしないと、貴様の体が持たぬぞ?)
(お前が…酒呑童子か!)
(それがどうした、早く我の言うことに従わぬと、貴様、死ぬぞ。)
妖気の圧力が桁違いだ、このままだと…推し潰れてしまう…丑崎はいつもこの妖気に…耐えてるとでも言うのか!
「クハハッ!奪えたようだな、源。」
「あぁ…やっと我が源家の宝を…」
「なら、童子切は俺が頂いていく。もうお前には用はない!死ね!」
「なっ!?」
カキンッ!!
「源先輩!大丈夫ですか!」
「丑崎!なんでここに!」
数分前
もしかして、どさくさに紛れて誰かが奪い取ったってのか…めんどくせぇことしやがる。
童子切と酒呑様も大事だけど、源先輩1人じゃ無理だ、早く戻らないと。
洛陽闘技場
あれは、茨木童子!?そしてなんであいつが童子切を持ってる!それより源先輩が危ねぇ!!刻巡だけでも戦わないと!
カキンッ!!
「源先輩!大丈夫ですか!」
「丑崎!なんでここに!」
「茨木童子ぃ!またお前か!!」
「クハハッ!!ここで会えて嬉しいぜ!丑崎!」
またこいつの仕業か!
「でもなぁ丑崎、お前の相手は俺じゃねぇ。四天王達よ!こいつが酒呑様の力を我がものにしようとした不届き者だ!やつを屠れ!」
「お前、酒呑様を殺そうとしてたくせに!」
「おっとっと!人間風情が酒呑様の名を口にするな!四天王達よ、俺は今から酒呑様の復活の儀を行う、雑魚の相手を任せたぞ。」
「待て!茨木童子!!」
「貴様の相手は我らだ、ガキ。」
こいつら!!
「俺は…俺は…なにを…」
「源先輩?」
「丑崎…すまない…全ては俺が…俺が悪い!」
何だこの人、この期に及んで何言ってんだ?
「見てたよ、源先輩。魁紀君の童子切盗んだの、源先輩でしょ。」
「南江?嘘…でしょ…」
「あぁ…俺が盗んだ…そしてあいつに取られた…」
なんでだよ…童子切を盗んでどうなるって言うんだよ…
「みんな!大丈夫か!」
「全く、心を配らさせないでください!」
「丑崎はん!大丈夫かいな!」
豪、巳扇、申喰、他のクラスや5組のみんなも…来てくれるのはありがたいが、今の俺は戦力にならないぞ…
「おやおや、ゴミ共がぞろぞろ湧いてきたか。」
「ならば、我ら四天王がそれぞれ相手をしてやろう。」
「してやろうしてやろう。」
「完膚なきまでに潰してやる!」
「「魔妖術・棺桶!」」
四天王が唱えた妖術で、俺たち全員はそれぞれ黒いドームに囲まれ、閉ざされた。
そして目の前には四天王とやらの中で1番強そうなやつが立っていた。
「我は大江山四天王が一柱、名は星熊童子。貴様らの相手をしてやる、特に丑崎魁紀、貴様の様な不届き者は!我自ら断罪してやる!」
「おいおい、それは聞き捨てならないなぁ、丑崎に用があるのは俺も同じだって痛ったぁ!!」
「千代川、お主のそういう所は少しは変わらぬか?」
「まあまあ2人とも、そんなこと言わずにぃ!それよりもあの妖魔、ダメなケツしてるから、討伐しても文句ないですよね!」
千代川、張璇、雪代…
「1組の3人、だったよね。私はいなかったから知らないけど。」
「そうだね、幽奈ちゃんがまだしょんぼりしてた時だったからね!」
「遥…しょんぼりって言い方はどうにかならないのかな…」
「だってそうだったじゃん!よしよしだよー。」
南江、羽澤…
「さあ丑崎殿、拙者達がついてる、童子切がなくとも戦えるぞ!」
「ありがとうな、張璇。」
「それに、負けたままではいられないのでね。」
「あぁ、また勝負しよう。」
「御託はいいか?さぁかかってこい雑魚ども!」
酒呑様と童子切を取り戻す、まずは星熊童子、お前の首を頂く!




